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【ノックダウン生産】ライセンス生産との違いは?メリット・デメリットのまとめ

ノックダウン生産とはどのような生産方法なのか、そのメリット・デメリットについてまとめました。またノックダウン生産とライセンス生産との違いについて、自動車業界におけるノックダウン生産について紹介します。

ノックダウン生産とは?

ノックダウン生産とは、製品を構成するすべての部品を外国(製品を生産・販売している国の企業)から輸入し、部品を組み立て製品を完成させ、その現地もしくは周辺国で販売する方式です。

製品によっては主要部品のみを輸入し、その他の部品は現地国で調達して製品として組み立てる場合もあります。製品を完成させる工場は、製品をもつメーカーが進出して現地工場を用意する場合と、現地の他メーカーと提携して製品を完成させる場合があります。

自動車産業にて現地で部品を調達する場合は、自動車メーカーの関連部品会社が現地に進出することが多く、現地企業の部品を調達することは少ないようです。

ノックダウン生産は、現地の工場で組立作業を行うレベルによって「CKD」「SKD」の2つの方式に分けることができます。

ノックダウン生産のメリット・デメリットなど、自動車業界におけるノックダウン生産について紹介します。

CKD:完全ノックダウン生産

CKD(Complete Knock Down)は、 車の主要コンポーネントを1から組み立てる中には、現地でシャシーを溶接したりボディの塗装を行ったりと車に必要な構成部品をすべて現地工場で製造する方式です。
マニュアル通りに部品を組み立てるだけのスペースや簡単なスキルだけでは実現できないため、現地生産工場への設備投資、作業人員に一定レベル以上の技術力が必要とされます。

SKD:セミ ノックダウン生産

SKD(Semi Knock Down)では、エンジン/ 駆動系 / サスペンションなど比較的大きな主要なコンポーネントを組み立てた状態かつ、シャシーやボディも部品として完成した状態で、各々を部品単位として輸入します。
現地工場では、それら大きな単位の部品を組み立てるだけで製品を完成させることができます。組み立てラインとマニュアルがあれば比較的容易に製品を製造することが可能となることから、現地工場の生産設備や技術力が発展途上の場合に採用されることが多い方式です。

日本メーカーによる自動車のノックダウン生産

フォードの組み立てライン(1913年)

日本においても自動車産業が盛んになる戦前から、欧米自動車メーカーによるノックダウン生産を行っていました。

戦前は米国自動車メーカー2社にて、日本フォード(1925年)、日本GM(1927年)の生産拠点が日本国内に設立され、「CKD」によって各メーカーの自動車が製造されていました。

ノックダウン生産にて製造された車をいくつか紹介します。

東日本重工業:カイザーヘンリーJ(1951年)

カイザーヘンリーJ

カイザーヘンリーJは東日本重工業(三菱重工業から分割された企業)の川崎工業にて「CKD」による生産が行われ、新会社「東日本カイザーフレザー」から販売されていました。
太平洋戦争後の日本で初の外国製乗用車であり、日本の自動車メーカーが見学に訪れています。

日産自動車:フォルクスワーゲン サンタナ(1984年)

フォルクスワーゲン サンタナ

日産製フォルクスワーゲン サンタナ(M30型)は、1984〜1991年まで日産自動車の座間工場にてノックダウン生産によって製造・販売されました。
日産自動車は当時、国外展開戦略をとっていて、その第一歩としてフォルクスワーゲンと提携しサンタナのノックダウン生産・販売を行いました。
日産フォルクスワーゲン サンタナは、7年間で約5万台しか製造することができず、日産とフォルクスワーゲンの関係が発展するには至りませんでした。

フォルクスワーゲンに関する記事はこちら

ライセンス生産との違いとは

ライセンス生産とは、製品を開発・製造している企業から「製品を製造するために必要な技術」「ノウハウ」「ブランド」「ロゴ」を、別の企業が許可を得て「ライセンス料」「技術の使用料」「ブランド使用料」「ロイヤリティ」を支払い、同じ仕様の製品を生産する方式です。

ノックダウン生産のように部品を輸入して組み立てるわけではなく、現地企業の生産設備、技術力が伴わないと利用が難しい生産方式です。

ノックダウン生産のメリット・デメリット

ノックダウン生産のメリット・デメリット一覧
ノックダウン生産のメリット・デメリット
提供する企業メリット
・部品を輸送するほうが運賃を節約できること
・現地の安い労働力を組立てに利用できること
・輸送で完成品が損傷することがない
・完成品より部品の方が関税が安い
デメリット
・現地に組立工場を設けることが必要
・国によっては部品の国産化率を求められる
・現地での教育を徹底し、品質を保つ必要がある
提供を受ける企業メリット
・高度な技術部品が調達でき技術を習得できる
・生産技術(組み立て技術)を習得できる
デメリット
・部品に関する設計製造の技術を学ぶことが難しい
・製品に問題があっても勝手に改良することができない

ノックダウン生産を提供する企業と提供を受ける企業にはそれぞれメリット・デメリットが存在しますが、双方にとってメリットの方が大きいでしょう。

ノックダウン生産で一定の生産技術力を身につけることができれば、次のステップとも言えるライセンス生産も可能になってきます。
またノックダウン生産で得た技術力を応用して、自社製品の開発・生産を目指すことも可能です。

発展途上国の産業発展を支えるノックダウン生産

マツダのエンジン製造工程

生産技術や人員の能力が未発達の場合、ノックダウン生産によりでさまざまなノウハウを得ることで、産業の成長を促す効果があります。
発展途上国にてノックダウン生産を導入することは両国(両企業)にメリットがあり、とくに発展途上国においては技術力の底上げには大きな効果を期待できます。

日本の自動車産業発展の歴史には、ノックダウン生産も大きく関わっているのです。

日本の自動車メーカーについての記事

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この記事の執筆者

猫田 久太郎この執筆者の詳細プロフィール

漫画「サーキットの狼」がきっかけとなり、1970年後半のスーパーカーブームに感化され未だにその熱が覚めず現在に至っています。 特にヨーロッパ車の文化とデザインに魅了された車好きです。 簡単な修理・整備は自分で行うので車の記事だけでなく、DIYやカー用品についての記事も執筆して...

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