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ケンドーコバヤシ×4代目クラウン:Vol.1「先輩芸人からの1本の電話」MOBYクルマバナシ

車は人生をともに過ごす仲間。”その車“にはどんな想いが詰まっているのだろう――。他の芸人とは一線を画する唯一無二のスタイルで、どんな時でも自分を貫き笑いに変えていく孤高のピン芸人。そんなケンドーコバヤシさんの車やドライブにまつわる話から、私生活まで存分に語っていただく、“MOBYクルマバナシ”。

【Profile】ケンドーコバヤシ1972年7月4日生まれ。大阪府大阪市出身のお笑い芸人。吉本興業所属。愛称はケンコバ。本名は「小林卍丸」や「鬼斬林虎殺丸」など諸説ある。
独自の世界観を持ち、嘘か真かわからない発言をよく繰り出す。プロレスやマニアックな漫画に精通しており、男性から絶大な人気を誇っている。ゴールデン番組でも平然と下ネタを言い放つが、ワイルドかつ愛らしいルックスと低音ボイス、紳士的な振る舞いから女性人気も高い。テレビのみならず映画やドラマでも活躍中。
愛車:4代目クラウン 2600スーパーサルーン

Vol.1「先輩芸人からの一本の電話」

今回、お持ち頂いたケンドーコバヤシさんの愛車、「4代目クラウン 2600スーパーサルーン(通称:クジラクラウン)」を入手した経緯を教えてください。

もう15年くらい前ですかね。千原ジュニアさんに「欲しい車があるんですよ、『クジラ』いうやつなんですけど」なんて話をして。

そっから12年経って、2015年くらいかな。突然ジュニアさんから「クジラあるぞ」っていう電話がかかってきたんですよ。大阪でやってた番組のディレクターさんがクジラを手放すらしいと教えてくれて。なので、その方との個人売買です。

それよりジュニアさん、よう覚えてたなっていう。ねぇ!

なぜクジラクラウンが欲しくなったのでしょうか?

ドラマの『太陽にほえろ』を見てて、ええなあ、と思いましたね。

どんなシーンが印象的だったのでしょうか?

どんなシーンというか、『太陽にほえろ』って、ずっとクジラクラウンが出てくるんですよ。出演してた刑事で言うと、沖雅也さんぐらいまで。

コバヤシさんが人生で初めて所有された車はスズキ アルトだったそうですね。

そうそう。芸人ではないけど、先輩から8万か9万かで譲ってもらいましたね。急にその先輩にお金が必要になったみたいで。たぶん彼女の出産とかなんですけどね。

アルトはねえ、ちょうど俺が『NSC』っていうよしもとの養成所にいた頃に乗ってて。人の良さを利用されたのか、みんなをよく家まで送って行ってましたね。

まだ若手時代の頃、ほかにも車を所有されている方はいたのでしょうか?

いなかったです。俺くらいっすね。

昔からバイクと車に乗らているのでしょうか?

バイクは結構昔から乗ってますね。

車は今までにも何台か乗ってるんですけど、「ちゃんと乗ってるな!」っていうのはクジラクラウンが初めてです。

若手の頃から車が欲しいという気持ちはありましたか?

車の便利さは知ってましたけどね。養成所の時にアルトに乗って、「車あったほうがだいぶ生活変わるなー」って思いましたから。でも、アルト乗ってるときに法律が変わったんですよ。軽自動車にも車庫証明がいるようになったから、そこで車を手放したんです。

そっからは、車買うにはほんとにまあ無理でした。お金的に。

アルトを手放されて以降、車とは離れた生活だったのですね。

そうですね。でも、クジラクラウンはほんとに10年以上欲しいって言うてた。

何回か他の個体には会ってるんですけど、これじゃないっていうのが2〜3年続いてたんですよ。

「あった!」っていうのを見つけても、今度は意外とすぐ売れちゃったりして。買おうと思って電話すると「もう売約入ってるんすよ」って。

だから、そういうのが続いてからはもう「“パッ”と出会うまで待とう」と思ってましたね。「いつかあるやろう」と。

そしたら突然、ジュニアさんから電話がかかってきた。

4代目クラウンの最大の特徴は、「スピンドル・シェイプ」と呼ばれる丸みを帯びた紡錘形のボディ。その独特なフォルムから、「クジラクラウン」の愛称で呼ばれていた。当時は最先端だった空力性能と安全性能を取り入れるために採用されたボディデザインは、旧来のクラウンファンからは不評だったという。

クジラクラウンには、ボディタイプが3つくらいありますよね。

ハードトップは、クジラを探していた時期に何回かあったんです。でも違うなと思って。クジラ以外のクラウンやったら俺はワゴンが好きなんすけど、なんかセダンにこだわってましたね。

ま、『太陽にほえろ』を見ていたからなんでしょうけど。

4代目にあたるこのクジラクラウンは、クラウンの中では不遇の存在なんですよね。

はい、そうです。黒歴史って言われていて。その辺がまたね、ええなぁと。

ストーリー性も大事にされているんですね。

「クジラ欲しいな」と思ったときにいろいろと本を見たんですけど、圧倒的に資料の数が少なかった。

やっと探し当てた本の中で印象に残ってるのが、開発者が「こんな車、猫ひいちゃうよ」って言ったっていうてるやつ(笑)。

「スピンドルシェイプ」って呼ばれているこのフロント、下がまったく見えないんですよ。地下駐車場から車を出すときの緊張感が半端やない。ほんまに上空しか見上げられない。どうやっても、足先が見えないというか、先端が見えない。

「猫ひいちゃう」って言うてたんがわかりますよね。

でも、そんなダメなところも良いというか。

俺にピッタリやなと思います。小林家の生きる黒歴史と言われてますんで。

コバヤシさんは、よしもと芸人さんの中でも独特な感じがするのですが。

吉本興業の黒歴史とも言われてますからね。

ほかの旧車好きの芸人さんの車と比べて、このクジラはどうでしょうか?

「旧車好き」ってくくられがちですけど、みんなちょっとずつ系統が違いますよね。ジュニアさんの日産セドリック 330は、比較的VIPカーに近いし。バッドボーイズの佐田が乗ってたローレルなんて、暴走族の幹部が乗ってるような見た目だしね。年代が近くても微妙に違うというか。

そのなかでも、俺のはちょっと黒歴史。

著書『ケンコバ伝説』を読ませていただきました。そのなかで「女にモテることが成功の秘訣」「出世の糸口」だとおっしゃっていましたが、それについてはいかがですか?

そんなんいうてました?(笑)

はい、「美学さえあれば。」とおっしゃっていました。

大体ああいう……なんていうんすかね。これまでのインタビュー記事っていろいろ残ってると思うんですけど、その場で思いついたことを、さも昔から俺の信念みたいに語るクセはありますよね。

コバヤシさんならではの芸風ですね。同書では「俺は生きざまをあまり残したくない、終わった時にあの人はどんな人だったのか?と、終わるくらいがちょうどいい」と書いてありましたが、こちらは?

ああ、それは本当にそうなんですよ。

世の中には「なにか生きた爪痕を残したい」という人のほうが多いと思うのですが。

例えば中国の歴史とかでも、謎の人物がたまにいるじゃないですか。ありえない話ですけど、もしお笑い芸人が教科書に載るみたいなことがあったとしたら、名前は出てくるけどよくわからないというか、そういう人になりたいです。

だから極力DVDとかは残したくないなと思ってるんです。まあ生きるために何枚か出してますけど。

データ化される作品には極力出たくないという思いはあったんですけどね、あらがえず。

なぜ、そう思われるようになったのでしょうか?

それはまあ……そういうキャラクターが好きやったんですかね。石ノ森章太郎さんの『人造人間キカイダー』でいうところの、ハカイダーとかね。

ハカイダーって敵キャラなんですけど、最後は組織のいうことを聞かんようになって、キカイダーだけを狙い続けるんですよ。よくわかんないでしょ。

あまのじゃくっぽい感じですね。

そう言われると、あまのじゃくなんですかね?

あ、あと最近カズレーサーが言ってたんですけど、『コブラ』っていう漫画だと、主人公のコブラは顔の全パーツを変えてて、過去も消してるとか。そういうのに憧れはありますよね。

まとまった金とツテさえできたら、全部整形しようと思ってます。「過去を消す」っていうね。

その時はどんな顔にしたいですか?

なんでもない、特徴の少ない顔にしたいですね。ジャルジャル後藤くらいの。

「なんか顔覚えにくいな」っていう顔にしたいなと思います。

今はどちらかというと覚えやすい顔かと。

そうなんです。単車に乗ってフルフェイス被ってたのに「あっ、コバヤシさん」って言われたことまであります。

乗られているバイクも有名ですし、分かってしまうんでしょうね。

まあねえ、バイクもね。テレビ出ちゃったんでね。でもね、昔からなんですよ。

肩とか足とか、なにか全体的に特徴あるんでしょうね。フルフェイスでバレるって相当やもん。

変な質問ですが、クジラクラウンに一つだけ機能を付けられるとしたら、どんな機能が欲しいですか?

ウォシュレットですね。自宅では特に用を足さなくてもウォシュレットあてたりしてることあります。

お尻に水あててんのが好きなんです。ウォシュレットしてたら用を足したくなるっていう悪循環はありますけど。

ちなみにどれくらいの強さでやっているのでしょうか?

“強”です。仕事現場でトイレ行って“弱”になってたら「あ—、あんまり仕事したないやつがおるんやな」と思います。「軟弱なやつおんな」と(笑)。

10年以上追い求めたクジラクラウン。クラウンの中でも不遇な道をたどるその車に己の「美学」を照らし合わせる姿は「まさに芸人!」でした。

次回、ケンドーコバヤシさんの“MOBYクルマバナシ”第2話ではクジラクラウンのオーナーの気持ちをいろいろと掘り下げて聞いていきます。クラシックカーならではの悩みも満載です!どうぞお楽しみに!

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取材:米永豪、三浦眞嗣
撮影:佐藤亮太
文:MOBY編集部

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