MOBY(モビー)自動車はおもしろい!

MOBY[モビー] > お役立ち情報 > 役立つ情報 > トラクションコントロール(TRC・TCS・TCL)とは?メリットとデメリットや仕組み
役立つ情報

更新

トラクションコントロール(TRC・TCS・TCL)とは?メリットとデメリットや仕組み

トラクションコントロールとは?

©Elena/stock.adobe.com

トラクションコントロールは、路面と車輪の空転を防ぐことを目的とした制御機構の1つです。タイヤが空転するとシステムがそれを感知し、エンジン出力を抑える等の手段で空転を抑えます。トラクションコントロールが介入する、またはしたとき、メーター上にあるインジケーターが点滅します。

トラクションコントロールの役割

©Milan/stock.adobe.com

トラクションコントロールの役割は、運転手誰もが駆動力を路面へ確実に伝えられることを可能にすることです。

トラクションコントロールの介入において肝となるのはタイヤと路面の関係です。タイヤが路面に摩擦している間は空転しませんが、グリップ力の限界を超えると空転します。

ドライタイヤは天気が良く乾いたアスファルト路面ではよくグリップしますが、雨で濡れたアスファルト路面では同じタイヤでもグリップ力は低下する傾向にあります。タイヤがグリップしにくい路面では、空転しない範囲でトラクションを伝えることが大切です。

トラクションコントロールのない車両を運転するとき、運転手のアクセル操作によって空転を制御します。しかし、これはきめ細かいペダルワークとタイヤのグリップを感じる感覚が求められるため、難易度が高いです。

トラクションコントロールを搭載することにより、車がほぼ自動的にタイヤの空転を抑え、どんな路面でも安定した運転が可能になります。

メーカーによって呼び方は異なる

自動車メーカーごとにトラクションコントロール機能の呼び方は異なります。

例えばトヨタやダイハツはTRC(タイヤ空転抑制機能)と表現しています。ホンダとマツダの場合はTCS(トラクションコントロールシステム)、三菱はTCL(トラクションコントロールシステム)です。

トラクションコントロールのメリット

©tamayura39/stock.adobe.com

タイヤが滑りやすい路面でも空転せずトラクションを路面へ伝えられるので、不安定な路面コンディション化でも安定した運転ができるようになります。

特に冬場の路面は積雪や凍結によって滑りやすくなります。そうしたときにトラクションコントロールが機能すると比較的滑らずトラクションが路面へ伝わるようになるので安心・安全です。

TRCがあるからといって過信すべきではありませんが、ないよりは安全です。

トラクションコントロールのデメリット

©yumeyume/stock.adobe.com

空転時の車速差が一定を超えたときに制御が入ることは、別の言い方をすればエンジン回転数が一定のところまでしか上がらないことになります。

アクセルを踏んで加速したいときにトラクションコントロールが働けば、アクセルペダル操作と加速が一致しないので違和感を感じるでしょう。

モータースポーツやスポーツ走行時のようにトラクションを稼いで車を前に進めたい場合は、トラクションコントロールがそれを妨げる要因となります。そのためトラクションコントロールをオフにし忘れると、思うように走れない可能性も。

ただし、運動性能やエンジンスペックが高い車両の場合、電子制御がかかっていない状態で雑なアクセルペダル操作をすると、タイヤが強力なエンジンパワーを受け止められません。そのため、簡単にホイールスピンしてしまいます。

ハイパワー車両を運転するときにはトラクションコントロールをオンにしておくのが無難とも言えるでしょう。

トラクションコントロールの仕組み

©beeboys/stock.adobe.com

車速センサーと実際の車速の差が介入の基準に

タイヤが空転しているとき、非空転時と比べて駆動輪が速く回転していることになります。しかし実際の車速は駆動輪の高回転に合わせて上がりません(空転しているのでトラクションが路面へ伝わらないから)。

このとき、各車輪に装着されている車速センサーが感知する車速と実際の車速に差が生じます。これらの車速の差が、トラクションコントロールが介入するときの判断材料となっています。

実際に空転を抑える制御は、ブレーキ制御とエンジン制御によって行われます。空転したときに燃焼室への燃料供給をカットしたり、空転時に検知される「車速の差」が一定値を超えたら空転車輪にブレーキをかけるといった感じです。

トラクションコントロールは常に機能する?

トラクションコントロールは基本的に常に機能しますが、スイッチでオンとオフを切り替えられるようになっています。ある一定の場面ではトラクションコントロールの介入が運転を妨げることになるからです。

スイッチはステアリング周辺に設置されていて、運転中に操作できるような位置にあります。

トラクションコントロールと横滑り防止装置の違い

©takasu/stock.adobe.com

横滑り装置はタイヤの横滑りを防ぐのが目的ですので、タイヤが横滑り(スライド)したときに介入します。

フロントタイヤが流れて外へ膨らんだとき(アンダー)や、リアタイヤが流れてドリフト状態(オーバー)になったときが、横滑り装置が機能するときです。

トラクションコントロールは空転を防ぐのが目的ですので、横滑り装置とは目的が異なります。

平常時、むやみにオフにする必要はない

©Ainoa/stock.adobe.com

現行車の多くは基本的に電子制御が入った状態になっていて、オフにするには運転手が自ら操作する必要があります。

危ない場面であえてオフにする必要はありませんが、ドライビングレッスンに参加すると、オン・オフ時の車の挙動の違いを体感することができるでしょう。

タイヤは4輪とは限らない!魅力満載の4輪ではない自動車たち

執筆者プロフィール
中華鍋振る人
中華鍋振る人
自動車とバイクに関連する記事を書いています。モータースポーツは観戦よりも参戦派。道交法や違反に関する情報を、法律に詳しくない人にもわかりやすく解説しています。
監修者プロフィール
鈴木 ケンイチ
鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...

\ この記事が役に立ったらシェアしよう /

MOBYをフォローして最新記事を受け取ろう

すべての画像を見る

画像ギャラリー

コメント

利用規約

関連する記事

関連キーワード