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フラワーカンパニーズ×トヨタ ハイエース:Vol.1「機材車とともに歩んだ28年」MOBYクルマバナシ

【Profile】フラワーカンパニーズ名古屋が生んだ“日本一のライブバンド”フラワーカンパニーズ。通称フラカン。Vocal:鈴木圭介(左)、Bass:グレートマエカワ(右)、Guitar:竹安堅一、Drums:ミスター小西の4人組。1989年に地元の同級生によって結成され、95年メジャーデビュー。“自らライブを届けに行く事”をモットーに活動、大型フェスから小さなライブハウスまで……メンバー自ら機材車に乗り込みハンドルを握り、日本全国津々浦々でライブを展開。2017年に自主レーベル「チキン・スキン・レコード」を新たに立ち上げ、ニューアルバム『ROLL ON 48』をリリース。現在でもバンドの“愛車”ハイエースを操り、精力的にライブ活動を行っている。

Vol.1:機材車とともに歩んだ28年

結成から28年になるフラワーカンパニーズさん。まずは結成時の思いや、長続きの秘訣を教えていただきたいです。

マエカワ:そうですね。再来年で30周年になります。全員地元名古屋の中学・高校の同級生でバラバラに活動してた4人が集まって、サクッと結成したバンドです。長続きの秘訣は……その前から友達だったっていうのもあって、中学高校のノリがあるのかもしれないよね。

鈴木:地元繋がりね。長く続いてる人たちってみんな、出だしはそんなもんだと思うんですよ。おそらく「よし、死ぬまで一緒に続けような」っていう契(ちぎり)を交わしてやらないですよね(笑)。たぶんそっちのほうがダメなんだ。

マエカワ:そこまで考える人はすぐ終わっちゃうと思うね。ちょっとしたことで、「こんなんじゃなかった」ってなるだろうから。

鈴木:こういう商売って、割りと適当にやって行かないと……その場その場で。成り立たないというか。

ライトに始めたところが、長続きの要因なんですね。

マエカワ:そういうのもあるんじゃないかと思いますね。

ライブのときには必ず「メンバーチェンジなし」とおっしゃいますね。ファンの人だったり第三者からすると、深い絆を感じます。

マエカワ:たぶんね、よく言おうと思えばどんだけでもよく言えるだろうし、悪く言えば悪く言うで、「やめるときがなかった」とか「馴れ合い」とかね。それぞれ「他にこういう仕事がやりたい!」とかもなかったし。

結成当時のフラワーカンパニーズの皆さん。

マエカワ:バンドでお金が沢山入るわけじゃないでしょ、売れないバンドなんかはさ。そこそこだと思うんだよ。でも俺らは「もっとお金が欲しくて、いい暮らしがしたーい」っていうバンドじゃない。だから興味がさ、バンド以外に、そこまで他のものに移らんっていうかさ。

鈴木:音楽ひとつやるにしても、やっぱり“バンドでやる”っていうのが楽しみっていうか。

マエカワ:たとえばフラワーカンパニーズの歌詞って、28年間ずっと鈴木が書いている。特に2000年以降に入ってからは鈴木が作詞作曲してる楽曲が9割以上あるんです。そこで「じゃあソロでやってもいいんじゃん?」って思う人もいるかもしれないのね。でも鈴木はそういうタイプではないんだと思う、たぶん。

鈴木:まったく興味ないですね。10年前に弾き語りにハマってましたけど、でもあれはライブでやるだけ。それが面白かった時期もあるんですけど、ソロでCDを出したりとか、そういうことは一度も思ったことないですね。

全員が“贅沢はしなくていい”と、同じ意識でいられるんですか?

マエカワ:いや、そこも同じ方向かというとわかんないけどね。

鈴木:確かめてないんで。「いま一番欲しいものはなんだ?」とか。そういう確認は長くなってくるとしないですよね。

マエカワ:もしかしたらドラムの小西とか、ほんとはすごくお金持ちになりたいとか思ってるかもしれないよね。

鈴木:役者になりたいとか。

マエカワ:思ってるかもしれないから。

鈴木:言わないだけで。

マエカワ:あまり確認しない、って大事かもしれない。大体これでいいだろう、で。本気で嫌なときは「絶対これはやめてくれ」って言うだろうから。

メンバー全員が同じ車で移動ということで、それだけでも仲が良いなと感じます。

マエカワ:車の移動中は本読んだり音楽聴いたり、寝てたりとか……しゃべったりはほぼしないかな。たまに共通の友達から「ちょっと乗せてって」って言われると乗せるんですけど。

鈴木:そうすると会話が回りますよね。

マエカワ:友達が乗ると、あまりにも4人がしゃべらんから、大丈夫か?って言われる。それくらい静からしいですよ(笑)。でも俺らはそれが普通。

鈴木:たぶん28年間メンバーチェンジなしでやってるってことで、ものすごく仲が良いって拡大解釈されてるんですよ。ライブに来てもらうと、ステージ上のテンションでずっとツアー回ってるんだろうなって思われてるんでしょうけど、それではおそらく続けられない(笑)。

マエカワ:それに、そんなに面白いことってないじゃないですか。あったとしても、ライブのMCに取っておくようになりましたね。

鈴木:ライブ中に一番テンションが上がるように設定しちゃう。

マエカワ:2回話したらあんまり面白くないしなぁとか、そんなに話術がないしとか、色んなことを考えちゃいますね。

そんなフラカンさんの新しいアルバム『ROLL ON 48』が2017年9月6日に発売されますね。目玉曲は『ハイエース』。現在の機材車もハイエースということで、まずは今乗られているハイエースについてお伺いしたいです。

マエカワ:2008年に新車で買って、走行距離は40万キロを超えました。地球10周分。

2017年8月25日、恵比寿LIQUIDROOMで行われたワンマンライブ「走れ!ハイエース野郎」の会場外に駐められていた“フラカン号”。40万kmを超えてもまだまだ元気。

マエカワ:キャラバンやボンゴに乗っていたこともありますが、今はもうハイエースしかダメなんですよ。グランドキャビンじゃないと。違う車種で移動しろってなったら、帰るレベル(笑)。若い頃と違って、ベンチシートで10時間以上移動できるような体力もないですしね。

鈴木:やっぱりシートが全然違う。今のハイエースに乗る前はベンチシートだったので、腰やおしりが痛い痛い。グランドキャビンに替えた瞬間に、グレード落とせなくなっちゃった。

ハイエースは別格なんですね。

マエカワ:ハイエースはエンジンの強さがやっぱりハンパじゃないんだよね。あと……トヨタ車をあんまりヨイショするみたいでよくないんだけど……(笑)。ハイエースのいいところはね、ハンドルを握ったときの感じ。他の機材車向きの車とは全然違うんだよ! 重厚なの。

鈴木:そういうとこなんだよな。心臓が強いんだな、トヨタは。

マエカワ:俺らからすると、移動の車は機材と同様に重要なもの。ライブの本番より移動時間の方が長いからね。自宅の部屋と、自分の機材と、同じぐらい大切なんですよ。ほぼ家。まあその割に綺麗にしてないんですけどね。でも俺にとってはベースと同じくらい大事です。

そんな想いの中で生まれた曲が『ハイエース』なんですね。フラカンさんの曲といえば、代表曲の『深夜高速』や『感情七号線』、『ライトを消して走れ』に『ドライブドライブ』など、車にまつわるタイトルのものが多い印象です。

鈴木:そうですね、多いかもしれない。車のイメージですね、うん。

『246(にじむ)』は、国道246号線のことですか?

鈴木:あれは東日本大震災があったときの曲で、発生時刻の14時46分の意味ですね。でも国道246でも全然いいんです。その当時、国道246のすぐ近くに住んでたので、まったく掛かってないわけではないです。

車にまつわる曲が多いのは、ハイエースで移動することが日常的で、「ほぼ家」状態になっているからだと。

鈴木:そうかもしれないですね。僕の場合は自分の想いを曲にするから、長い時間一緒にいるハイエースに影響を受けていますね。

歴代のフラカン号、全部覚えていらっしゃいますか?

マエカワ:最初がドラムの小西が買ったマツダのボンゴ、次が友達の使ってたやつを譲り受けたハイエース、そこからファーゴ、ハイエース、キャラバンと続いて……全部で8台か9台かな。間違いなく一番多いのがハイエースですよね。28年間のうち、14年以上はハイエース。

フラカンさんの「初代・ハイエース」は、どのような車でしたか?

マエカワ:シフトがコラムだったの。それがタクシーみたいで、すごい良かったんだよね! フロントはベンチシートだったんじゃないかな? ちょっと定かじゃないんですけど。

メジャーデビュー前の最初の全国ツアーは、初代ハイエースで回られたのですか?

マエカワ:そうですね。ハイエースで回ってたんだけど、ぶつかって事故っちゃって。それで2台目に買ったのが……白のいすゞ ファーゴだな。いすゞ好きだったから。

鈴木:あったなあ。

マエカワ:東京行き始めた頃だから、93年くらいか。知り合いから買ったんだけど、名古屋から東京に行く途中で冷却水が漏れちゃって……。オーバーヒートになりかけて「これはまずい、どうしよう」って。少し走っては水を入れてって、繰り返しながら東京まで向かったの。

当時はラジエーターからの水漏れも多かったですよね?

マエカワ:そう。だから対処法もわかってたんだよね。

その頃はみなさん20代前半。車内はどんな雰囲気だったのでしょうか?

鈴木:当時はもうしゃべりまくってましたね。誰かが「ちょっとこれ聞いてよ! すげーいいの見つけた!」とか言って、持って来たカセットテープとかCDを聞いたり。

鈴木:やっぱカーステがいいんですよね!「これがすごい良かった」っていうのをみんなですぐ聞けて、反応を言い合える。基本は音楽聞いて話して、だけど……どうしようもなくなったらしりとりですよ!

マエカワ:やってましたね。下ネタしりとり……。当時のローディーみたいなやつが、下ネタしりとりに強くて! 普段そんなに面白いこと言わないのに、それだけは強い。そいつの順番になるのが楽しみだったもんな。

下ネタしりとり、興味深いです(笑)。ちなみに音楽はどんなものを聴いていたのでしょうか?

鈴木:クイーンとツェッペリンが一番多かったです。あとはやっぱりローリングストーンズ!

マエカワ:王道のストーンズ。でもクイーンが一番多かったかな。やっぱりその時に一番好きだった音楽ですね。邦楽だとURCレコードの岡林信康さんとか遠藤賢司さんとか、エレカシとか。

名古屋のインディーズ時代に、エレファントカシマシさんに出会ってすごく衝撃を受けられたとか。

鈴木:エレカシと出会ったタイミングも、何か縁があるというか。今でもお世話になっている名古屋の『エレクトリック・レディランド(E.L.L)』っていうライブハウスがあるんですけど、そこにデモテープを持っていったんですね。で、僕らはそのデモテープ持っていくにあたって、「E.L.L」の隣の喫茶店で「どういう感じでしゃべればいいのか?」とか、作戦会議をしてたんです。

マエカワ:そこにエレカシが入ってきたんですよね。その日がエレファントカシマシのライブだったんですよ。

鈴木:まあ、特にメンバー同士で会話はしていなかったように記憶してますけど……静かな感じで。で、「あれってもしかしてエレカシのメンバーじゃないか?」っていうのをあとあと話して。それで早速CDを聞いてみたら、全員が口を揃えて「どえらいバンドだぞあれは!」と。そこからライブに足を運んで……っていう感じですよね。しびれましたね。

40年の歴史を持つ名古屋の名門ライブハウス「Electric Lady Land」、通称「E.L.L(エル)」。(写真提供:Electric Lady Land)

現在も車で移動を続ける理由は?

マエカワ:車って、家と一緒じゃないですか。新幹線や飛行機と違って、めちゃくちゃリラックスできる。気持ち的には楽でいいですよね。

MOBYインタビュー・フラワーカンパニーズ07

自主レーベル「チキン・スキン・レコード」のフラッグと共に写るメンバーとハイエース。左からドラムのミスター小西、ボーカルの鈴木圭介、ギターの竹安堅一、ベース&リーダーのグレートマエカワ。(敬称略)

マエカワ:メンバー以外の人には聞かせたくない情報もあるじゃないですか。車移動はひとつの部屋にいるのと一緒なわけだから、良い事にせよ、悪口にせよ、いろんな事を共有できるっていうのは良いですよね。

車移動だと、お互いの素の部分が現れやすいのでしょうか?

鈴木:「青春」とか言われる時期は車がいいと思います。一体感も生まれるし、悩み相談とかもできるんで。

マエカワ:青春時代というか、バンドが今から固まっていくっていう時期に、距離を縮めるには……。

鈴木:一番いい。


4人でバンドとして活動することへの強い想い入れや、その活動を下支えしてきたハイエースを中心とする歴代機材車への愛着を感じられたインタビューでした。たくさんの時間を機材車の車内で一緒に過ごされてきたメンバーの皆さん……その時間が「メンバーチェンジなし!」の活動を、これまでも、これからも支えていくことでしょう。


次回“MOBYクルマバナシ”第2回では、20代のころの愛車遍歴などを中心に伺います! 乞うご期待!

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Vol.2「青春の思い出の車たち」
Vol.3「“生きててよかった”と思う夜」
Vol.4「40万km……ハイエースとの思い出」
Vol.5(最終回)「たぶん道が広がる」

フラワーカンパニーズ ニューアルバム情報!


ROLL ON 48
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あがいてももがいても更なる未来へ転がり続け、希望を繋ぎ続けるフラカンの世界観を余すことなく詰め込んだ最強のバンド・アルバム!話題の新曲「ハイエース」他全11曲収録。

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取材:朽木一輝、田神洋子、宇野智
撮影:市川晶
文:朽木一輝、田神洋子
編集:田神洋子

執筆者プロフィール
MOBY編集部
MOBY編集部
新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...

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