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笑福亭笑瓶×アウディ A8:Vol.5(最終回)「最後の避難場所」MOBY連載インタビュー

車は人生をともに過ごす仲間。“その車”にはどんな想いが詰まっているのだろう ――。ふだん落語家として茶の間を沸かせる傍ら、芸能界きっての車好きとしても知られる笑福亭笑瓶さん。スペシャルインタビューの最終回に当たる第5話では、そんな笑福亭笑瓶さんが考える、「若者の車離れを止める方法」について語っていただきました。

【Profile】笑福亭笑瓶1956年11月7日生まれ。大阪府出身。
愛車:アウディ A8、メルセデス・ベンツ 500SL

笑福亭笑瓶さん×MOBY連載インタビュー
前回までのインタビューはこちら:
Vol.1「世界最高のセダン」
Vol.2「淫美な秘密基地」
Vol.3「惚れ抜いた感情」
Vol.4「車って夢があるよな」

笑福亭笑瓶×アウディ A8:Vol.5「最後の避難場所」MOBY連載インタビュー

笑福亭笑瓶 アウディ A8 MOBYスペシャルインタビュー

笑福亭笑瓶さんの幼少期、日本がまだ貧しかった頃は車が若者の憧れでしたよね。今の若者もお金がなく、車を所有できない点では共通していると思いますが、多くが車に対する憧れを持っていません。今と昔の違いはなんでしょうか?

はっきりしているのは、“催眠術をかけていない”ということやね。

催眠術?

うん。例えば車のCMを流すとか、車をドラマや映画で使うといったときに、今の若者が「かっこいい!」と言ってる俳優たちが車に乗ってアピっていくとするやんか。

彼らが私生活でも確実に愛車を乗りこなしてて、「この車で旅に出ました!」とかいって。ほんなら催眠術がかかって、若者が「車ってかっこいいなあ」という風に思うねん。

かっこいいゲームのコマーシャルですら、友達同士で共有するわけやんか。「あれやった?やってないの?馬鹿じゃないの?」って。ポケモンGOにしたってそう。CMを見て感化されるわけやんか。「これからはスマホでしょ!」という風潮の時代に、かっこいい人間が「いや、ガラケーだよ」と言ったら、みんなガラケー持ち出すねん。

不思議なことに、そういうもんやねん。

笑福亭笑瓶 アウディ A8 MOBYスペシャルインタビュー

シンボル的な存在が必要だということでしょうか?

車がどんだけ素敵でカッコいいか、車にどれだけ夢があるのかを広めないと。

昔スーパーカーブームがあったけど、当時の子供はそれに便乗して、スーパーカー消しゴムを集めるとか、ランボルギーニやフェラーリ、ポルシェに将来乗りたいとか、そういう感覚をみんな持ってた。

そういう夢とかかっこよさを、誰かがCMや物語で伝えればええねん。

今はほとんど無いですよね。

ないやろ?俺らが若かった頃は車に憧れるシンボルがいっぱいあった、そういう時代やったから。世界がより素晴らしいエンジンやスピードを求めていて、自動車の技術がどんどん成長していく最中やったからね。

今は世界的に電気自動車の時代やん。将来的には全て電気自動車にするっていうメーカーもあったやろ。その佳境だとか分岐点に入ってるとは思うね。

昔ながらの“エンジンを積んだ車”というのは、弱小ながら生き残っていくかもしれへんけどな。世間に背を向けながら。だけど一般車は悲しいかな、全て電気自動車になっていくわ。これは逃れられへん。

笑福亭笑瓶 アウディ A8 MOBYスペシャルインタビュー

電気自動車になったとしても、またその良さが伝わればいいですよね。

せやで。さっきも言うたけど、車がプライベート空間であり避難場所というのは、電気自動車であっても関係ないからな。

そもそも男にとっては、色んな意味で車は避難場所やねん。これは全然車と関係ない話やけど、 “男として生まれてきたら負け。女の勝ち” という俺の持論があんねん。

“男に生まれたら負け”……。

そう。男の負けやねん。何故かというと、女性は母親になれるやろ。十月十日胎内に子供を宿して、産んで、おっぱいをあげて、自分一人で育てていけるわけやん。でも男はどうしたってそれを構造的にできない。子作りの力添えはできるけど、その後は見守っていることしかできない。

男は力があるやろ?「お前たちを守るために餌取ってくるわ!」「俺が守ってんねや!」と思ってはいるものの、そんなの本来は女性もできる。なんなら弱い男より強い女性はごまんといるやん(笑)。

笑福亭笑瓶 アウディ A8 MOBYスペシャルインタビュー

力があるうちは、奥さんもちょっとは目をかけてくれるねん。“金という餌”を持って帰ってきてくれるから。だけど年をとれば男の方が早く弱っていくやんか。ほんなら女性は「しめしめ」となるわけよ。いつでも女性は子供を抱えてて、その責任を自負してる。肝心の子供はというと、いつもそばにいる母親の味方や(笑)。

そして男が仕事を失って暇になると、盆栽やら散歩やらやるけれども、友達もいないし、どうも味気ない。

男はそれをわかっておかなければならんねん。気付いたときには一人だということを。

笑福亭笑瓶 アウディ A8 MOBYスペシャルインタビュー

「綺麗なバラには棘がある」とよく言われるやん。女性はみんな、花びらが散っても棘だけは持っとる。これが怖いねん。

だから俺が推奨しているのは、男が男女の本質を理解すること。女性には優しくせねばならんねん。感謝と、労いと、反省や。

愛する人には「ありがとう」「ごめんね」「大丈夫?」と毎日言う。媚びへつらう。それでも女性は100点をくれないけどね(笑)。

だけど根気よく続ける。「元気でいてくれればいいよ」「ご飯も洗濯物もやらなくていいよ」「ゴミは俺が出すよ」と。これだけで全然違うから。

「僕は君のことが好き。だけど君は僕を敵とみなすかもしれない。それでも、僕はいつでも味方だから」と。

笑福亭笑瓶さん流の夫婦円満の秘訣ですね。

まあそうやんな。これで夫婦円満になればね。

男は求愛ダンスのように仕事を頑張ってアピールするわけや。女性は男性のプライド……それも女性からしたら愚かなプライドやねんけど、それを傷つけないように接してあげないとあかんねん。お互い愛情を持って接することが大切だね。

それでもどうしようもなくなったら、車に逃げると(笑)。

そうそう。だからさっきも言うたけど、男にとって車は避難場所やねん。

笑福亭笑瓶 アウディ A8 MOBYスペシャルインタビュー

笑福亭笑瓶さんが幼かった頃、車は憧れの存在であったと言います。ところが現在、多くの自動車メーカーがアピールするのは燃費性能や安全性能、その他の先進技術など、工業製品としての技術が大部分となっています。当然それらはこれからの自動車業界にとって不可欠なものですが、車離れを止めるために必要なのは、「車は素晴らしい」と催眠術をかけることができるシンボルなのかもしれません。

取材:米永豪、田神洋子
撮影:市川晶
文:米永豪

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