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【超高級】公用車の定義とは?都知事や首相の使用している車種もご紹介!

公用車とは官公庁や地方自治体などの公的機関が業務に使用する自動車のことで、首相や都知事などが使用する黒塗りのセンチュリーを思い浮かべる方も多いことでしょう。今回は要人が乗る公用車について使用車種や払い下げ情報を含めて徹底的に解説します。

公用車とは?

“黒塗りの公用車”の代名詞とも言えるトヨタ・センチュリー

トヨタ センチュリー 2013年型

公用車とは民間企業における社用車に当たり、官公庁や地方自治体などの公的機関が業務に使用する自動車のことを指します。

広義の意味ではパトカーや消防自動車などの緊急自動車や、官公庁が所有するバスやトラック、職員が連絡用に用いる小型車や軽自動車なども公用車とされますが、ここでは政府の政務官以上の役職(首相や国務大臣を含みます)に就く国会議員、自治体の首長などに与えられた専用車、所属議員の数に応じて衆参両院の各政党に割り当てられた乗用車について話を進めて行くことにします。

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公用車に使用されている車種

センチュリーとともに内閣総理大臣専用車(首相の公用車)として運用されているレクサスLS600。石原慎太郎元東京都知事、石井隆一富山県知事も公用車として使用したが、「自治体の首長クラスにこれほどの超高級車が必要なのか?」との批判もある

レクサスLS(2014)

公用車として導入実績のある日産フーガ。前任のセドリック/グロリアはまとまった台数が公用車として利用されていたが、それに比べるとフーガは台数が少なく、永田町周辺でもあまり見かけない

日産 フーガ 2015年型

一般に公用車は行政施設への乗り入れや、公的式典への参加を前提としているため、基本的には排気量2,000cc以上のフォーマルなセダンとなります。
塗装色は黒が基本ですが、地方自治体が所有する白やシルバーなどのボディカラーもあるようです。
いずれにしても地味な塗装色であることは言うまでもありません。

国産車が性能的に劣っていた戦前や、米軍統治下にあった戦後間もない頃は、キャデラックやビュイック、リンカーン、パッカード、クライスラー、メルセデスベンツなどの輸入車が公用車として使われていたこともあります。
近年ではセンチュリーやクラウン、レクサス、フーガなどの国産高級車が公用車の主力となっています。

セダン以外の公用車も増えつつある

近年、公用車として導入例が増えているトヨタ・プリウス。燃費性能と環境性能の高さからセンチュリーの代替となるケースも少なくない

トヨタ プリウス 2015年

最近では環境意識の高まりから衆参両院や地方自治体の公用車の中にはプリウスやミライなどのエコカーも導入されています。
また、地方自治体の中には移動オフィスとしての機能を重視して、アルファードやヴェルファイア、エルグランドなどの高級ミニバンを首長専車として導入するケースも見られます。

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首相に使用されている公用車

内閣総理大臣専用車(首相の公用車)のトヨタ・センチュリー

首相の公用車は「内閣総理大臣専用車」とも呼ばれ、1967年以来長らくトヨタ・センチュリーが利用されてきましたが、2008年6月に成立した第91代福田康夫内閣からは燃費性能と環境性能に優れたレクサスLS600hLも並行して使用されるようになりました。

首相が外出のため移動する際は、セキュリティーの問題から公私問わず公用車を使用することになっており、警視庁のセキュリティポリス(SP)による身辺警護が必ずつくことになっています。

テロ対策もバッチリな首相専用車

1963年11月に発生したケネディ大統領暗殺事件を契機に日本でも首相公用車のテロ対策が図られるようになった

首相の公用車は一見すると市販のセンチュリーやレクサスと同じように見えますが、テロ対策として防弾ガラスや特殊鋼の装甲が施された特別仕様となっています。
保安上の理由から詳しいスペックは明らかにされてはいませんが、おそらくはアサルトライフルによる攻撃程度なら防げるようです。
そして、フロントグリルの外側もしくは内側と、リアバンパーにはLED光源の青灯が装備されており、首相乗車時にはこれを点灯させて走行します。

首相乗車時は単独で運行されることはなく、SPを乗せた警護車両(センチュリーやクラウン、レクサスなど)が最低でも前後2台つきます。
さらに必要に応じて警護車両やパトカー、白バイが護衛に加わることもあるようです。

熊本地震で安倍首相が利用した民間のバス。首相の地方視察などでは自治体所有の公用車が使用されるケースが多いが、災害視察などの場合は写真のようにチャーター車を利用することもある

熊本地震で安倍首相が利用したバス

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国会議員に使用されている公用車

タクシーなどの営業車として使用される機会が多いクラウン・セダンは、国会議員用の公用車の主力車種として活躍中。なお、国会議員用の公用車にはプリウスなどのハイブリッドカーもある

クラウン セダン 2013

現在、衆議院は133台、参議院は97台の公用車を所有しており、専用車があてがわれる正副議長と各委員長を除き、所属議員の数に応じて衆参両院の各政党に公用車は割り当てられています。
分刻みのスケジュールで動く国会議員は、迅速な移動を求められるケースも少なくなく、移動中も機密性の高い連絡を取り合うことが多いため、セキュリティ上のことも考慮して公用車の使用が認められているのです。

税金で運行されるため議員に請求書は届かない

衆参両院の公用車は総務省が管理を行っており、運転するドライバーは総務省の職員となり、運行に関わる経費は税金で賄われています。
そのため、タクシーやハイヤーと違って利用した国会議員に運賃が請求されることはありません。

割り当てられた公用車が空いていれば国会議員なら誰でも利用でき、党幹部の専用車として使用されたり、自動車を持たない議員のアシとして利用されたりすることが多いようです。
一応、「利用は3時間以内」というルールがありますが、かなり柔軟に運用されているようで、公用車のスケジュールが空いていれば時間をオーバーしても問題とならないようです。

公用車による保育園送迎は認められないか?

今年6月、自民党の金子恵美議員が子供の保育園への送迎に公用車を使用したことが問題となりました。
しかし、公用車の運行ルールでは「公用車を使って国会議員を送迎する場合、移動経路が大きく外れることがなければ、私的な利用で議員以外の同乗者を乗せても問題ない」ことになっています。
すなわち、「自宅→私用→公務」と「公務→私用→自宅」の経路での公用車使用は認められているのです。

金子議員は世間への配慮から「公用車での子供の保育変への送迎は控える」とのコメントを発表しましたが、ただでさえ多忙な国会議員が子供の送迎に公用車を使用しないことは時間と労力のロスであり、円滑な議員活動の妨げとなります。
少子化が国を揺るがす大きな問題となっている昨今、政府が推進する「働く女性の子育て支援」にも逆行することにもなり、金子議員の公用車による保育園送迎は批判されるようなこととは思えません。

議員公用車への同乗体験

国会議事堂に隣接する衆議院第2議員会館と参議院議員会館。議員会館の駐車場には国会議員用の公用車が待機している。利用するには事前の予約が必要になることが多いが、各国会議員は無料で利用することができる

実は筆者も国会議員用の公用車に相乗りさせてもらったことがあります。
とある国会議員への取材で、先方は時間がどうしても取れないとのことから、講演会に行く往路で車内インタビューとなったのです。
筆者は議員会館へバイクで向かい、来客用の駐車場に愛車を停めてから議員と合流。
そのまま一緒に公用車に乗りこみ、車中で議員からのコメントをもらいました(ちなみに公用車の車種はクラウン・セダンでした)。

目的地の講演会場に到着し、議員がクルマを降りてからは筆者はバイクを置いてある議員会館に戻るため、そのまま公用車に乗せて行ってもらうことにしました。
ドライバーに議員以外の人間が公用車に乗車して問題ないか尋ねると、「国会議員に用事のあった方ですし、回送扱いのクルマに同乗しているだけなので問題はありません」とのこと。
なかなか一般人が乗る機会がない公用車だけに貴重な体験をさせてもらいました。
なお、乗り心地はタクシーなどに使われているクラウン・セダンとまったく変わりがありませんでした。

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都知事に使用されている公用車

アルファードやヴェルファイア、エルグランドなどの高級ミニバンを首長専車として導入する自治体も少なくない。公用車の私的利用が問題視された舛添要一前都知事が湯河原の別荘通いに使用したのもアルファードだった

トヨタ アルファード 2016年型

現在の都知事である小池百合子氏はどのような公用車を使用しているのか定かではありませんが、前都知事の舛添要一氏はアルファード、その前の都知事である石原慎太郎氏はレクサスLSを使用していました。

東京都の公用車運用のルールでは、都知事は公務での利用は認められていますが、私的目的での利用は認められていません。
ところが、前都知事の舛添氏は1年間に48回も都心から100km以上離れた湯河原町の別荘まで公用車で送迎させていたことが明らかとなります。

「公私混同」との世間の批判に対し、舛添氏は「公用車は『動く知事室』。移動中もしょっちゅう電話のやりとりをしている。運転手には守秘義務もあり、セキュリティーも確保されている。これはタクシーではできない」と強弁。
「別荘までの移動に公用車は不可欠」と開き直りとも言える態度を見せました。
結局、高額過ぎる海外出張経費や政治資金を流用した家族旅行の問題なども明らかとなり、世間の批判が高まったことから16年6月に都知事辞任を余儀なくされました。

舛添氏の問題以降、各自治体の首長は批判を恐れて公用車使用のルールを厳格化しているようです。
中には「公用車の利用は面倒」と公用車をほとんど使用しない知事もいると聞きます。

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「脱・黒塗り」により軽公用車も登場

河村たかし名古屋市長が導入を決めたダイハツ・タントの公用車。自治体の首長クラスの専用公用車に軽自動車が用いられるのは珍しい

ダイハツ タントエグゼ 2010年

かつては各自治体の首長の公用車と言えば、黒塗りの高級セダンが定番となっていましたが、経費削減を理由に「脱・黒塗り」が進みつつあります。
10年ほど前から各首長の間で人気なのは低燃費で環境負荷が小さいとされるハイブリッドカーで、維持費の掛かるセンチュリーやクラウンを手放し、プリウスなどに入れ替える自治体が増えています。

また、09年に名古屋市市長に当選した河村たかし氏は、「現場視察などで『庶民目線』をアピールできる」として、従来使用していた公用車・プリウスの代替として軽自動車のダイハツ・タントを導入。
対立する同市議会議長が公用車としてセンチュリーを使用しているのとは対照的です。
さらに、高知県のように「知事専用車は不要」として首長用の公用車を廃止する自治体も増えています。

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公用車の払い下げ

橋本大二郎知事(当時)の公用車だった日産プレジデント(2代目)は、民間に払い下げられ、Yahoo!オークションの「官公庁オークション」に出品。その結果、212.6万円という高値で落札された

日産プレジデント 2代目

首相の公用車はセキュリティーの問題から払い下げが行われるケースはありませんが、各自治体の首長が使用していた公用車は代替時期が来ると民間に払い下げられるケースが少なくありません。
こうした払い下げを受けた公用車はYahoo!オークションの「官公庁オークション」に出品されることが多く、オークションIDを持っていれば誰でも入札することができます。

税金を使って保守管理を受けてきた公用車は、年式や走行距離の割にコンディションが良く、一般の中古車相場よりも安く良質な中古車を買うことができるようです。
ただし、知事公用車廃止に伴い07年に出品された高知県の知事公用車(日産プレジデント)は、橋本大二郎知事(当時)の人気もあって212.6万円という高値で落札されました。

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公用車は必要か?

1987年の登場以来、27年間に渡って生産が続けられたセドリック・セダン(Y31)。5ナンバーサイズの公用車として官公庁の需要が多かった

日産 セドリック セダン Y31

公用車は、行政のスリム化が叫ばれている昨今、官公庁や自治体では縮小もしくは廃止する傾向にあります。
かつては公用車の代名詞だった高級車のセンチュリーも、その大きなボディサイズと大排気量が過剰なものとされ、新規採用が少なくなりつつあります。
こうした流れに製造元であるトヨタは、次期型センチュリーではV12エンジンを廃止し、5,000ccV8+ハイブリッドシステムとして開発を進めているようです。

政治はプロセスではなく結果がすべて

もちろん、国民の代表である国会議員や自治体首長に過剰な高級車は必要ありません。
しかし、多忙を極める議員や首長のこと。
公用車を廃止したことで円滑な行政業務や議員活動に支障が出るということだけは避けなければなりません。
国民にとっての善政が行われるのならば、公用車のようなある程度の行政コストは認められて然るべきです。

政治とは結果がすべてであり、法的・倫理的な逸脱がなければプロセスは問題とはなりません。
ところが、我われ国民は目先の些事にとらわれて、やもすればプロセスを重視して結果を問わないことが多々あります。

公用車をムダなものと切り捨てるのではなく、必要経費として認めた上で、より良い政治のために彼らを目一杯働かせたほうが国民の利益に繋がります。
そして、国民の代表として与えられた権利を特権と勘違いして増長したり、公の利益のためではなく私腹を肥やすために活動したりするような政治家がいれば、有権者は次の選挙で審判を下し、そうした人間を政治の場から退場させればいいだけなのです。
民主政治とはそうしたものだと思いますが、みなさんはどうお考えでしょうか?

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この記事の執筆者

山崎 龍この執筆者の詳細プロフィール

1973年1月東京生まれ。自動車専門誌の編集を経てフリーライターに。自動車専門誌を中心に、航空、ミリタリー、映像作品、オタクカルチャー、政治などの 様々なジャンルに寄稿する雑文ライター。 著書に『最強!連合艦隊オールスターズ』『萌えだらけのクルマ選び』(共にイカロス出版)、『「...