ヘラクレスの愛馬?三菱 スタリオンの歴史と現在の中古車価格は?【日本の名車】

三菱スタリオンは、リトラクタブルライトを採用し当時の先進的スポーツカー要素を含んだスペシャリティカーです。 三菱伝統のエンジンを搭載し80年代からバブル期までの間、アメリカ輸出仕様が国内仕様へフィードバックされたりと注目すべきポテンシャルを持った車でした。そんな三菱スタリオンについて綴ってみたいと思います。

三菱スタリオンってどんな車?

出典:http://www.mitsubishi-motors.com/

機甲車、装甲車と言う仇名

三菱スタリオンは、三菱自動車工業が1982年から1990年まで製造販売していたFR3ドアクーペのスペシャリティカーです。
デビュー販売時のキャッチコピーは、「ヘラクレスの愛馬、スタリオンが今、星になって帰ってきた」。

ギャランΣ/エテルナΣのフロアパンを共通としギャランΛ/エテルナΛの後継車種としてデビューしました。
角ばったデザインの継承と当時は先進的スポーツカー証としてリトラクタブルヘッドランプが採用されました。
無骨で直線的なスラントノーズデザインとヘッドランプが普段閉じた状態から、機甲車とも装甲車とも仇名されまるで兵器のような姿です。

仮想ライバルは、ベンチーマークとして同じFRスペシャリティカーのポルシェ924ターボでした。
当時、自然吸気2.8リッタークラスの加速を2.0リッターターボエンジンで実現させ
エンジン特性もトルク重視の傾向にあり、比較的扱いやすい車のようです。

ユーザーの必要に応じて幅広い価格帯を設定し、上は三菱の最上級車デボネアに次ぐ
豪華仕様からビギナー向けのエントリーモデルまで多彩のラインナップでのデビューでした。

出典:http://www.mitsubishi-motors.com/

出典:

法改正、仕様変更を続ける歴史

出典:http://catalog.carsensorlab.net/

初年度モデルは日本の法規制によりフェンダーミラー仕様でしたが、1983年に法改正によりドアミラー仕様に変わり、輸出仕様と同じにノーズ部分が強調されスタイリッシュに変わり、この時に最初のマイナーチェンジも行われました。
続いて1984、1985年にもマイナーチェンジと仕様変更が行われ商品力に力を入れたようです。

輸出も北米、オーストラリア、ヨーロッパ圏へもされ、特に北米市場が重視されていました。
三菱ブランド以外でのOEM供給車も存在します。
ダッジブランドでプリムス・コンクエスト(1984~1986)、クライスラー・コンクエスト(1987~1989)の名前で販売されました。

日本仕様はフロントにMMCエンブレム、輸出仕様には三菱エンブレムとひと目で分かる違いがあり最終型GSR-VR(1988~1990)では三菱エンブレムに統一される事になりました。

1987年にGSR-VRの名の日本仕様と北米仕様をMIXしたグレードが限定50台で発売されました。
エンジンは既存の物を使い、北米仕様で存在するブリスターフェンダーのワイドボディでの登場です。

翌1988年以降GSR-VRが標準化しワイドボディ、2.6ℓエンジン+ターボのモノグレード化となりました。

三菱スタリオン主要諸元

出典:http://www.nikkeibp.co.jp/

■エンジン:1,997cc 縦置き直列4気筒 SOHC 2バレルキャブエンジン(4G63B型)
最高出力:110PS/5,500rpm
最高トルク:20,0kgm/3,500rpm
GX・X(試作車)に搭載

5MT(1982データ)
10モード燃費:11.0km/ℓ
60km/h低速燃費:19.2km/ℓ

■エンジン:1,997cc 縦置き直列4気筒 SOHC ターボ付エンジン(4G63BT型)
最高出力:175PS/5,500rpm
最高トルク:25,0kgm/3,500rpm
GSR-Ⅰ・GSR-Ⅱ・GSR-Ⅲ・GSR-Xに搭載

5MT(1982データ)
10モード燃費:12.5km/ℓ
60km/h低速燃費:21.1km/ℓ
4AT(1982データ)
10モード燃費:9.0km/ℓ
60km/h低速燃費:19.4km/ℓ

※1983年より空冷式インタークーラー装備
※過給器:三菱TC05-12A(主に日本・北米仕様)、三菱TC06-11A(主に豪州・欧州仕様)

■エンジン:1,997cc 縦置き直列4気筒 SOHC ターボ付エンジン(4G63BT型・SIRIUS DASH3×2)
最高出力:200PS/6,000rpm
最高トルク:28,5kgm/3,500rpm
GSR-Ⅴ・GSR-VR(1987)限定車に搭載

5MT(1984データ)
10モード燃費:11.4km/ℓ
60km/h低速燃費:-km/ℓ
4AT(1984データ)
10モード燃費:11.2km/ℓ
60km/h低速燃費:-km/ℓ

※1983年よりG63BT・SIRIUS DASH3×2導入、
日本初の可変バルブ機構、電子制御可変過給圧ターボとインタークーラーを装備

※4G63系エンジンは歴代ランサーエボリューション(エボⅨ・CT9まで)に搭載された三菱自動車の名機

■エンジン:2,555cc 縦置き直列4気筒 SOHC インタークーラーターボ付エンジン(CYCLONE 4G54BT型)
最高出力:175PS/5,000rpm
最高トルク:32,0kgm/3,000rpm
GSR-VR(1988~)に搭載

5MT(1988データ)
10モード燃費:8.0km/ℓ
60km/h低速燃費:17.4km/ℓ
4AT(1988データ)
10モード燃費:-/ℓ
60km/h低速燃費:-km/ℓ

■トランスミッション:5速MT・OD付4FAT
■駆動方式:FR
■サスペンション:F/R マクファーソンストラット、
(GX・XのみRは4リンクリジット)・キャスター角 5°20’
■ブレーキ:F/R ベンチレーテッドディスク(GXのみRはシングルディスク)

■全長:4,410mm
■全幅:1,745mm(ワイドボディ)1,695mm(ノーマル)
■全高:1,320mm
■ホイールベース:2,435mm
■最小回転半径:4.8m
■燃料タンク容量:75ℓ
■車両重量:
GX・1,125kg 5MT
GSR-Ⅰ・1,185kg 5MT
GSR-Ⅱ・1,210kg 5MT/1,210kg 4AT
GSR-Ⅲ・1,215kg 5MT/1,230kg 4AT
GSR-Ⅹ・1,240kg 5MT/1,255kg 4AT

GSR-Ⅴ・1,240kg 5MT(1984~1987)
GSR-VR・1,240kg 5MT
(1987 限定車 ワイドボディ)
GSR-VR・1,320kg 5MT/1,340kg 4AT
(1988~1990 ワイドボディ)

各グレード・内装・装備の違い・仕様変更

出典:http://catalog.carsensorlab.net/

GX   (1982~1983)A182A エントリーモデル
GSR-Ⅰ (1982~1983)A183A エントリーターボモデル・ノンパワステ・1983より受注生産
GSR-Ⅱ (1982~1987)A183A ベーシックターボモデル・パワステ
GSR-Ⅲ (1982~1987)A183A ミッドレンジターボモデル・デジタルメーター・電動パワーウインド・オートエアコン(1985~標準)・6スピーカーオーディオ・フルアジャスタブルシート(1984~GSR-Ⅱ・Ⅲ・Ⅴ標準)・アルミホイール・ドライブコンピュータ
GSR-Ⅹ(1982~1983)A183A ラグジュアリーモデル・GSR-Ⅲ共通+本革張り6way調整スポーツシート・8スピーカーオーディオ・オートエアコン標準・クルーズコントロール
GSR-V(1982~1987)A183A スパルタングランツーリスモモデル・GSR-Ⅲ共通+アナログメーター・4スピーカーオーディオ・エアコンレス
GSR-VR(1987)A184A 1986年北米仕様のワイドボディ採用・ホイールサイズF6.5J/R7J・Fサスジオメトリー変更・エンケイ製専用アルミメッシュホイール・アドバン・タイプD装着・MMCエンブレム継続使用

タイヤサイズ・標準タイヤ銘柄等

1982
■ホイールサイズF/R 6J
■タイヤサイズF/R195/70R14
(GX~GSR-ⅡBS・RD207、GSR-Ⅲ~ミシュランXVS)
■上級グレードに限定モデルF/R195/60R14タイヤ仕様を設定、オプションとしてBSポテンザRE47も選択可

1983
■インタークーラ車 タイヤサイズF/R215/60R15 90H設定

1984~1987
全車タイヤサイズF/R 215/60R15 90H 標準
■GSR-Ⅱ・Ⅲ 5MTにBSポテンザRE86標準装着
■GSR-ⅤのみピレリP6標準装着

仕様変更

1983
■新型アルミホイール、サイドプロテクトモール、アンテナ移動(従来Aピラー→Rフェンダー)、パワーステアリング・ギア比変更(16.4→14.2)
■インタークーラー付き5MT車・1速2速ギア比アップ、ターボ過給圧アップ(0.53kg/cm²→0.66kg/cm²)、圧縮比ダウン(8.0→7.5)、ショックアブソーバー強化

1984
■全車本革ステアリングホイール、ブラックアウトグリル、マフラーカッター、電動アンテナ装備
■ダンパー減衰力の変更
F伸び側120kg/縮み側50kg→140kg/30kg
R伸び側100kg/縮み側35kg→120kg/25kg

1985
■大型エアダムスカート、大型三分割リアスポイラー採用にてエアロダイナミクス化、新形状ソフトタイプフロントシート、シート生地の高級化(従来バックスキンニット→ハイグレードベロアに変更)

究極のスタリオン・最終型GSR-VR(1988~1990)A187A

出典:http://www.mitsubishi-motors.com/

北米仕様がそのまま国内仕様で登場

GSR-VR、数々のマイナーチェンジを繰り返した三菱スタリオンの集大成。
進化し続けた最後のモデルは、充実の仕様内容で存在感を発揮しました。
デビュー以来多彩に揃ったグレードも2.6ℓターボとモノグレード化され、従来の2.0ℓターボは生産中止になりました。

1986年「300ZX、RX-7が驚愕。優秀コンクエスト(スタリオンの姉妹車)」。
北米における2.6ℓターボの広告キャッチコピーです。
フォトはグラマラスなF205・R225タイヤを覆うブリスターフェンダーの迫力あるカットが採用されました。

F55・R50扁平率と前後で異なるタイヤの認可を日本国内で受け、
この究極の三菱スタリオンが北米販売から2年のインターバルをおいて日本でも発売されたのです。

北米仕様の最上級グレードESI-Rと同じワイドボディとエンジンを搭載し、そのESI-Rの特別仕様スポーツハンドリングパッケージのアルミホイールが標準の豪華装備です。

エクステリア
ブリスターフェンダーワイドボディ、ブロンズガラス、F/Rスポイラー、ハロゲンヘッドランプ、MMCエンブレムから三菱エンブレムへ変更
電動リモコンミラー、間欠ワイパー、リアウインドーワイパー、カラードバンパー、パワーアンテナ、電動サンルーフ(オプション)
インパネ&インテリア
トランク(バックドア)オープナー、レヴカウンター、パワーステアリング、テレスコピックチルトステアリング、キーとじ込み防止集中ドアロック、フットレスト、デジタル時計、ステアリング内蔵リモコンスイッチ・オーディオシステム、オートエアコン、クルーズコントロール
シート
スポーツバケットシート(本革仕様オプション)、ダイヤル式無段階調整式サイドサポート、分割式リアシート
足回り
LSD、アルミホイール(F 7J/R 8J)
アンチスキッドブレーキ
8段階調節式ダンパー(オプション)
タイヤ:F205/55R16 88V・R225/50R16 92V
アドバン・HF タイプD 標準装着

4ATの燃費
「燃費はODで2000rpmに当たる100km/hで東名を流すと10~12km/ℓを記録する一方、箱根の山道や谷田部のテストコースでは3km/ℓぐらいまで低下する。
この車を望む人には気にならない数字だろうが、600km余りを走った総平均は5.5km/ℓ(距離計補正済み)と出た」。

参考文献:CG No.329 1988/8 ROAD IMPRESSIONSより

日本生まれのマッスルカー、終結の兆し

出典:http://www.mitsubishi-motors.com/

キャッチコピーに挙げられた日産300ZXやマツダRX-7との比較テストにおいて、加速性能、ブレーキ性能、スラローム、コーナーリング等、
2.6ℓ三菱スタリオンはすべての項目でライバルより優れた数字を出し、その迫力のスタイルと性能で間違い無しと判断し国内発売に至ったと思われます。

当時の新車登録台数が月に20~30台の不人気車を輸出仕様と同じ形でリニューアルさせる決断。
売れないまでも、時期新型スポーツカーまでの「ツナギ」としての役割だったかも知れません。

リニューアルされた三菱スタリオンの唯一残念な点は、2.0ℓ系に存在した可変バルブ機能を持たない
普通のSOHC・2バルブエンジン+ターボの古風な車に退化し、
インジェクションもシングルポイント式のままの所です。
より力強いトルクに振ったエンジンになりつつも、テクノロジーとしての新しさが全くありません。

当時の日本国内のライバル車は、DOHC・4バルブエンジン+ターボが高性能車にとってごく普通の時代になっていました。
アメリカ市場でヒットした実績と国内の需要とのズレが三菱にとっての誤算だったと思われます。

三菱スタリオンの終結は、始まりつつありました。

アメリカンなビッグトルクの日本生まれのマッスルカー的特性は、GSR-VRデビュー直後から時代遅れのハードボイルド・キャラクターでした。
洗練されたヨーロピアン文化が一般に根付き出しバブル期に入っていた日本において、三菱スタリオンは時代に取り残されてしまったのです。

三菱スタリオンの後継車と言われた和製マッスルカ―三菱GTOをについてはこちら!

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