空冷ポルシェ911|値上がりの理由と930,964,993型の現在の中古車価格は?

ここ数年、中古車市場において空冷ポルシェ911の価格が値上がりしていると話題になっています。そこにはどういった背景(理由)があるのでしょうか? そして、今現在の価格の相場についても調べてみました。

空冷ポルシェ911とは

50余年の歴史を持つポルシェ911

73carreraRS

出典:http://www.lmpcars.com/category/porsche/page/28/

1963年の発表以来、ポルシェの代名詞となっている「911」ですが、現在までのモデルの変遷を辿ると、初期型のタイプ「901」から始まり、「930」「964」「993」「996」「997」、そして現行モデルの「991」に至るまで、50余年の歴史の中で6度のメジャーアップデート(モデルチェンジ)が行われています。
また、そのエンジンに着目すると、初期型の空冷2リッター水平対向6気筒から始まり、2.7リッターに拡大されたりターボモデルも追加されたりしつつ、タイプ「996」からは水冷エンジンとなり、その後3.8リッター(タイプ991 GT3 RSは4リッター)というサイズにまで大型化されました。
しかし、2015年に発表された「991-2型」となる現行モデルでは、すべてのモデルが3リッターエンジン+ツインターボとなりダウンサイジングされています。
「最新のポルシェが最良のポルシェである」とはよく知られた言葉ではありますが、旧モデルだからと言って単純に市場価格が安いとは言えないのが現在のポルシェの中古車市場であり、特に近年においては、タイプ「993」以前の”空冷”エンジンモデルの価格が値上がりしているようです。

また、「空冷ポルシェ」とは、このタイプ933以前の空冷エンジンのモデルを指します。

なぜ今、空冷エンジンなのか? その値上がりの理由と最近の中古車市場における価格(相場)をまとめてみました。

欧州でのオークション文化とクラシックカーの税制度

クラシックカーの希少価値

欧米では元々クラシックカーのオークションが盛んです。
一般的には、新しい車ほど高く、中古車になれば価格は大きく下がりますが、クラシックカーとして希少価値があれば、その価格は新車以上に高くなります。
実際に、歴代最も高額で取引された車は、そのほとんどか希少価値の高いクラシックカーとなっています。
そのような文化の中で、今や生産されなくなった希少なエンジンを搭載する空冷ポルシェの価格が高騰したのは頷けますね。

クラシックカー優遇の税制

また、母国ドイツをはじめとするEU諸国ではクラシックカーの扱いとなる車が優遇される税制度があります。

現在「空冷ポルシェ」が人気となっている理由にはそういった日本国内とは大きく異なる税制度が背景としてあります。
また、国によって異なりますが、「クラシックカー」として認定される条件として製造後30年を経ていることやオリジナルの状態を保っていることなどもあるようです。
2016年現在ではその条件を満たす「クラシックポルシェ」はタイプ「930」以前の空冷エンジンモデルになります。

以上のような税制的な側面も、空冷ポルシェ値上がりの理由の一つと言えます。

希少価値の高いクラシックカーなど、これまでで最高額で取引された車についてご紹介しています。

空冷ポルシェ値上がりの理由とは?

投資対象として希少価値が増す空冷モデル

海外で価値の高騰していた空冷ポルシェですが、比較的程度がよくオリジナルの状態を保ったものが日本国内には多く存在していました。
それが海外の投資家たちの目にとまり、かつ、近年の円安傾向もあって、多くの外国人バイヤーが買い付けするようになったようです。

結果、国内での在庫が減ったことで希少価値が上がり、プレミアが付くような事態にまでなったと見られています。

また、タイプ「930」以前のモデルの市場価格の値上がりは、まだクラシック扱いにはなっていない「964」や最後の空冷モデルであるタイプ「993」にも影響を及ぼし、空冷ポルシェ全体に波及していると考えられます。

このことは、タイプ「996」からの水冷化によって生まれました。
同時に「996」以前の空冷エンジンモデルの希少化といった見方もでき、同時に、全モデルがターボ化された現在においては、将来的にNA(※1)モデルの中古車市場価格が高騰することも予想されます。

※1
「Natural Aspiration〈ナチュラル・アスピレーション〉、または、Normal Aspiration〈ノーマル・アスピレーション〉エンジンの略で、ターボやスーパーチャージャーといった過給器に頼らない自然吸気エンジンのこと」

空冷ポルシェの代表モデルと中古車取引相場価格

希少価値の高い限定生産車に牽引される市場価格

ポルシェ911は、同じ911でもグレードの違いで多くのモデルが存在し、そのため中古車市場におけるその価格の差も大きいと言えます。

空冷ポルシェ①タイプ901

特に、希少価値が高く高値で取り引きされている限定生産車の筆頭として「911カレラRS2.7(通称ナナサンカレラ)」があげられます。
その名の通り、このモデルは1973年にデリバリーが開始されたホモロゲーションモデル(※2)で、総生産台数が1580台(日本に正規輸入されたのはわずか10台とか)ということもあって、昨年(2015年)には1億円の値がついたという話もあるようです。

これは、実に2013年の相場(約2,000万円)の5倍に相当します。
2016年になってからは価格は落ち着きを見せているそうですが、こういった限定生産車のみらなず、タイプ901のナローポルシェ(※3)は全体的に希少価値が高くなっていて、オリジナル(ノーマル)の状態を保っている程度が良いものは1,800万円ほどの高値で取引されています。

同時に、レストアを前提とした状態の悪い車両でも300万円くらいの価格が付いたりしているようです。

Porsche901

出典:http://www.lmpcars.com/category/porsche/page/41/

↑Porsche 911(901・通称ナローポルシェ)

※2
「市販車をベースとした車両が参戦するモータースポーツにおいて、その競技に参戦するために生産・販売された車のこと」
http://car-moby.jp/76149

※3
「初期型(タイプ901)の車幅が狭いモデルのこと」

Porsche73CarreraRS_01

出典:http://www.lmpcars.com/category/porsche/page/3/

Porsche73CarreraRS_02

出典:http://www.lmpcars.com/category/porsche/page/3/

↑Porsche 911 Carrera RS(通称73カレラ)

空冷ポルシェ②タイプ930

バンパーが大型化されたタイプ「930」では、スーパーカーブーム当時に人気だったターボモデルに限らず、NAモデルも人気となっています。
特にMT車で状態が良いものはタイプ「901」同様に、店頭では「価格応談」となっているものが多く、今現在も高値で取り引きされていることが伺えます。
930ターボに限ると2,000万円前後で取り引きされるものもあり、ナローポルシェほどの希少価値はないものの、その分状態が良い車が多いとも言えるため、海外のバイヤーも含め注目を集めているのかも知れません。

Porsche930Carrera3.2

出典:http://www.channel-9.jp/channel-9/stockdetail/298-1_657.html

↑Porsche 911 Carrera 3.2(タイプ930)

Porsche930turbo

出典:http://www.ag-motoyama.com/porsche/930_1978_1/

↑Porsche 911 Turbo(通称930ターボ)

空冷ポルシェ③タイプ964

続くタイプ「964」では、フルATとなったティプトロニックや4WDが採用されたモデルが登場したこともあり、MTモデルの在庫が減って来ていることを受け、より状態がいいモデルが多く存在するとされるAT車への注目も増しているようです
しかし、タイプ「964」でもターボやRSといったハイパフォーマンスモデルは2,000万円を超える高値のものが多く存在します。

Porsche964Carrera2

出典:http://www.lmpcars.com/category/porsche/page/44/

↑Porsche 911 Carrera 2(タイプ964)

Porsche964CarreraRS

出典:http://www.lmpcars.com/category/porsche/page/46/

↑Porsche 911 Carrera RS(タイプ964)

空冷ポルシェ④タイプ993

そして、最後の空冷モデルとなったタイプ「993」ですが、空冷モデルの中では最も新しい車両であることから、レストアの必要もなく安心して乗れるモデルとして人気のようです。
これまでのモデルとは印象が異なる新しい顔が与えられたタイプ「993」では、初めてのマルチリンク式リヤサスペンションを搭載し、ツインターボモデルも登場しました。
そのホモロゲーションモデルであるGT2は、市販された(公道を走れる)車は50台ほどしかないと言われ、希少価値が非常に高いモデルになっています。
一般の中古車市場ではほとんど見ることはありませんが、オークションでは1億円以上の値が付いたそうです。
一方、ノーマルのNAモデルでも走行距離が短いものは1,000万円を超える価格のものも珍しくなく、ここでも空冷モデルの人気ぶりが伺えます。

Porsche993CarreraS

出典:http://www.channel-9.jp/channel-9/stockdetail/298-1_653.html

↑Porsche 911 Carrera S(タイプ993)

Porsche993CarreraRS

出典:http://www.lmpcars.com/category/porsche/page/45/

↑Porsche 911 Carrera RS(タイプ993)

Porsche993GT2Racing

出典:http://www.lmpcars.com/category/porsche/page/42/

↑Porsche 911 GT2 Racing(タイプ993)

空冷ポルシェの各モデル 中古車相場価格まとめ

以下、中古車市場における取り引き価格の相場です。

タイプ901(販売期間:1964年〜1974年)
【取り引き相場】
・300万円〜1,800万円
・1,800万円〜1億円(RSなどの限定生産車)

タイプ930(販売期間:1974年〜1989年)
【取り引き相場】
・350万円〜1,000万円
・1,000万円〜2,000万円(ターボ、RSなど)

タイプ964(販売期間:1989年〜1993年)
【取り引き相場】
・350万円〜1,200万円
・1,000万円〜2,500万円(ターボ、RSなど)

タイプ993(販売期間:1993年〜1998年)
【取り引き相場】
・300万円〜1,500万円
・1,200万円〜3,500万円(ターボ、RSなど)
・1億円〜1億5,000万円(GT2)

以下でポルシェ911の最新の中古車価格についてご紹介しています。


カレラS PDK
1720.0万円
本日の在庫
49
平均価格
572.1 万円
本体価格
168 ~ 2380 万円

空冷ポルシェの希少価値は変わらず?

高値安定傾向の中古車市場

空冷ポルシェについてまとめて来ましたが、いかがでしたでしょうか?
2013年頃から2015年までの高騰ぶりからは全体的に少し落ち着いてきた印象がある中古車市場でのポルシェ911空冷モデルですが、今後流通する台数が増えることが無い現実を踏まえるとその希少性に変わりはありません。
今しばらくは、空冷ポルシェの価格の高値が続きそうな気配です。
お気に入りの1台が見つかった時に、高くても今すぐ買うべきかどうか、二度と手に入らない可能性も高いゆえに、何とも悩ましいですね。

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