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直列4気筒・直列3気筒エンジンの違いとそれぞれのメリットは?なぜ4気筒が多い?

直列4気筒・直列3気筒とは?

©Pathompong/stock.adobe.com

車のカタログなどを読んでいると、直列4気筒エンジンや直列3気筒エンジンといった表記がされています。

これはエンジンの形式を示すもので、4気筒や3気筒といった数字は、エンジン内部でガソリンを燃やす気筒(シリンダー)と呼ばれる燃焼室の数をあらわしています。

直列とは、その気筒が一列に並んでいることを示しています。

つまり直列3気筒エンジンであれば、シリンダー3つが1列に並び、直列4気筒エンジンは4つのシリンダーが並んでいるということです。

車種やグレードごとにこの形式が変わっていますが、これはその車の特徴にあわせて各メーカーが設定をおこなっています。

直列4気筒エンジンの特徴・メリット・デメリット

ホンダ K20C

直列4気筒エンジンはもっともオーソドックスな形式です。「直4」と略される場合もあります。

コンパクトカーからスポーツカーまで、さまざまな車種にこの直列4気筒エンジンが採用されていて、排気量も1.0L未満のものから2.5L前後までと幅広いです。

国内の乗用車メーカーでは、スバルとダイハツを除くほとんどのメーカーがこの直列4気筒エンジンを搭載した車種をラインナップしています。

直列4気筒エンジンのメリット

直列4気筒エンジンはバランスが良く、振動などが少ないスムーズなエンジンです。

高級車に搭載される6気筒や8気筒のエンジンはさらにスムーズなエンジンとなりますが、その分エンジン自体が大きくなるため、車のボディサイズが大きくなったり室内が狭くなったりといったデメリットがあります。

4気筒エンジンはスムーズさとコンパクトさを両立できるため、多くの車種に搭載されたのです。

直列4気筒エンジンのデメリット

前述のとおり、よりシリンダー数の多いエンジンと比較するとスムーズさには欠けます。

しかし、バランスが良いため、これがデメリットとして挙げられることはあまりありません。

直列4気筒エンジン搭載車

ホンダ シビック TYPE R

ホンダ シビック TYPE R(2020年)

2017年に登場したホンダのハイパフォーマンスモデル、シビック TYPE Rには2.0Lの直列4気筒ターボエンジンが搭載されています。

シビック TYPE R専用のチューニングが施されたK20Cは、先代モデルよりさらに性能が磨かれ、320馬力を発揮。「FF車は300馬力が限界」と言われていますが、それをものともしない当時のFF最速車でありました。

現在はすでに販売を終了し、新型モデル登場が待たれていますが、新型モデルには400馬力のエンジンを搭載するとも言われており、これが直列4気筒なのかどうかは気になるところです。

マツダ MAZDA3

マツダ MAZDA3ファストバック(2021年)

マツダの世界戦略車、MAZDA3には1.5Lと2.0Lのガソリンエンジン、1.8Lのディーゼルエンジン、2.0Lのハイブリッドの4種類がグレード別に設定されています。

特に、ハイブリッドに採用されている2.0Lのエンジン「SKYACTIV-X 2.0」は、世界で初めて「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)」を実用化しました。

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンのメリットをあわせもった「SKYACTIV-X」は、ロータリーエンジンを実用化したマツダだからこそ実現できた次世代のエンジンです。

直列3気筒エンジンの特徴・メリット・デメリット

トヨタ G16E-GTS

直列3気筒エンジンは軽自動車などによく見られるエンジン形式です。

現在販売されている軽自動車のエンジンはすべて直列3気筒エンジンで、1.5L程度までの小排気量なコンパクトカーにも採用されています。

日産のハイブリッド「e-Power」では、発電専用の直列3気筒エンジンをコンパクトカーのノートやミニバンのセレナに搭載しています。

直列3気筒エンジンのメリット

直列3気筒エンジンのメリットは、コンパクトかつ軽量にできることです。

また、同じ排気量であれば直列4気筒よりも1気筒あたりの排気量が大きくなるため、より大きなトルクを生み出せるほか、エネルギーロスも少なくなります。

そのため、エンジンルームのスペースに限りがあるコンパクトカーや軽自動車に最適なエンジンなのです。

直列3気筒エンジンのデメリット

4気筒エンジンと比較するとスムーズさには欠け、振動も大きくなりがちです。

ただし、エンジンから発生した振動を緩和するエンジンマウントの進化により、現在の直列3気筒搭載車では不快になる振動はほとんど感じられなくなっています。

直列3気筒エンジン搭載車

トヨタ ヤリス

トヨタ ヤリス(2019年)

トヨタのコンパクトカー、ヤリスには1.0Lと1.5Lの直列3気筒エンジンが搭載されています。

1.5Lモデルにはガソリンエンジンの「M15A-FKS」を搭載するモデルのほか、「M15A-FXE」を搭載するハイブリッドモデルも設定されていて、ハイブリッドモデルはWLTCモードで35.8km/Lと非常に低燃費です。

クロスオーバーSUVのヤリスクロスにも前述の2種類の1.5L直列3気筒エンジンが用意されています。

ハイパフォーマンスモデルのGRヤリスにも同じ直列3気筒ガソリンエンジンが用意されていますが、GRヤリス専用の1.6L直列3気筒ターボエンジン「G16E-GTS」はなんと272馬力を発生するハイパワーエンジンです。

日産 ノート

日産 ノート(2020年)

日産 ノートには「e-POWER」と呼ばれる独自のハイブリッドシステムが採用されていて、1.2Lの直列3気筒エンジンは発電専用。モーターのみで走行をおこないます。

エンジンは回転数ごとに効率が変わるデメリットがありますが、「e-POWER」ではエンジンを走行には使わず発電専用にすることで、効率の良いエンジン回転数での発電が可能となりました。

なお、ミニバンのセレナもe-POWERモデルは同じエンジンを搭載しています。そのため、ミニバンでありながら自動車税はコンパクトカーと同じです。

直列2気筒・直列6気筒もある

直列2気筒や直列6気筒といったエンジンも、数は限られますが存在しています。

直列6気筒エンジンは、かつては日本でも多くのメーカーが乗用車に採用していましたが、2023年3月現在ではトヨタ スープラ、そしてマツダ CX-60の2車種のみです。

直列2気筒は、海外メーカーのフィアットが0.9Lの2気筒ターボエンジン「ツインエア」をFIAT 500(チンクエチェント)に採用しています。

FIAT 500に搭載される「ツインエア」

フィアット FIAT 500(2021年)

FIAT 500の「ツインエア」に採用されている直列2気筒エンジンは、0.9Lのダウンサイジングターボエンジンです。

1.4Lに相当する性能を持ちながら、従来の4気筒エンジンと比べ軽量かつ低燃費なエンジンとなっています。

振動は大きくなりますが、FIAT 500の愛らしい見た目も相まって、それも「味」として好むユーザーが多いようです。

国産車では数少ない直6を積むトヨタ スープラ

トヨタ スープラ(2019年)

トヨタ スープラは3.0Lの直噴ターボエンジン「B58」を搭載しています。

このエンジンはトヨタ製ではなくBMW製であるため、国産エンジンとは言えないものの、日産 GT-RなどがV型6気筒を採用するなか、直列6気筒を採用したのはトヨタのスープラに対するこだわりが見えます。

なお、直列6気筒エンジンが採用されているグレードは「RZ」で、「SZ」に搭載されるのは2.0Lの直列4気筒エンジンです。

執筆者プロフィール
MOBY編集部 高山 志郎
MOBY編集部 高山 志郎
平成元年生まれ、東京都出身。学生時代にモータースポーツ活動を開始し、大小さまざまな耐久レースへ参戦。優勝の経験も持つ。エンジニアとして複数の業界を渡りながら趣味で車やバイクに触れ続け、縁あって自動...
監修者プロフィール
鈴木 ケンイチ
鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...

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