初めて車と出会う人の為の車情報メディア MOBY [モビー]

コイルスプリングとは?構造と車のサスペンションに多く採用される理由とへたりについて

今やほとんどの車のサスペンションに採用されるコイルスプリング。ローダウンの必需品でもあるコイルスプリングの特性について解説します。また、コイルスプリングが多くの車に採用される理由やヘタリのメカニズム、現代においても一貫してコイルスプリングを採用しないシボレー コルベットについても迫ります。

コイルスプリングとは?

ダブルウィッシュボーン サスペンション

コイルとは「巻き付ける」という意味。
スプリングは「バネ、弾力、飛び跳ねる」という意味です。
現在、多くの車に採用されるコイルスプリングは、その意味のとおり、ぐるぐると螺旋状に巻かれた金属製のバネのことを指します。
バネの性質とは加えられた力を縮むことで吸収し、伸びることで押し戻す特性を持ちます。
その特性を利用して、路面の凹凸によって車体に加わる力を吸収し、戻すという動きを繰り返すことで、車は荒れた路面でもスムースに走り抜けることができるのです。

スプリングの構造

新型 ノア モデリスタ ローダウンスプリング

新型 ノア モデリスタ ローダウンスプリング

車のコイルスプリングには、靱性、耐久性、疲労強度、耐腐食性など、さまざまな特性が要求されます。
純粋な鉄を、単純にコイル状にしただけでは、あっという間に折れて使い物にならなくなります。
そのため、スプリングにはバネ鋼鋼材という特殊金属が使われます。
バネ鋼鋼材とは、鋼鉄にシリコンやマンガン、クロムなどを加え、成分を調整することで、バネ性質を与えられた鋼材です。

スプリングレート

バネの特性を表す指標として最も重要なのがスプリングレート(もしくはバネ定数、バネレート)です。
バネレートとはバネの硬さを表す指標で、単位はkgf/mmを用います。
5kgf/mmと表示されていたとしたら、スプリング単体に5kgの力を掛けると1mm縮むという意味です。
数値が大きいほど硬く、小さいほど柔らかいスプリングということになります。

スプリングの自由長

コイルスプリングの自由長とは、荷重をかけていない状態でのスプリングの長さです。
自由長が長いほど、サスペンションストロークが増えることになります。
しかし、実際はダンパーの最大ストロークが最大サスペンションストロークとなるので、自由長が長ければ長いほど良いというわけではありません。

最大許容ストロークと最大許容荷重

バネ鋼鋼材とはいえ金属です。
一般的な金属のように、一定以上曲げたりした場合は、元に戻らなくなってしまいます。
最大許容ストロークとは、これ以上縮んだら元に戻らないストローク量の限界値。
最大許容荷重とは、これ以上荷重をかけたら元に戻らない荷重量の限界値を表しています。

ヘタリについて

かつてのスプリングは、金属の精錬技術の不足からバネ鋼に不純物が混じり、疲労強度不足によりバネが折れたり、へたって車高が下がったりしたものです。
しかし、技術が進歩した現在において、乗用車で純正採用されるコイルスプリングは10万kmや20万km程度の走行距離で、へたりや折れといったことは、ほぼないといえるでしょう。
とはいえ、そのスプリングに設定された最大許容ストロークや最大許容荷重を超えるような使い方をすれば、さすがにへたりや折れは発生するので注意が必要です。
過積載はもってのほか。
大きめの段差などを越えるときは、しっかりと減速しましょう。

コイル形状による違い

荒巻スプリング

2017~ アクア TRDスポルティーボサスペンションセット

2017~ アクア TRDスポルティーボサスペンションセット

一般に純正形状と呼ばれるコイルスプリングです。
純正スプリングやローダウンスプリングがこれに当たります。

多くの場合、巻き間隔が一定ではない不等間隔ピッチ形状をしているため、バネの反発力を表すバネレートが一定ではありません。
そのため路面の細かな凹凸では柔らかく動き、大きな挙動変化時には高いバネレートで車を安定させる働きをします。
非線形コイルスプリング、またはバリアブルレートスプリングと呼ばれ、幅広い用途に対応できるコイルスプリングです。

直巻スプリング

主に車高調など、レース用サスペンションキットに装備されるスプリングです。
等間隔形をしており、状内径と自由長が規格化されたスプリングのことを指します。
規格さえ合えばどのメーカーの車高長にでも取り付けることができるため、サーキットに合わせて、細かなバネレートのセッティングやストロークの変更できる点がメリットです。

常に一定のバネレートを発生するため、荒巻スプリングのと同じバネレートだとしてもゴツゴツとした角のある乗り味に感じられます。
その代わり、どれくらいの力を掛ければ、どれくらい縮むかを感覚的に察知しやすいため、いわゆるリニアでコントロール性の良いスプリングということでレース車両に多く用いられるのです。

▶︎この商品の購入はこちら!

なぜコイルスプリングが採用されるのか

世界初の量産乗用車として誕生したフォードT型には、簡素な横置き板ばねが装備されていました。
現代の車は、それよりはるかに重量を増し、パワーも比べものにならないほど上がっています。
さらに、コーナリング性能や乗り心地なども要求されるのと同時に、広い室内スペース効率も求められるのが現代の車です。

それらの要求を満たすためには、設計自由度の高いコイルスプリング形状がベストでした。
コイル形状のスプリングは線径、巻き径、巻き数の3つの要素を調整することで、バネ鋼鋼材質だけに依存しない、車に最適なバネ特性を与えることが可能になります。

フォードについてはこちら

現代においても板バネを採用する車

現代においては、ほとんどの車がコイルスプリングを採用しています。
板バネが使用されるのは、なにより堅牢性が求められるトラックくらいでしょう。
しかし、誕生当初から一貫して板バネを採用し続ける高性能スポーツカーが存在します。
それがシボレー コルベット。

1954年に誕生したC1コルベットから、現行のC7まで、一貫してV8・OHVエンジンと横置き板バネを採用し続け、今やコルベットの特徴となっています。
その高性能グレードであるZO6やZR1は、板バネを採用ながらも"世界のサスペンション試験場"であるドイツ・ニュルブルクリンクで、他の高性能車と型を並べるタイムを叩き出すのですから、コイルスプリングの絶対的な優位性というのには疑問を持ってしまいます。

とはいえ、C7コルベットが採用する板バネの材質は一般的なバネ鋼鋼材ではなく、カーボン複合材であり、その軽量さがもたらす性能であると推測することもできます。
新素材によるバネは、もはや形状に依存しないのかもしれません。

板バネでニュルブルクリングをアタックするC7 コルベット ZR1

シボレー コルベットについてはこちら

スプリングの新技術

サスペンション

出典:©iStockphoto.com/ kvsan

コイルスプリングについてご紹介してきましたがいかがでしたか?

長期に渡ってへたらず、安定した走行が可能となった現在のサスペンションスプリングには、もはやこれ以上の進化は必要ないと思われます。
しかし、スプリングの進化はとどまることを知りません。

今までにない精度で、一定のバネレートを発生させる、米国HYPERCOILS社の通称「ハイパコ」は、世界で戦う多くのレース車両で採用されています。
日本の各自動車メーカーのサプライヤーである中央発條株式会社の「SASC」は独自のバネの成形技術により、ダンパーの動きを邪魔しない最適なスプリング形状で乗り心地に貢献します。

より軽量なスプリングを目指し、カーボン複合材製によるコイルスプリングの研究開発もされています。

コイルスプリングはどんどん進化しています。
たかがバネと侮ることはできません。

車のサスペンションに関する情報はこちら!

関連キーワード
キーワードから記事を探す


関連する車種/メーカー
車種/メーカーから記事を探す