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壊れた車のエンジンを見る女性
車検・メンテナンス

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【エンジンブローの原因と前兆】症状や修理費用、対処・予防法を解説

エンジンブローとはどんな意味?

エンジンブロー
©Andrey Popov/stock.adobe.com

エンジンブローとは、エンジンの深刻な故障を指す言葉です。

原因はさまざまですが街乗り車の場合、オイル管理の悪さが原因である可能性が高いです。エンジンブローするとエンジンルームから白煙がでたり異臭がするなど、通常とは違う状態になるのですぐに気づくでしょう。

エンジンブローは通常、サーキット走行をしている車に発生する可能性が高いものです。

最近の車は簡単には壊れないほど精度が高く、街乗りとして使っているならエンジンが壊れることは滅多にありません。しかしメンテナンスをしっかりと行っていないのであれば、街乗り車でもエンジンブローする可能性はあります。

エンジンブローはつまり「簡単に直らないほどエンジンが壊れている」ということですので、整備工場への説明の際に「エンジンブローした」とだけ伝えても、すぐには具体的な修理や対処法はわかりません。場合によっては修理できず、交換となる可能性もあります。

エンジンブローの原因

エンジンブロー 原因
©New Africa/stock.adobe.com

エンジンの焼きつき

エンジンの焼き付きはエンジンブローに直結します。少しでも焼け付きが発生すると、エンジンが止まってしまうのは時間の問題でしょう。

原因としてはオイル不足が考えられます。エンジンオイルが不足していることで、ピストンやカムシャフトなどエンジンオイルで潤滑していた装置がスムーズに動かなくなるためです。

タイミングベルト切れ

タイミングベルト切れもエンジンブローに直結します。タイミングベルトとは、クランクシャフトとカムシャフトにかかっているゴム製のベルトです。

タイミングベルトがあることでピストンとバルブのタイミングを調節しています。そのためベルトが切れてしまうと、タイミングがずれエンジンブローにつながるのです。

エンジンの燃焼室は車の年式が新しくなるほどコンパクトになっています。そのためピストンとバルブのタイミングが少しでもずれてしまうと、バルブとピストンが干渉してしまいます。

バルブがピストンに突き刺さったり、ピストンがシリンダーブロックから突き出てしまうなど修理できないほどの故障につながることもあるのです。

エンジンのオーバーヒート

オーバーヒートもエンジンブローにつながる重大な故障です。

オーバーヒートとはエンジンを冷ます冷却水の不足や、循環装置の故障で発生します。冷却水がエンジン内を循環できないことで、エンジンの熱を冷ますことができず、エンジンが高温になります。

最終的に熱に負けたアルミなどが歪み、回転を維持できなくなってしまうのです。エンジンの部品であるアルミが歪むと冷却水だけでなくエンジンオイルも同時に漏れます。

そのままエンジンをかけ続けていると、オーバーヒートに加え焼き付きも発生し修理すらできない状態に。こうなってしまうとエンジンごと交換するしかありません。

©tongpatong/stock.adobe.com

シフトミス

サーキット走行などのようなエンジンの限界まで回転数をあげて走行している場合、シフトの入力ミスによりエンジンが壊れてしまう可能性があります。

エンジンには限界の回転数というものが存在します。限界を超えるとエンジンオイルが巡回しきれず、一時的にでもオイル切れが起こったり、バルブが異常な動きをしてしまいます。

そうなるとピストンやバルブの焼け付きなどによりエンジン故障の原因になってしまうためです。

しかし一般道で少し回転数を上げたからといって、シフトミスによってエンジンブローが引き起こされる可能性は低くなります。

例えば、一般走行で4速に入れようとして3速に入れてしまっても、制限時速を守った走りであればエンジンへのダメージはあまりありません。

もちろん高速道路をサーキット走行並みにスピードを上げて走っていれば、話は別です。

また、5速へ入れるほどのスピードで走っているのにかかわらず、無理やり1速に入れるといった通常の運転ではありえないシフトミスでもエンジンブローの可能性が上がります。

一般道を普通に運転しているなかで、シフトミスによるエンジンブローは原因としては低い現象であるといえるでしょう。

オーバーレブ

シフトミスによるオーバーレブでエンジンブローが発生してしまうので、エンジンブローの原因としてシフトミスとオーバーレブは関係性がかなり高いトラブルです。

オーバーレブとは回転数が上がりすぎている状態、つまりエンジンへ重大なダメージを与えてしまう現象です。

タコメーターが取り付けられている車には、右側のメモリが赤く塗られています。この部分まで回転数があがれば回転数が高すぎる、つまりオーバーレブ状態になっているということです。

こう考えるとオーバーレブの状態というのはシフトの入力ミス以外として急加速なども可能性として出てきますよね。

現在の車には速度上限を制御する装置が取り付けられているため、いくらアクセルを全開にしてもオーバーレブで壊れるということはありません。

昔の車であればそのような便利な装置はなかったので運転手が無理な加速をすることで、エンジンが壊れることもありました。そのため現在販売されている車でオーバーレブを引き起こす原因は、シフトミスである可能性が非常に高いのです。

GR86のエンジンブロー原因はこのどれでもないらしい

昨今話題のトヨタが販売しているGR86のエンジンブローは、おそらく液体パッキンの量が多すぎるために発生しているようです。おそらくと書いたのは、執筆時点(2022年9月5日)では公式に発表されていないからです。

SNSなどでの情報を見る限り、エンジンの組みつけ段階でオイルパンに塗布される液体パッキンの量が変更され、以前よりも多めに塗っているのではないかという話も出てきています。

整備作業でも液体パッキンを塗ることはありますが、やはり塗りすぎはあまりよくないというのは整備士であれば誰でも知っていることです。

指示量の伝達ミスなのか、故意に増やしているのかその点はわかりませんが、分解したオイルパンに塗られていたガスケットは多く、大量にはみ出している状態であることが分かります。

このように液体パッキンが多すぎるとくっついているうちはいいですが、剥がれ落ちてしまうと最悪の場合、オイル詰まりの原因になってしまいます。オイルが詰まると、オーバーレブなどの操作ミスをしていなくてもオイル切れが発生し焼けついてしまうのです。

あくまでも現段階では予測にすぎず、執筆時点(2022年9月5日)現在リコール情報も出ていないことから一部でトラブルはあるものの、そこまで数は多くないのかなといった印象を受けます。

エンジンブローの前に意識すべき前兆や異音

エンジンブロー 前兆 異音
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これからお伝えする症状は、エンジンブロー前に必ず発生するわけではありませんが、エンジンブローの前兆として多いものをピックアップしました。

エンジンルームからの白煙

エンジンルームからの白煙はエンジンオイルが燃えている証拠です。この場合、エンジンオイルが減り続けていると考えられます。白煙が出続けているならすぐにエンジンを切りましょう。

そのままエンジンをかけ続けていると、最終的にエンジンオイルが不足し焼き付きを起こしてしまいます。

チェックランプ点灯

エンジンオイルが不足しているとオイルチェックランプが点灯します。加えて、エンジンへなんらかの故障が見られる場合、エンジンチェックランプも点灯するでしょう。エンジンオイルのチェックランプは油圧が規定値よりも低くなると自動的に点灯します。

仮にオイルが少し残っていたとしても油圧が低いためうまく循環させられません。エンジン内にオイルが無くなると前述したとおり、エンジンはすぐに焼き付きます。

そうなる前にエンジンを切りエンジンオイルを補充する必要があります。

異音や異臭

エンジンブローでは異音や異臭が発生することもあります。異臭はエンジンオイルが焼けている証拠です。

そして「ゴロゴロ」や「ガラガラ」などの異音は、循環させるためのオイルが不足し、金属同士がぶつかっている音です。

明らかにいつもと様子が変わるので車に詳しくない方でもすぐに気づくでしょう。安全な場所に停め、すみやかにエンジンを切っておく必要があります。

エンジンブローしたときの対処法

エンジンブロー 対処法
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走行中エンジンブローしてしまった場合、すぐに安全な場所へ停車しエンジンを切りましょう。

エンジンをかけ続けているとエンジンの状態はさらに悪化します。修理して直る程度の故障でも、エンジンをかけ続けていることで修理できないほど深刻な状態になってしまう可能性もあるのです。

また、エンジンブローの状態によっては走行中にエンジンが止まってしまうことも考えられます。走行中にエンジンが止まるとハンドルが重くなり操作しづらくなるだけでなく、ブレーキもききづらくなります。

エンジンブローによって事故を起こす可能性もあるのですぐに路肩に停車し、2次災害を発生させないために、三角表示板などを設置しておきましょう。

エンジンブローすると自走は不可能!すぐにロードサービスに連絡を

エンジンブローしてしまうと基本的に自走不可能です。そのため安全を確保したらすぐにJAFなどのロードサービスに連絡し、助けを求めましょう。

JAFに加入してないのであれば任意保険に付帯しているロードサービスでも構いません。

効果的な予防法は定期的なオイル交換

エンジンブロー 効果的なオイル交換
©Photo Sesaon/stock.adobe.com

定期的なエンジンオイルの交換はエンジンブローの予防として効果的です。街乗りの車の場合、オイル管理の悪さによってエンジンブローを引き起こしている可能性があります。

そのためエンジンオイルの交換は決められたタイミングで行いましょう。エンジンオイルを交換せずに乗り続けていると、以下のような不具合が出ます。

  • オイル漏れ
  • オイル消費
  • オイルラインの詰まり

これらはエンジンブローに発展する焼き付きの原因になります。放置し続けることにメリットはありません。

また、症状が申告になればなるほど修理費用は高額になります。特にオイルラインの詰まりは、エンジン内部の話なのでオイル交換をしても直りません。

詰まった汚れはオーバーホールをしても取り除くのは難しく、エンジンの交換に発展してしまうことも。そのため焼き付きを発生させないように定期的なエンジンオイルの交換が大切なのです。

消耗品を定期的に交換することも大切

オイル管理に加え、その他の消耗品の定期交換も大切です。例えばスパークプラグも交換時期が定められており、使い続けていると火花を出せなくなってしまいます。

また、いくらエンジンオイルを定期的に交換しても、漏れていては意味がありません。もしエンジンオイル漏れがあれば漏れている場所に使われているガスケットを交換しておくなども大切です。

エンジンブローの修理費用

エンジンブロー 修理費用
©Yoshiyuki/stock.adobe.com

エンジンブローの修理費用はピンキリです。数十万円で修理できることもありますし、エンジンの載せ替えが必要な場合もあります。

エンジン載せ替えが必要なのであれば、100万円以上費用が発生することも十分考えられます。そのため修理費用はエンジンの状態によるという答えになってしまいます。

エンジンブローすれば必ず整備工場へ持って行くはずなので、お店で見積もりを出してもらいましょう。

修理しても完全に元の状態に戻るわけではない

エンジンブロー後は修理しても完全に元の状態に戻るわけではない、ということを覚えておいてください。

仮に、オイル漏れが原因で焼け付きかけていたとして、エンジン内部を洗浄してもエンジンへ与えたダメージは消えません。つまり修理によって走行できる状態になったとしても、使い続けることでまた故障してしまう可能性もあるということです。

街乗りの車では滅多に発生することはないものの、オイル管理が悪すぎると焼き付きの原因になります。エンジンブローしてしまうと修理費用は高額です。場合によっては乗り換えを検討しなければなりません。

そして焼き付きやオーバーヒートは想像している以上にエンジンへダメージを与えます。そのためエンジンブローした後は以前より、エンジンへの負荷をかけすぎない運転を心がけましょう。

そうならないためにオイル管理をはじめ車のメンテナンスはきちんと行いましょう。

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執筆者プロフィール
山北吏(つかさ)
山北吏(つかさ)
1989年生まれ。現役整備士(整備士3級)webライター。webライター歴は1年半。愛車はインプレッサ(GH8)。車に乗るなら絶対MT!実家が田舎だったこともあり山道は得意!整備士として働き始め3年目。前職は輸入業...
監修者プロフィール
鈴木 ケンイチ
鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...

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