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車の排気量とは?自動車税や馬力との関係や車選びのポイント

車の排気量とは?

車 排気量
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車の重要スペックの1つであり、少しわかりにくい用語でもある排気量。排気ガスの量をイメージさせる言葉ですが、実際の意味はやや複雑で、エンジン設計に関係します。

ごく簡潔にいうと、排気量とはエンジン内で燃料が燃焼する空間の容積です。この容積を専門的には行程容積と呼びます。たとえば、排気量2,000ccの車であれば、エンジンの行程容積も2,000ccです。

排気量は車の走行性能や使い勝手に影響を与えるスペックであり、自動車税に関連する数値でもあります。排気量について詳しく知ることにより、車への理解が深まるだけでなく、適切な車選びができるようになります。

排気量とエンジン構造の関係

車 排気量 エンジン構造の関係
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排気量はエンジンの行程容積によって決まる数値です。では、エンジン内のどのようなパーツによって行程容積が決まるのか。排気量の知識を深めるために、エンジン構造について見ていきましょう。

排気量を決めるパーツ

車のエンジンの内部は注射器と似た構造になっており、円筒型をしたシリンダーの中に円柱状のピストンが収まっています。シリンダー内の空間はシリンダーヘッドとピストン上端で閉じられており、このスペースで燃料が燃焼します。

以上の構造からわかるように、シリンダーとピストン、およびシリンダーヘッドが行程容積を決める主なパーツです。往復運動するピストンが下死点(最下端)まで下がった際の、シリンダー内の容積が1気筒あたり(シリンダー1つあたり)の行程容積となります。

車のエンジンは3気筒から12気筒で構成されることが一般的です。1気筒あたりの行程容積を計算して、気筒数を乗じることにより、その車の総排気量を算出できます。

排気量の計算方法

車の総排気量は、シリンダーのボア(内径)とピストンのストローク(上下動の幅)、および気筒数から算出できます。計算式は次のとおりです。

(ボア÷2)×(ボア÷2)×円周率×ストローク×気筒数=総排気量

上記の式ではまず円柱の体積を算出し、そこに気筒数を乗じています。具体的な計算例として、ボアが71.0mm、ストロークが83.9mmの3気筒エンジンの総排気量を算出してみましょう。

(3.55×3.55×3.14×8.39)×3=996

以上の計算から、このエンジンの総排気量は996ccだとわかります。なお、エンジンのボアやストロークは、後述する主要諸元表で確認できます。

排気量とエンジンパワーの関係

車 排気量 エンジンパワーの関係
©LAYHONG/stock.adobe.com

排気量が大きいほどに、エンジン内で一度に爆発する燃料の量が多くなります。では、排気量が大きいほどにエンジンパワーも増すのかというと、単純にそうとはいえません。エンジンパワーを示す数値には馬力とトルクがあり、それぞれに排気量との関係性が異なります。

排気量と馬力の関係

排気量が同じ車同士であっても、モデルが違えば馬力の最大値は異なります。たとえば同じ2,000ccの車であっても、トヨタ 86の最高出力は207PS(152kW)、トヨタ ヴォクシーのガソリン車の最高出力は152PS(112kW)です。こうした差が生まれる理由を知るには、馬力について理解する必要があります。

馬力とは1秒間の仕事率を表す数値であり、単位は上記のPSまたはkWで表されます(1PS=0.7355kW)。自転車にたとえるなら、馬力はペダルの回転数に応じて発生するパワーです。ペダルを速く漕ぐほどに高いパワーが発生して、走行速度がアップします。

車に話を戻すと、排気量が同じであれば、高回転まで回るエンジンのほうが高出力となります。86の最高出力がヴォクシーより高いのは、86のエンジンが高回転まで回る設計になっているからなのです。

排気量とトルクの関係

トルクは排気量との関連性が深い数値です。簡潔にいうと、トルクとはエンジンの回転軸を回す力であり、自転車でいえばペダルを漕ぐ力に相当します。足の筋力が強いとペダルを漕ぐ力が上がるように、排気量が高いと回転軸にかかるトルクがアップします(単位はN・mまたはkgf・m)。

馬力が最高速度に関連する数値である一方、トルクは加速力に関連する数値です。基本的には、排気量の大きい車ほど最大トルクが高く、加速力も高いと考えてよいでしょう。ただし、ターボエンジン搭載車やディーゼルエンジン車は、排気量が上の自然吸気エンジンと同等か、それ以上の最大トルクを発揮します。

排気量と税金の関係

車 排気量 税金の関係
©terovesalainen/stock.adobe.com

排気量は自動車税(種別割)の税率を規定する要素です。自動車税(種別割)は車の購入時に発生するほか、車を所有しているかぎり毎年課税されます。カーライフに役立つ知識として、排気量と税金の関係を押さえておきましょう。

排気量別の税率

車の排気量が上がるほどに、自動車税(種別割)の税率も上がります。2021年10月現在の排気量別の自動車税(種別割)は次の表のとおりです。

排気量税率(年額)
1L以下25,000円
1L超〜1.5L以下30,500円
1.5L超〜2L以下3,6000円
2L超〜2.5L以下43,500円
2.5L超〜3L以下50,000円
3L超〜3.5L以下57,000円
3.5L超〜4L以下65,500円
4L超〜4.5L以下75,500円
4.5L超〜6L以下87,000円
6L超110,000円

上記は2019年10月1日に改正された税率であり、同日以降に新規登録された自家用車に適用されます。

旧税率と軽自動車税

2019年9月30日までに新規登録された車には、現在の税率ではなく、改正前の税率で自動車税(種別割)が課税されます。旧税率は次のように現在の税率とくらべて割高です。

  • 1,000cc以下の車=現行の+4,500円
  • 1,500cc以下の車=現行の+4,000円
  • 2,000cc以下の車=現行の+3,500円
  • 2,500cc以下の車=現行の+1,500円
  • 2,500cc超の車=現行の+1,000円

なお、ここまでに述べたのは、登録車の自動車税(種別割)の話であり、軽自動車には10,800円の軽自動車税(種別割)が課税されます。こちらは2015年4月1日に改正された税率であり、同年3月31日以前に新規登録された軽自動車には旧税率(7,200円)が課税されます。

排気量は車選びにおいても重要スペック

ディーラー
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排気量は車選びで考慮したい重要スペックです。大排気量車と小排気量車では使い勝手が異なるため、両者のメリットとデメリットを押さえたうえで、自身に適するモデルを選ぶ必要があります。

大排気量車のメリット・デメリット

大排気量車のメリットには、次の3点が挙げられます。

  • エンジンパワーにゆとりがある
  • 車内の静粛性が高い
  • 長距離を乗っても疲れにくい

大排気量車はパワーにゆとりがあり、加速性能や登坂性能に優れます。また、多くの場面で低いエンジン回転数で走行できるため、車内が静かで振動も少なめです。これらメリットを持つ大排気量車は、多人数での移動やロングドライブに適します。続いて、大排気量車のデメリットを見てみましょう。

  • 車両本体価格と税金が高額
  • 燃費が悪くなりやすい
  • 車体が大きく取り回ししづらい

大排気量車には高価なモデルが多く、前述のとおり税金も高額です。燃費の悪さも大排気量車のデメリットであり、ストップ&ゴーの多い街中では特に多くの燃料を消費します。また、大排気量車は大柄なモデルが多いため、狭い路地や駐車場で扱いにくさを感じる場合があります。

小排気量車のメリット・デメリット

小排気量車のメリットには、次の3点が挙げられます。

  • 車両本体価格と税金が安い
  • 燃費性能に優れるモデルが多い
  • コンパクトなモデルが多く取り回ししやすい

小排気量車には低価格なモデルが多く、自動車税も安く抑えられます。燃費性能が高く、かつ運転しやすいモデルが多いことも小排気量車のメリットです。以上の点から、コストを押さえて普段使いする車には、小排気量車が適するといえます。次に、小排気量車のデメリットを見てみましょう。

  • 加速性能が低い
  • 騒音や振動が大きくなりやすい
  • 長距離運転にはやや不向き

加速性能の低さから、小排気量車は高いエンジン回転数で走るシーンが多く、車内に入るエンジン音や振動が大きくなりがちです。このため、乗員の疲労が溜まりやすく、ロングドライブにはあまり適しません。

排気量はどこでチェックできる?

カップル
©metamorworks/stock.adobe.com

一般的な車の排気量はインターネットで調べることができます。車選びを行う際は、次のいずれかの情報をチェックしてみてください。

  • メーカー公式サイトのモデル情報
  • メーカー公式サイトに掲載の各モデルの主要諸元表
  • 中古車情報サイトのカタログ情報

多くの場合、メーカー公式サイトのモデル情報では、排気量はリットル単位で大まかに表記されています。排気量2,000ccのモデルであれば、サイト上の表記は2.0Lです。

2番目にあげた主要諸元表とは、車体サイズやエンジン性能などの情報をまとめたスペック表です。主要諸元表では、排気量はcc単位までわかるように書かれており、数値はモデル情報の値より少し低くなります(例:2.0L=1.986Lまたは1,986cc)。

中古車情報サイトのカタログ情報では、旧モデルの排気量を確認できます。欲しいモデルの情報をチェックする際は、年式やグレードを間違えないよう注意してください。

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執筆者プロフィール
加藤 貴之
加藤 貴之
1977年生まれのフリーライター。10年以上務めた運送業からライターに転向。以後8年以上にわたり、自動車関連記事やIT記事などの執筆を手がける。20代でスポーツカーに夢中になり、近年は最新のハイブリッド車に興...
監修者プロフィール
鈴木 ケンイチ
鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...

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