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タイミングチェーンとは?軽自動車などの車一覧から異音時の交換時期&費用まで

タイミングベルトは外部に設置しても静かですが、ゴム素材なので劣化します。近年のほとんどの車がタイミングチェーンを採用していますが、ゴム製のタイミングベルトに比べ、高い耐久性を誇っています。はたして、タイミングチェーンはタイミングベルトより優れたものなのでしょうか。タイミングベルトとの比較や採用される車種について、またチェーンの交換時期と交換費用についても解説します。

タイミングチェーンとは

エンジンを構成する部品の一つにクランクシャフトというピストンの往復運動を回転力に変えるための軸になるものがあります。
クランクシャフトを回転させるために、「タイミングチェーン」または「タイミングベルト」というものが必要です。
しかし、エンジンによってはゴム製のタイミングベルトの代わりに、自転車に使われるような金属チェーンを採用しているエンジンもあります。
金属製のタイミングチェーンは20万km~30万kmを走破する耐久性を持ち合わせているため、基本的に廃車まで切れる心配はありません。
「10万km走行する毎にエンジンのタイミングベルトを交換する」
車を所有している方なら、恒例行事のように意識しているタイミングベルトの交換作業ですが、あまり知られていないタイミングチェーンについて解説します。

タイミングベルトやチェーンとは

OHC(DOHC、SOHC)と呼ばれるエンジンカムシャフトを搭載しているエンジンは、カムシャフトを回転させるため、エンジン下部のクランクシャフトから動力を伝える必要があります。
さらに、クランクシャフトとカムシャフトの回転を同期しなければエンジンは正常に動きません。
そのため規則的にコマが並んだタイミングチェーンや、凹凸を設けてズレることなく回転を伝達するタイミングベルトが使われるのです。

ベルトとチェーンはどちらがおすすめ

ゴム製タイミングベルトが開発されてから、より耐久性のあるタイミングチェーンが登場したように思えますが、実はチェーンの方が早くから採用されています。
昭和車を代表する日産 S30 フェアレディZなどに搭載されるL型エンジンにはタイミングチェーンが使われていました。
しかし、当時の技術ではチェーンによる騒音や、伸びによるバルブタイミングのズレが大きく、耐久性に問題がありました。

その後、定期交換は必要ですが、軽量で静粛性に優れたゴム製のタイミングベルトが普及しました。
近年では、耐久性と静粛性に優れたサイレントチェーンが登場し、再びチェーン駆動が主流となっています。
技術の進歩とともに、ベルトとチェーンが競い合うように主役の座を奪い合っているのが実情です。

ベルト駆動とチェーン駆動の見分け方

「10万km走ったのでタイミングベルトを交換しようとしたら、タイミングチェーンだった」
というのはよくある話のようです。
ベルト方式とチェーン方式の見分け方を日産 S13 シルビアなどに搭載された“CA18DET”と“ SR20DET”を例にご紹介します。

タイミングベルト駆動のCA18DET

日産 CA18DET エンジン 1988年

タイミングベルトは、ゴムを劣化させるオイルとは完全に分離させなければいけないので、エンジン前方に別室で設けられます。
多くエンジンが黒い樹脂製のカバーで覆われています。

タイミングチェーン駆動のSR20DET

日産 SR20DET エンジン 1994年

一方のタイミングチェーンは常にオイルによって潤滑されていなければならないため、騒音の遮断を兼ねた金属カバーに覆われています。
そのため、エンジンと一体に見えるのがタイミングチェーン駆動のエンジンです。

念のため、取り扱い説明書を読み、ご自身の車がベルト駆動かチェーン駆動かをあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

タイミングチェーンのメリット・デメリット

タイミングチェーン駆動には、耐久性のほかにもさまざまなメリットがあります。
幅広いゴムベルトに比べ、金属チェーンは細く、プーリーの小径化と合わせてコンパクトなエンジン設計で耐久性も確保できます。
また、走行中にチェーンが切れることを想定する必要がないため、ベルト駆動で確保されていたバルブタイミングの保護のためのバルブタイミングの余裕を、動力性能を引き出す方向へ振り分けることができます。

しかし、タイミングチェーンにも欠点があります。
タイミングチェーンのデメリットとして、高い耐久性と引き替えにした、大きな駆動ロスがあります。
重い金属製のチェーンを高速で回転させるうえ、チェーンの張りを保つために、常にテンショナーと呼ばれる部品で押さえつけなくてはいけません。

タイミングチェーンを採用する代表車種

ローラー式タイミングチェーンを採用する車

日産 フェアレディZ S30

昭和の名車。L型エンジンを搭載するフェアレディZ

日産 フェアレディZ s30 1979年型 旧車

スズキ アルト ワークス HA/HB

スズキの主力エンジンだったK6Aもタイミングチェーン駆動

スズキ アルト ワークス 1987年型

日産 シルビア S15

根強い人気の歴代シルビアに搭載されたSRエンジン

サイレントチェーンを採用する車

トヨタ ヴィッツ SCP

ヴィッツを始めトヨタの多くの車種に搭載されたNZエンジン

日産 マーチ K12

チェーンの不具合が多く出たCRエンジンを搭載するマーチ

ホンダ インテグラ DC5

長い間ベルトにこだわってきたホンダもK20Aでチェーンを採用

ホンダ 4代目 インテグラ 2001年モデル

マツダ デミオ DE

マツダのスカイアクティブエンジンもサイレントチェーンを採用

マツダ デミオ 3代目

以上、サイレントチェーンへと切り替わり始めた時期の車をご紹介しました。

これ以降は、ほとんどのメーカーの車がサイレントチェーンを採用しています。

タイミングチェーンの劣化

タイミングチェーンは20万kmから30万kmは切れないように設計されていますがその間に製品不良や、無理な力がかかった場合には破断することはあります。
普通に使用している限り、切れるということはありませんが、経年使用によりチェーン同士をつないでいるピン周りが磨耗して、チェーン全体が伸びて長くなってしまい劣化してしまいます。
チェーンが伸びた際の張り具合は、テンショナーで最適に保たれますが、バルブタイミングが合わなくなってくるため、エンジン性能の低下し始めます。
そして、エンジンが始動できなくなった状態が実質的な寿命となります。

チェーンの伸び原因である磨耗は、オイルの潤滑性能に依存しオイル管理が悪いと寿命を早めることになってしまいます。

仮に交換となった場合には、タイミングベルトとは比べものにならないほど高額な費用がかかるため、チェーン駆動のエンジンはオイル管理をしっかりとおこなう必要があります。

サイレントチェーンの耐久性

細かな部品でチェーン状のギアを構成するサイレントチェーン

サイレントチェーンは2000年ごろから採用され始め、現在ではほとんどのエンジンに採用されています。
ローラーチェーンの構造や材質を見直し、静粛性を高めたタイミングチェーンですが、静粛性と引き替えに従来のローラーチェーンよりも、オイル潤滑システム設計の善し悪しで耐久性が大きく差があるために注意が必要です。

特に、初期の物は磨耗耐久性に問題があり、チェーンが伸びることによって、ガラガラという異音、出力低下、エンジン始動不可などの不具合が早い段階で発生するという不具合が報告されています。

サイレントチェーンもローラーチェーンと同様にオイル管理により耐久性に大きく差が出ます。
エンジンオイルの指定グレード、指定粘度、指定交換時期をしっかりと守るようにしてください。

音で劣化の確認

タイミングチェーンが劣化して伸びてくると「ジャラジャラ」「カラカラ」「ガラガラ」といった独特の金属異音が発生するようになります。
聞き分けるポイントは、始動直後と、アクセルオン・オフ時です。

始動直後の数十秒間は油圧が安定しないため、テンショナーによる張り調整が不十分なため、音が鳴るのは仕方がありません。
エンジンが温まって、油圧が安定すると音は収まり静かになりますが、劣化したチェーンでは常に音を発するようになります。

急激なアクセルオン・オフで回転数が変動すると、伸びたチェーンはテンショナーで抑えきれないほどたわみ、やはり音が鳴るようになります。
さらに伸びが進行すると、チェーン周りのガイドなどにぶつかるようになり、さらに激しい金属音が発生します。

エンジン周りはたくさんのノイズ発生源がありますので、聞き分けるのは難しいですが、ときどき耳を澄まして聴いてみましょう。

タイミングチェーンの交換時期と交換費用

自動車整備 検査

タイミングチェーンの交換時期を判断するには、チェーンの騒音と走行距離が基準になりますが、断定するには専門の知識を要します。

確認する一つの方法にメーター内のエンジン警告灯が点灯するのをを確認することです。
チェーンが伸びるとバルブタイミングが遅れてきます。
ECUが異常なバルブタイミングの遅れを検知すると、エンジン警告灯が発動します。
とはいえ、何の警告かは点検をしてもらわなければ分からないので、速やかに整備工場等に点検を依頼しましょう。

タイミングチェーンの交換費用

タイミングチェーンは車種によってはエンジンを車体から降ろさなければならないので、さらに作業工賃がかかったり、頻繁な交換がない分一回にかかる費用が高額になっています。

多くの場合が10万円~20万円で、エンジンヘッドが複数あるV型エンジンや水平対向エンジンでは、さらに倍近い費用がかかります。

タイミングベルト交換費用の相場が3万円~5万円であることと比べると、いかに大がかりな整備であるか分かると思います。
余計な出費を抑えるためにも、エンジンオイルの定期交換をしっかり行いましょう。

タイミングチェーンの中古車にはご注意

中古車

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オイルメンテナンスでタイミングチェーン駆動、特にサイレントチェーンを採用したエンジンではその寿命が大きく変わってくるので、中古車を購入する場合、前オーナーのオイル管理が悪ければ、車両代金に加え、高額なタイミングチェーン交換費用が必要になってしまいます。
もし心配であれば、タイミングベルト式の中古車を購入してベルトを交換した方が安心感があります。
タイミングチェーンを採用する中古車の購入には、今まで以上に車の状態に注意を払う必要があるでしょう。

サイレントチェーンを採用し、およそ5万km以上を走行した中古車を購入する場合は整備記録簿の有無や定期的なオイル交換がされていたかを確認したいところです。
また、可能ならば試乗させてもらい、アクセルオン・オフ時のタイミングチェーンの「ガラガラ音」に耳を澄ませ、しっかりと車の状態を確認することが望ましいでしょう。

逆に車を売る際は整備記録簿の有無が、今まで以上に買い取り価格に大きく影響する可能性があります。
しっかりしたメンテナンスと、その証明として記録を残すことが、より高く車を売る秘訣になります。

チェーンやベルトの他にカムシャフトレスエンジンも

スウェーデンのスーパーカーメーカーが開発を進める“フリーバルブ”システムの紹介動画

高耐久性と引き替えにメンテナンス費用のかさむタイミングチェーン、定期交換は必要ですが、エンジン性能を維持しやすいタイミングベルト。
どちらが車にとって良いのか、悩ましいところです。

チェーンからベルトへ代わり、今は再びチェーン駆動が主流ですが、今後はどうなるのでしょうか。
フォルクスワーゲンやプジョーの新型エンジンは、チェーンによる駆動ロスや燃費悪化を嫌い、再びベルト駆動に戻るような動きを示しています。
また、フォードでは、オイルに浸かったベルト駆動で、チェーン並の耐久性を持たせたと発表しています。
ベルトやチェーンの必要としないカムシャフトレスエンジンも、フィアットやケーニグセグが開発を進めています。

次に主流となるのはベルト駆動か、チェーン駆動か、カムレスか。
カムシャフトの駆動方式を巡って、三つどもえの戦いが始まりそうです。

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