「フェアレディZ(240Z)誕生へ」ダットサンと日産の歴史とこれから【日本の名車】

「サニー」「ブルーバード」「フェアレディZ」など数々の名車を産み出してきた日産の「ダットサン」(DATSUN)ブランド。しかし一世を風靡した「DATSUN」の名も、1981年にグローバルなブランド名を「NISSAN」に統一する決定により、一時期は消滅の憂き目に。ところが一転、2012年CEOのカルロス・ゴーンによって「新興国向け低価格車のブランド」として復活が発表されます。そんな長い歴史を持つ「ダットサン」の今日の復活に至るまでの道程と、現在の中古車価格など探ってみました!

ダットサン(DATSUN)の由来・誕生までの道程

DATSUNロゴマーク

出典:http://showa-chronicle.com/

「DATSUN」とは日産自動車の小型車(乗用車・トラック等)のブランドであると同時に、トレードマーク(商標)でもあり、車名(車検証等に記載)としても使用されてきました。

実は、「DATSUN」の名前の由来は古く、「日産自動車」の前身にあたる「快進社」に端を発しています。

日産という会社の創業には少なくとも3つの会社が関わっており、その過程において大きな役割を果たした4人の人物が存在しました。

国産にこだわった 「橋本増治郎」と「ダット自動車(脱兎号)」

橋本増治郎

出典:http://gazoo.com/

1902年に農商務省の海外実習練習生として渡米した橋本増治郎は、「自動車時代」の到来を確信しました。1911年彼は東京都麻布広尾に「快進社自動車工場」を設立し、国産乗用車作りを目指したのです。

「快進自動車工場」の出資者である
・田 健治郎の「D」
・青山 禄郎の「A」
・竹内 明太郎の「T」

この3人の頭文字を組み合わせ、「脱兎のごとく走る」という意味を込めて1914年に完成したのが「ダット自動車(脱兎号)」=DAT号でした。

「ダット自動車(脱兎号)」=DAT号の誕生

脱兎号と快進者の従業員

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当初は「直列4気筒エンジン」の製作を試みましたが、当時の日本には複雑な形状のシリンダーブロックを鋳造する技術がなく、代替策として「V型2気筒の10馬力エンジン」を製造してDAT号を完成させました。

3人乗りで最高時速は32km/hとされており、車輪、タイヤ、プラグ、ベアリング以外は全て国産。国産車のパイオニアだったといっても過言ではないでしょう。

その功績は大正博覧会に出品されて銅牌を獲得していることからもうかがえます。

ダット41型の発売

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1918年快進社自働車工場は、資本金60万円、建坪600坪、従業員60人の株式会社として新発足します。翌年には、日本で最初とされている「直列4気筒エンジン」をのせた「ダット41型」の乗用車を完成し、発売しました。

しかし、この頃には輸入車の値段が下がっていて競争力を持てず苦戦を強いられます。
そして時を同じくして、陸軍が定めた条件を満たすトラックを軍用保護自動車に認定して補助金を給付する制度が策定され、快進社も41型をベースにした「ダットサントラック」の製造を始めます。

ところが、事業規模の小さい快進社はなかなか陸軍に相手にされず、補助金対象として認定されるまでに2年の歳月を費やします。

その間に経営状況は悪化の一途を辿り、1925年快進社は解散して合資会社「ダット自動車商会」として再スタートを切ります。

実用自動車製造株式会社との合併へ

三輪自動車とウィリアム・ゴルハム

出典:http://gazoo.com/

実はこの時代、橋本増治郎の他にも国産自動車の製造を目指していた人物がいました。1919年「実用自動車製造株式会社」を設立した「久保田権四郎」です。

この会社にエンジニアとして迎え入れられた「ウィリアム・ゴルハム」は、日本独自の人力車をヒントにバイクのハーレーのエンジンを搭載した「ゴルハム式三輪車」を開発します。

久保田権四郎はこの設計特許を買取り、これをベースに1921年四輪自動車「リラー号」を完成させました。

しかし、この会社も快進社の例に漏れず輸入車の攻勢に苦戦を強いられ経営危機に陥ります。

そこで陸軍のあっせんを受け、1926年「ダット自動車商会」と合併して設立されたのが「ダット自動車製造株式会社」でした。

小型乗用車「DATSUN(ダットサン)」の誕生!

ダットサン12型フェートン

出典:https://nissan-heritage-collection.com/

1930年「ダット自動車製造株式会社」は「DATSON」という小型乗用車を完成させます。全長2710mm、全幅1175mm、エンジンは水冷直列4気筒で10馬力でした。

「DATSON」は「DATの息子」という意味が込められており、「DAT」の意味は当初の出資者の頭文字の由来からDurable(耐久性がある)Attractive(魅力的な)Trustworthy(信頼できる)に改められました。

更に「SON」の発音が「損」を連想させるという声が多かったことから、1932年「SON」を太陽の「SUN」に変えて「DATSUN」のブランド名がここに誕生したのです。

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