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ターボ車に欠かせないインタークーラーとは?仕組みや効果、ラジエーターの違いについても

インタークーラーとは?どんな効果がある?

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圧縮された空気を冷却する部品

インタークーラーは過給器が搭載された車両に装着される部品の一つです。コンプレッサータービンによって圧縮された空気はインタークーラーを経由する際に冷却され、その後スロットルバルブやインテークマニホールドを経て燃焼室へ送られます。

コンプレッサーとスロットルバルブの間にある

インタークーラーはコンプレッサーとスロットルバルブ(燃焼室へ送る空気の量を決める部品の一つ)の間に設置されています。圧縮されて高温となった空気を冷却してから燃焼室へ送り込むためです。これによりエンジンと過給器による出力をフルに発揮することができます。

また、空気が高温のまま燃焼室へ送られるとノッキングの原因にもなりかねず、エンジンが破損しかねません。インタークーラーはそれを防ぐ役割も果たしていることになります。

吸気温度を下げてパワーアップ

インタークーラーによって吸気温度を下げることでコンプレッサーの効率を高め、エンジンパワーをアップさせられます。

ただし、高温になった空気は膨張するため、空気を1/2に圧縮したとしても、エンジンが吸い込む空気量は2倍にはなりません。それはつまり過給圧を高めるほどエンジン効率は低下するということです。

圧縮された高温の空気をインタークーラーを通して冷却することで、高めた圧力は低下してしまうものの、一定体積あたりの空気密度を高めることができます。それに応じた燃料を供給してやることでパワーアップを図れるのもインタークーラーの効果です。

インタークーラーの仕組みと構造

インタークーラーには走行風を利用して冷却する空冷式と、エンジン内を流れるクーラントで冷却する水冷式が存在し、主に熱伝導率が高く放熱性に優れたアルミで整形されています。

どちらのインタークーラーも、内部は狭い流路が無数に設けられており、放熱面積を広くとれる構造です。

インタークーラー自体が冷えているほど、通過時に高熱の圧縮空気から熱を効率よく奪い、より低い温度の空気をエンジンに供給できるようになります。

インタークーラーとラジエーターの違いは?

熱交換器という意味ではラジエーターもインタークーラーも基本構造は同じです。実際に構造もよく似ています。

ただし、あくまでインタークーラーは吸気温度を下げるためのものであり、ラジエーターは冷却水の温度を下げるためのものです。

©Andrey Popov/stock.adobe.com

インタークーラーの設置箇所はどこ?

水平置きや前置きが主流

インタークーラーの設置箇所で代表的なのはエンジンの上部分に設置する水平置き仕様です。この場合、ボンネットを開ければすぐ視界に入ってきます。もちろんほかの部品も視界に入りますが、インタークーラーはその構造的にパイプとパイプの間にありますし、形状的にも一眼見ればわかるので、見分けやすいでしょう。

フロントエンジンのターボ車と言えばボンネットにダクトが設けられていて、このダクトを通じて空気をエンジンルームへ取り入れてインタークーラーを冷却するのが一般的でした。しかし最近ではそのダクトが設けられていないターボ車が多数販売されているので、ダクトがないから過給器がないというわけでもありません。

その場合、ボンネットを開けただけでは判別しにくい箇所、例えばラジエーターの隣(グリル近く)に設置されていることもあります。何も知らない状態で場所を探すと少し手間がかかりそうですが、エアインテークから吸気管を一つずつ辿っていけば必ず場所はわかるのでインタークーラーを見つけられないということはまずないでしょう。

設置場所はいろいろ

水平に置いたり前置きしたりなど以外にもインタークーラーの設置パターンはさまざまです。

ラジエーターの前あるいは後ろに置いたり、エンジンが運転席・助手席後方にあるミッドシップエンジンに装着される水冷式インタークーラーの専用ラジエーターだけ前方に設置したりなど、設計者のノウハウや考え方が如実に表れています。

インタークーラーがNA車に搭載されないのはなぜ?

NAエンジン搭載 ポルシェ911GT3

吸気温度が下がるほどエンジンパワーは上げられます。しかし、どれほど高性能なインタークーラーを用いても下げられるのは外気温までが限界です。

外気をほぼそのまま吸い込むNAエンジンでは、インタークーラーによる吸気温度の低下は期待できません。それどころかインタークーラーの設置によって、必要以上に長くなる吸気管はアクセルレスポンスの悪化を招き、NAエンジンのメリットを潰してしまうことになります。

かつてはインタークーラーなしのターボ車もあった?

現在ではインタークーラーの標準装備が一般的になり、わざわざ「インタークーラーターボ」と表記されることは少なくなりました。以前の車にインタークーラーが備わらなかった理由は、過給圧やエンジンの圧縮比が現在と比べて低かったためノッキングが起こりづらく、インタークーラーは不要と考えられていたためです。

現在でも、低い過給圧での駆動を想定したボルトオンターボキットなどは、キット本体にインタークーラーは同梱されず、オプション装着となっている場合があります。

インタークーラーの種類

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インタークーラーはその冷却方法で種類分けされています。空気を利用して冷却する空冷式インタークーラー、そして冷却水を使って冷却する水冷式インタークーラーの2種類です。

空冷式インタークーラー

外気を利用して過給された空気を冷やすのが空冷式インタークーラーです。最も普及しているインタークーラーの仕様と考えて間違いないでしょう。

外気を利用するので冷却水のラインを引く必要がないのはいたってシンプルな設計です。ただし、過給された空気の冷却に外気を使うという理由から、より多くの外気を取り込める場所に設置されます。

水冷式インタークーラー

水冷式インタークーラーは冷却水を用いて過給された空気を冷やすインタークーラーです。冷却のために走行時に空気を取り込むことを考える必要がなくなるため、取り付け場所の自由度が高くなります。

水冷式インタークーラーにおける懸念点は、冷却水がエンジンと共有するかどうかという点です。エンジン冷却水がインタークーラーに使用されると、水温状況によってインタークーラーの性能にも影響が出ることがあります。そのため、水冷式インタークーラー専用のラジエーターも存在します。

また、水冷式インタークーラーは冷却水の循環にウォーターポンプが必要です。ポンプを動かすとなれば電源も必要になるので、設置には電装部品をいじることになります。

インタークーラーの冷却機能を高める工夫

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インタークーラーの冷却機能を上げるために純正と比べて大容量化されたインタークーラーがありますし、ウォータースプレーをエンジンルーム内(ボンネット裏側)に設置してインタークーラーへ必要に応じ水を吹きかけるようにされたものもあります。

大排気量かつ過給器が搭載された自動車や、モータースポーツに使われる競技車両でブーストアップされたものなどは、インタークーラーやラジエーターなどの冷却類に並ならぬ工夫がなされている可能性が高いです。

モーターショーやオートサロン、タイムアタックイベントなどでそういった車両を見つけた際には、どのようなインタークーラーが装着されているのかをチェックしてみてはいかがでしょうか。

社外品のインタークーラーに交換するメリットは?

大型の社外インタークーラーに交換することで、吸気温度をより低く保てるメリットがあります。

社外品の前置きインタークーラーはその最たるものであり、もっとも走行風が当たりやすい車体前端に設置することで、高い過給圧で駆動している車のパワーアップやエンジン保護に効果的です。

ただし、大型化するほどアクセルレスポンスが低下する弊害があるため、過給器や走行場所に見合ったサイズのインタークーラーを装着することが大切です。

なかには、純正インタークーラーと同等のサイズながら、本体内部の空気の流れを改善し、冷却性能を保ったままエンジンレスポンスアップが期待できる製品もあります。

また、純正の水冷式インタークーラーでは連続走行で水温が危険温度まで上がってしまう場合にも、社外の空冷式に交換される場合があります。

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執筆者プロフィール
MOBY編集部
MOBY編集部
新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...
監修者プロフィール
鈴木 ケンイチ
鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...

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