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【ハマーH1はシンプルでタフ】実燃費やサイズに内装の評価からアルファとの違いなど

ハマーH1は軍用車両ハンヴィーをベースに内装に手を入れ、快適装備を追加したシビリアンモデルです。1992〜2006年にかけて生産され、一時はSUVブームを追い風にして人気車種となりましたが、イラク戦争に端を発する原油価格により燃費性能が極端に悪かったハマーH1は売り上げが低迷。06年に生産を終了しました。今回はそんなハマーH1を実燃費、維持費、アルファとの違いを含めて解説します。

ハマーH1とは

ハマーH1ピックアップ

ハマーH1は軍用車のM998ハンヴィー(HMMWV:High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle=高機動多用途装輪車両)をベースにした民間向けの市販SUVです。

もともとハンヴィーは軍用車両として開発され、民間市場での販売は予定されていませんでした。
ところが、ハンヴィーの熱烈なファンだったハリウッドスターのアーノルド・シュワルツネッガーが製造元のAMジェネラル社に市販化を強く要望したことから、エンジンや内装などに手を入れ、1992年からハマーH1として市販を開始しました。

ハマーH1のスペック

全長全幅全高
4,6862,1971,905
ホイールベース車両重量乗車定員
3,3023,2456
[単位]全長・全幅・全高・ホイールベース:mm 車両重量:kg 乗車定員:人
エンジン種類水冷V8OHVターボ
排気量6,489
最高出力195/3,400
最大トルク59.4/1,800
トランスミッション4AT
駆動方式4WD
使用燃料軽油
[単位]最高出力:hp/rpm 最大トルク:kgf・m/rpm

ハマーについてもっと知りたい方はこちら

ハマーH1の歴史

ウィリス・オーバーランド社/ウィリスMB

カイザー・フレイザー社/M38A1

ハマーH1の開発元であるAMジェネラル社は、ウィリスMBで有名なウィリス・オーバーランド社やM38シリーズで実績のあるカイザー・フレイザー社をルーツに持ち、アメリカン・モータース(AMC)社傘下の大型商用車・軍用車両専門メーカーとして70年に設立されました。

その後、AMCがルノー社傘下となった際にAMジェネラル社は米政府の仲介で防衛関連企業のリング・テムコ・ボート(LTV)社のグループ企業となりますが、92年にレンコ・グループに買収され、現在はレンコ・グループとマックアンドリュー&フォーブズ・ホールディングスの傘下に収まっています。

ハマーH1の原型となった軍用車ハンヴィー

TWO対戦車ミサイルを発射するM998ハンヴィー

ハマーH1の原型となったハンヴィーは、M151フォードMUTTの後継車種として70年代から研究開発が始まり、85年から部隊配備を開始しました。

前述の通り、開発を担当したのはAMジェネラル社で、市販車両のハマーH1も当初は同社が販売を行っていました。
ところが、冷戦終結に伴う軍事予算の削減により、軍からの大幅な受注減となったAMジェネラル社は、90年代末に経営状況が悪化したことからGMに「ハマー」ブランドを売却。
ハマーH1の生産自体はAMジェネラル社のミシャワカ工場で継続されましたが、販売はGMが新たに整備したハマー販売チャンネルで行われました。

ハマーH1の栄光と凋落

ハマーH1ワゴン

90年代当時、米国では税制改正により企業が所有するセダン型社用車の税金が引き上げられるいっぽう、貨物車に区分されるSUVは税金が安く抑えられていたため人気を集めるようになります。
そうした時期に全米に強力な販売網を持つGMがハマーブランドを取り扱うようになったことから、ハマーH1はGMのフラッグシップSUVとしてセレブリティを中心に人気を集めるようになりました。

しかし、2000年代に入るとイラク戦争が原因で原油価格が高騰、燃費性能が極端に悪かったハマーH1の販売は低迷しました。
07年から米国で施行されたディーゼルエンジンの排出ガス規制の強化により、規制基準に対応するめどが立たないこともあって、06年にハマーH1は販売を終了。
10年にはブランドそのものも廃止されました。

同様に軍用車から歴史が始まったのがジープです。
気になる方は以下の記事をご覧ください。

ハマーH1のボディサイズは?

ハマーH1

ハマーH1のディメンションは、全長4,686mm×全幅2,197mm×全高1,956mmと、並のSUVと比べると全長に対して全幅が大きくなっています。
これは軍用車両ハンヴィーの基本設計をそのまま踏襲しているためです。

従来のジープ型軍用車両が対人地雷を踏んだ際に爆発により車体が横転し、乗員が投げ出されて死傷するケースが多かったことから、ハンヴィーでは極端に車幅を大きく取って対抗したことに由来しています。

ハンヴィーに代わって調達が進められているMRAP。写真の車両はMRAPのひとつマックスプロ・プラス。

MRAP マックスプロ・プラス

しかしながら、さすがのハンヴィーでも対戦車地雷には対抗は不可能ですし、近年の不正規戦闘でゲリラが使用するIED(Improvised Explosive Device:即席爆発装置)には対応が困難なため、近年米軍ではMRAP(Mine Resistant Ambush Protected:耐地雷・伏撃防護車両)を開発・配備しています。

ハンヴィーの後継車として18年より配備が開始されるオシュコシュ社製L-ATV

オシュコシュ社/L-ATV

平原や砂漠は得意だが都市部や山岳地帯では・・・

原型となったハンヴィーは、欧州や中近東などの道路網が比較的整備され、障害物の少ない開けた平野や砂漠での運用を前提としているため、日本の込み入った都市部や東南アジアの密林地帯では使い勝手が良くないようです。

また、山岳地帯では3,302mmという長大なホイールベースにより、起伏を乗り越えようとすると亀の子状態になってしまうため運用に適しているとは言えません。

ハンヴィーとは真逆のコンセプトで開発されたM422マイティマイト

M422マイティマイト

かつて、米軍にはハンヴィーとは真逆の設計コンセプトで開発されたM442マイティマイトという超小型・軽量の4輪駆動車がありました。
この車輛は朝鮮半島などの山岳地帯での運用を前提に全長3,000mmにも満たない短い車体に、極端なショートホイールベースの軍用車両として開発されました。
ところが、ヘリコプターの急速な進化により、山岳地帯で車両を運用する意味合いが薄れ、マイティ・マイトはわずか6,000台で生産が打ち切られてしまいます(生産された車両はベトナム戦争に投入されました)。

CH-47チヌーク・ヘリコプターで空輸されるハンヴィー

おそらく、現在でも米軍はハンヴィーが運用しにくい都市部やジャングル、山岳地帯ではヘリコプターで代替すれば良いと割り切って考えているのでしょう。
そうした割り切りがハンヴィー、そしてその市販バージョンであるハマーH1のボディサイズに現れていると言えます。

ハンヴィーについてさらに知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ハマーH1とH1アルファとの違い

ハマーH1 ALPHA ワゴン

ハマーH1 ALPHA

当初、ハマーH1は軍用車両ハンヴィーと同じく、GMデトロイトディーゼル製6.2LV8OHVが搭載されていましたが、発売開始2年後に排気量を6.5Lにスープアップ。
そして、翌95年にはシボレー製5.7LV8OHV「ボルテック」ユニットが追加されました。
ギアボックスは初期型の6.2LモデルのみGM製TH400/3L80型3ATが組み合わされていましたが、その後のモデルはディーゼル/ガソリンともにGM製4L80-E型4ATに換装されています。
なお、軍用車両のハンヴィーを含めてハマーH1にMT車は設定されていません。

マイチェン版のハマーH1 ALPHA

05年、ハマーH1はマイナーチェンジを実施。
内外装に大きな変更を受けませんでしたが、エンジンやトランスミッション、ブレーキ、燃料タンク容量は改良を受け、航続性能と制動性能が向上しています。
この改良に合せて車名は「ハマーH1 ALPHA(アルファ)」に改められました。

ハマーH1 ALPHAに搭載されるエンジンは、いすゞ製8GF1型(米国名:Duramax LLY型)V8OHVインタークーラー付きターボで、組み合わされるトランスミッションはアリソン製1000型5ATとなります。
この改良により最高出力は195hpから300hpに大幅に引き上げられています。

ターボエンジンについて知りたい方は以下の記事をどうぞ。

ハマーH1の内装

ハマーH1のコクピットまわり

ハマーH1の原型となったハンヴィーは、軍用車輛ということもあって内装は金属むき出しで、ダッシュボードはなく、快適装備はパワステやATを除けばエアコンもラジオもありません(中近東向けのハンヴィーにはエアコンの装備があります)。
これでは民間向けの市販車としてはスパルタン過ぎるので、ハマーH1では防音・吸音材を取りつけた上で樹脂製のダッシュボードやドアトリムが装着され、エアコン、カーステレオ、CDチェンジャー、ドリンクホルダーなどが装備されています。

また、シートもヘッドレストすらない簡便な構造の物から高級SUVに相応しいクッションの効いた快適性の高い物へと交換されています。

ダッシュボードとは

ハマーH1の燃費

ハマーH1の実燃費はガソリン車で3〜5km/L程度、ディーゼル車で4〜6km/L程度です。
ネットなどでは「2km/Lも走らない」という書き込みもありますが、これは風聞の類いでオーナーに話を聞くと「そこまで悪くない」との答えが返ってきました。

車重3t超の巨大なSUVとは言え、大型トラックと同じようなエンジンを搭載し、車重はそれよりも軽いわけですからそこまで燃費が悪いはずがありません。

購入を考える前に現代の燃費基準をチェック

ハマーH1の維持費

価格 お金 費用 税金 維持費

ハマーH1は大型SUVということで維持費はそれなりに掛かります。
とくに税金関係は割高で、自動車税は6L超なので11万1,000円/年(ディーゼルの場合。ガソリン車は8万8,000円/年)となり、重量税は3t超なので2万8,700円/年となります。
さらに初期型のハマーH1は新車登録から13年以上が経過していますので自動車税・重量税ともに15%割り増しになります。

1ナンバー登録がお得

1ナンバー

しかし、これはあくまでも普通乗用車(3ナンバー車)で登録した場合の話です。
ハマーは荷台を持つワゴン/トラック型ボディですので普通貨物車(1ナンバー車)として登録が可能です。
その場合、車検は1年ごとになり、高速道路の料金区分は中型車になりますが、自動車税は1万6,000円/年、重量税は2万500円/年となります。
自賠責保険は3万5,950円から4万9,900円に上がってしまいますが、普通貨物車登録することで大幅に税金を削減することができます。

気になるのが商用車に掛かるNox・PM規制ですがハマーは少量輸入車のため基準となる排気ガスの数値がなく、そのため規制対象外となっていますので、全国どこでも登録ができるようです。

なお、普通貨物車は任意保険の年齢条件割引が適用にならないケースもあるようですが、全労済の自動車共済のように年齢条件割引が適用になる保険会社・共済も存在します(筆者は1ナンバー登録したフォード・マスタングIIで全労済の自動車共済に加入していましたが、等級引き継ぎ・年齢条件割引を受けられました)。

1ナンバーについては以下の記事を参考にしてください。

ハマーH1の部品代は割高

車 メンテナンス 点検

©iStockphoto.com/gilaxia

ハマーH1は特殊な車両のため部品代などは高く、メンテナンス費用はどうしても割高になります。
一例を挙げると、タイヤは1本で7〜8万円ほど掛かります。

ハマーH1の評価は?

評価

©Shutterstock.com/ Sofi photo

ハマーH1のオーナーによる評価は概ね好評なようです。
このクルマの長所としては「目立つ」「カッコイイ」「トルクが太い」など、スタイルと大排気量による性能を挙げる声が多く、反対に短所としては「駐車場を選ぶ」「燃費が悪い」「メンテナンスコストが掛かる」などを挙げる人が多いようです。

ハマーH1は車重が重く車幅があるため、立体駐車場はまず利用できませんし、コインパーキングなどに停めるのも躊躇します。
サイズもありますから狭い道も苦手です。
ですが、ベースとなるハンヴィーが軍用車両としては珍しくイージードライブ志向で開発されたこともあって、市販車両のハマーH1も運転そのものは難しくないようです。

ハマーH1が停められる駐車場の探し方についてはこちら

ハマーH1のカスタム例

オプションのアニマルバンパーやシュノーケルを装着したハマーH1ワゴン

妹分のハマーH2はLUG系のカスタムベースとして人気がありますが、ハマーH1はもともと軍用車両として開発されたという出自もあって、こうしたカスタムが施されることはほとんどないようです。

ハマーH1のカスタムというと、もっぱらミリタリー&クロカン系のカスタムが主流で、ハンヴィーのパーツを利用して外装をミリタリー仕様に改造したり、アニマルバンパーやシュノーケルなどを装着したりして、より本格的なクロカンマシンに仕上げることが多いようです。

ハマーH1リムジン

また、カスタムとはちょっと違いますが、米国ではハマーH1をベースにしたストレッチリムジンも架装業者の手で製造されており、日本にも少数が輸入されています。

ハマーH1の中古車情報

ハマーは現状、中古車を探す以外に手に入れる方法がありません。
興味のある方は以下の中古車情報を参考にしてください。


中古車情報
システムメンテナンス中


ハマーと違い一般販売されなかった軍用車が手に入ることも

ハマーH1の復活計画とは

ハマー H1

©everystockphoto.com/ cajoel

06年で生産を終了したハマーH1ですが、原油価格が再び下落したこともあって、米国では中古車が再び人気を取り戻しています。

現在、製造元のAMジェネラル社ではハマーH1のパーツをセットにして「キットカー」として販売しています。

11年ぶりに復活したハマーH1

ボブ・ラッツ氏

また、今年(17年)には元GM副社長のボブ・ラッツ氏と元フィスカーCEOでカーデザイナーのヘンリック・フィスカー氏、実業家のギルバート・ヴィラリアル氏が共同で創設したVLFオートモーティブの手により、ハマーH1が復活し、「ハンヴィーCシリーズ」の名称で中国や中近東、アフリカなどの輸出市場をメインの市販車として販売を開始しました。

ヘンリック・フィスカー氏

ヘンリック・フィスカー

復活計画の中心となったのはラッツ氏で、クライスラー社長時代にはダッジ・バイパーやPTクルーザーなどを世に送り出し、GM移籍後はシボレー・カマロの開発を主導し、豪ホールデン社のモナーロをポンティアックGTO(5代目)として北米に導入した実積がある人物です。

ダッジ バイパー SRT-10

シボレー・カマロ(5代目)

ポンティアックGTO(5代目)

スポーツクーペ ポンティアック GTO 5代目

おそらく、カーガイ(自動車野郎)として知られるラッツ氏のことですから、このままハマーH1を埋もれさせておくのはもったいないと感じ、復活計画を主導したのでしょう(もちろん、ビジネスマンとしての冷静な判断があったことは間違いないでしょうけど)。

車名の変更は、依然としてGMがハマーの商標権を保有しており、元GM副社長だったラッツ氏をもってしても自由にハマーH1の名称を使うことができなかったためです。

なお、VLFオートモーティブはハンヴィーCシリーズの輸出・販売業務のみを担当し、製造は従来通り、AMジェネラル社のミシャワカ工場で行われています。

ボブ・ラッツ氏が手掛けたマシンの情報はこちら

ハマーH1は究極のSUV

ハマーH1ワゴン

ハマーH1についてのまとめ記事はいかがでしたでしょうか?

たしかに使い勝手を考えるとハマーH1のサイズはあまりにも巨大です。
しかし、大型トラックに比べればサイズは小さいので、日本の道路事情では乗ることができないかと言えばそんなこともないと思います。

対人地雷を踏んでも横転しない堅牢な設計、自衛隊の高機動車を上回る定格過重(ハマーH1が3.7t/輪なのに対し、高機動車は3t/輪しかありません)、シンプルでタフなメカニズム、世界最高水準の路外機動性などなど、もともと軍用車として開発されたハマーH1は、凡百のSUVなど歯牙にもかけない素晴らしいマシンです。

サバイバルを志すならハマーH1を備えよ

ハマー H1

©everystockphoto.com/ TravisKiger

近年、東アジア情勢は緊迫の度合いを高めており、核戦争を含む大規模軍事衝突の可能性は日々高まっています。
また、災害大国の日本はいつ何時地震や火山の噴火に巻き込まれてもおかしくありません。
あるいは、ある日突然に未知のウィルスが世界に蔓延し、文明が崩壊してゾンビが闊歩する世の中になるかもしれませんし、社会秩序が失われてモヒカンヘアーで暴れまくる暴走族と水や食料、ガソリンを巡って死闘を演じるようになることだって考えられます。

そんなときにハマーH1があれば、生存確立は飛躍的に高まるはずです。
プレッパーズ(世界滅亡に備える人々)にぜひおすすめしたい究極のサバイバルカーです。

和製ハンヴィー&ハマーH1の情報はこちら

アメリカンSUVの情報はこちら

アメ車についての記事いろいろ

この記事の執筆者

山崎 龍この執筆者の詳細プロフィール

1973年1月東京生まれ。自動車専門誌の編集を経てフリーライターに。自動車専門誌を中心に、航空、ミリタリー、映像作品、オタクカルチャー、政治などの 様々なジャンルに寄稿する雑文ライター。 著書に『最強!連合艦隊オールスターズ』『萌えだらけのクルマ選び』(共にイカロス出版)、『「...

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