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ガスケット抜けとは?その意味や症状と修理費などをまとめ!対策方法も!

車のいたるところに使用されているガスケットの解説です。中でも最も重要なエンジンヘッドガスケットですが、稀に起こる「ガスケット抜け」は、そのまま放置するとエンジンブローを引き起こす重大なトラブルです。「ガスケット抜け」の原因と症状、またその対策と修理費用などをまとめて解説しています。

ガスケットとは?

車が動作するには、さまざまな液体・気体がパイプの中を流れ、その接続部分には必ずガスケットという物が挟み込まれています。
自動車部品の金属面は、見た目では平坦に見えても、ミクロン単位では僅かに歪んでいるものなのです。
歪みがあると、できた隙間からガスや液体が漏れだしてしまいます。
そのため、金属よりも柔らかい素材でできたガスケットを挟み込んで完全に密閉する必要があるのです。
ちなみに、ガスやオイルなど気密、液密に使用されるものをガスケット。
ヘッドカバーやクランクシャフトのベアリング周りの動作部分の密封するものをパッキンといいますが、その用途や材質は基本的に同じものです。

ガスケットはどこに使われている?

冷却水が流れるラインには柔軟性のあるゴムやシリコンが使われ、オイルが流れるラインには耐油性と耐熱性の高いゴムを使用し、漏れを防いでいます。
特殊な紙や液体ガスケットなどが使われる場合もあります。

マフラーのジョイント部分には球体ガスケットというテーパーの付いた金属ガスケットが使われています。
マフラーは熱がかかる上、長く、ジョイント部分には大きな力がかかるので、多少の変形があってもしっかり気密できる球体ガスケットが使われます。

インテークマニホールド、エグゾーストマニホールドとエンジンの間にもガスケットは使われています。
これらのガスケットが破損すると、排気漏れの原因や二次エアの吸い込みでエンジン不調になる場合があります。

そして、車に使われるガスケットでもっとも重要なのがヘッドガスケット。シリンダーヘッドとシリンダーブロックの間に挟み込まれるガスケットで、エンジンが正常に動作するためには欠かせないものです。

ヘッドガスケットに求められる性能

シリンダーヘッドとシリンダーブロックの間は、他の箇所で使用されるガスケットよりも大きく、形状も複雑な物が使用されます。
その上、シリンダーの他にオイルラインと冷却水のラインも流れているので、爆発圧力とオイルと冷却水とをしっかり分離し、密閉する機能を一枚のガスケットで実現しなければなりません。
爆発圧力をシールするために硬い材質を使用すると、歪みを完全に埋められず、オイルと冷却水が漏れ出してしまいます。
かといって柔らかい素材を使用すると、エンジンの爆発圧力に耐えられません。
そのため、現在多くの車で使用されるガスケットは何層かの材質の違う金属を重ね合わせたものが使用されています。
ライン周辺には柔らかく、弾力性のある素材を使い、シリンダー周辺を丈夫な材質で補強することで、一枚のガスケットで高いシール性を確保しています。

ガスケット抜け

異常や経年劣化によってエンジンのヘッドガスケットが破損してしまう場合があります。
これを“ガスケット抜け”と言います。
気筒間でのガスケットが抜けた場合、抜けたシリンダーは正常な圧縮ができなくなり、走行困難あるいは走行不能状態に陥ってしまいます。
そのまま放置すればエンジンブローにまで発展する場合がありますので、後述する症状が出たら早めの対処をおすすめします。

ヘッドガスケット抜けの症状

水温警告灯

©shutterstock / vchal

ヘッドの“ガスケット抜け”が起こると、以下のような症状が発生します

パワーダウン

規定値どおりに混合気を圧縮することができない上、燃焼圧力も抜けたガスケット部分から逃げてしまうので、極端にパワーダウンしてしまいます。
圧縮抜けがひどい場合にはエンジンを始動することができなくなります。

マフラーから白煙

水冷式エンジンではシリンダーヘッドの周りには冷却水が流れるウォータージャケットがありますので、漏れ出した冷却水がエンジンに流れ込むことで、エンジンの燃焼により水蒸気となった冷却水がマフラーから排出され、白煙が上がります。
また、冷却水が次第に減っていくため、放置すればオーバーヒートします。
さらに大量に冷却水がシリンダー内に入り込むと、ウォーターハンマー現象により、エンジンブローを起こしてしまいます。
ウォーターハンマー現象とは、液体は圧縮できないため、シリンダーに大量に入ると圧縮が過剰になり、それによりピストン、コンロッドが破壊される現象です。

水温上昇

冷却水とエンジンの燃焼の熱が直接触れあうことになるので、水温が一気に上昇します。
放置すれば、オーバーヒートは免れないでしょう。

オイルが白く濁る

また、オイルに冷却水が混じるとオイルが白濁ししてきます。
これは乳化現象というもので、オイルと水が混ざり合うと白いヘドロ状の
物質ができあがり、ひどい場合にはオイルラインを塞いでしまう場合があります。

冷却水に排気ガスが交じる

エンジンのシリンダーとウォータージャケットのガスケットが抜けると、エンジンの燃焼圧力が冷却水のラインを通って、ラジエターまで届く事があります。
そのため、ラジエターキャップを空けて、エンジンをから吹かしするとゴボゴボと泡状の排気ガスが出てきます。

ヘッドガスケット抜けの原因

エンジントラブル 故障 オーバーヒート

©shutterstock.com / Ersler Dmitry

ヘッドガスケットが抜ける原因として多いのは、オーバーヒートによるエンジンの歪みです。
特に、鉄よりも融点が低く、熱膨張比の大きいアルミニウム製のエンジンは、冷却系のトラブルによりエンジンが歪んでしまう可能性が高いといえるでしょう。
歪んだエンジンにより、ガスケットに無理な力が加わることで破損したり、歪みによってできた隙間を高圧の燃焼圧力が吹き抜けることで破損するケースが多いようです。
また、使用期間が長い場合は、エンジンの熱膨張、収縮の繰り返しによる経年劣化。
シリンダー内にカーボンが体積することによる異常圧縮。
ターボアクチュエーターの固着などによるオーバーブーストも原因の一つに挙げられます。

その他の例では、ブーストアップやタービン交換により、上がったエンジンパワーに対してガスケットの耐久性が不足してしまうケースもあります。
その場合は、チューニングパーツメーカーで販売されている強化メタルガスケットへの交換をおすすめします。

とはいえ、最近の車では滅多なことではガスケット抜けはありませんので、過剰に神経質になる必要はありません。

ガスケットの交換

整備工場

©Shutterstock.com/Lucky Business

ヘッドガスケットが抜けた場合は、ガスケットを交換するしかありません。
そのためにはエンジンのシリンダーブロックとシリンダーヘッドを分離する必要があります。
場合によっては、ガスケットの取り付け面を平坦になるように削る必要があるため、その工賃は高額になってしまいます。
ガスケット自体の価格は3,000円~3万円程度。
交換工賃は4万円~10万円が相場のようです。
費用に開きがあるのは、ヘッドにカムシャフトのないOHVエンジンのガスケット交換が最も簡単ですが、DOHCやSOHCエンジンなどはタイミングベルト等の調整が必要になるためです。
V型エンジンなど、ヘッドが複数あるものは両バンクの交換を想定したものとなります。
また、水平対向エンジンでは作業スペースが確保できないため、車両からエンジンを降ろしての作業となるため、どうしても工賃は割高になってしまいます。

ヘッドガスケット取り付け時の注意点

重要なポイント

ガスケット取り付けの際の注意点を説明します。
ヘッドガスケットをD.I.Yで交換することも可能ですが、エンジンの重要箇所なだけに、細心の注意が求められます。
高額な費用はかかりますが、信頼できる整備工場にお願いするのがベターな選択です。

取り付け平面を出す

ヘッドガスケットの取り付けには注意が必要です。
まず。ガスケットの取り付け面である、シリンダーヘッド面とブロック面を綺麗に掃除し、オイルストーン(油を含ませた砥石)で磨いてやる必要があります。
古いガスケットの残りや、ホコリやゴミなどを除去し、しっかりとした平面が出ていないと、再びガスケット抜けの原因となってしまいます

ガスケットの厚さで圧縮比が変わる

ヘッドガスケットの厚さが変わるとシリンダー容積が変わるため、エンジンの圧縮比も変わってしまいます。
ガスケットの厚さが薄くなれば圧縮比が上がる方向になり、エンジンの熱効率が上がり、パワーアップします。
しかし、極端に薄くした場合は圧縮比が高すぎてノッキングを起こしたり、バルブとピストンがぶつかり、エンジンブローの危険性が高まります。
バルブタイミングや点火時期のリセッティングが必要になるケースもあるので、ガスケットの厚さ選定には注意が必要です。
ターボエンジンの場合は厚めのガスケットへと交換することで圧縮比を下げ、より高いブースト圧をかけてもノッキングを抑えられるようになる副次効果もあります。

適切な締め付けトルク管理を

シリンダーヘッドをブロック側に取り付ける際は、ボルトを締め付ける力の強さを適切に管理しなければなりません。
締め付ける力の強さは、ガスケット面積、ガスケット計数、ボルト材質、ボルト径など様々な条件を元に設定されます。
ガスケット全体に均等に力を掛けつつ、しっかりとシールできるだけの適切な締め付けトルクを掛けなければエンジントラブルの元になりますので細心の注意が必要です。
作業は整備書に従い、高い精度のトルクレンチを使っての作業が望ましいでしょう。

自作ガスケット

キューバ クラシックカー メンテナンス

©Shutterstock.com/

純正部品の供給が終了しているクラシックカーなどのヘッドガスケットは、もはや部品が手に入らないため、自分で作る方もいらっしゃいます。
銅板やアルミ板を純正ガスケットと同じ寸法で切り抜いて代用します。
金属板はそのままでは硬くてシール性を確保できないため"焼鈍し(やきなまし)"という作業を加えます。
焼鈍しとは、ガスバーナーなどで赤熱するまで加熱してやることで、金属の歪みを取り除き、柔らかくしてガスケットに必要なシール性を持たせる作業です。
その上で、より細かな隙間を埋める“液体ガスケット”を全体に塗布すれば、自作ガスケットの完成です。

ガスケット抜け対策は日頃のメンテナンス

リザーバータンク内の冷却水が規定値にあるかをチェックしましょう

ラジエーター リザーバータンク

©shutterstock / Livijus Raubickas

いかがでしたでしょうか。
ガスケット抜けは滅多にあるトラブルではありませんが、日頃のメンテナンスを怠ると、その発生確率は高くなってしまいます。
ガスケット抜けと思わしき症状を知っていれば、被害を最小限におさえることが可能ですので、ぜひこの記事をご参考にしていただければ嬉しく思います。
発生してしまった場合は高額な修理費用がかかってしまうので、特にタービン周りと、冷却系のメンテナンスは、日頃からしっかりとおこないたいものです。

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