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【マクラーレンMP4-12C/スパイダー】スペックや燃費から現在の価格についても

マクラーレンMP4-12Cは、カーボンモノセルの軽量シャシー、強力なV8ツインターボの心臓、F1由来のハイテクを満載した新世代スポーツカーとして人気を博しました。今回は派生車種のスパイダー、中古車情報、エアロパーツを含めてマクラーレンMP4-12Cを徹底解説します。

マクラーレン・オートモーティフとは

マクラーレンMP4-12Cの製造元であるマクラーレン・オートモーティフは、F1の世界では言わずと知れた名門であるマクラーレンレーシングと同じく、マクラーレングループに属しています。

レーシングコンストラクターのマクラーレンレーシングは、1963年にレーサーのブルース・マクラーレンによって設立されました。
しかし、ロードカー市場への参入は比較的新しく、マクラーレン・オートモーティフの前身であるマクラーレン・カーズが設立されたのは90年のことです。

究極のロードゴーイングスポーツ・マクラーレンF1

マクラーレンF1

マクラーレン・カーズの処女作は、94年に発表されたマクラーレンF1で、フォーミュラーカーを数多く手掛けたゴードン・マーレーによってデザインされました。

ブルース・マクラーレンの果たせなかった「マクラーレンの名を冠したロードゴーイングカー」を具現化するため、採算を度外視した妥協のない開発姿勢により、マクラーレンF1は当時の市販ロードカーとしては究極とも言える高性能車となりましたが、邦貨換算で約1億円(当時)という価格でも売れば売るだけ赤字となり、予定台数の300台を大きく下回るわずか64台で生産は打ち切られました。

量産スポーツカー市場への進出

メルセデス・ベンツ SLRマクラーレン

メルセデス・ベンツ SLRマクラーレン

その後、マクラーレン・カーズはダイムラー・クライスラー(現・ダイムラー)社との業務提携により、2003年に発表されたメルセデス・ベンツ SLRマクラーレンの開発に携わり、生産も請負いました。

そして、09年に現在のマクラーレン・オートモーティフへと改組し、かつてF1で指揮を執ったロン・デニスが社長に就任するとともに、資本を増強して英サリー州ウォーキングに新工場を設立。
11年10月にニューモデル・マクラーレンMP4-12Cのデリバリーを開始し、量産スーパーカー市場へと進出したのです。

【マクラーレンMP4-12C/スパイダーの特徴1】車名とスタイリング

マクラーレンMP4-12C

マクラーレンMP4-12Cの車名は、マクラーレン製のF1マシンに伝統的に使用されるMP4のコードネームを与えた上で、「V型12気筒エンジン搭載車と同等の性能を持つカーボンファイバー(Carbon fiber)を使用したマシン」という意味の「12C」を末尾につけたことに由来します。

マクラーレンMP4-12Cのスタイリングは、BMWに11年間在籍し、その後フェラーリやマセラティなど多くの車種を手掛けた、モロッコ出身のカーデザイナーのフランク・ステファンソンが担当。

フランク・ステファンソン

マクラーフランク・ステファンソン

流麗で美しいスタイリングですが、近年のフェラーリやランボルギーニなどと比べるとやや自己主張がやや控え目で、スタイリングに関しては専門家の間でも賛否が分かれているようです。

なお、マクラーレンMP4-12Cはスーパーカーのアイデンティティのひとつである「ディヘドラルドア」(いわゆるバタフライドア)を採用しており、左右のドアを開けた姿は、甲虫が今まさに飛び立たんと翼を広げたようなイメージです。

【マクラーレンMP4-12C/スパイダーの特徴2】カーボンモノセル

マクラーレンMP4-12C メカニズム

マクラーレンMP4-12Cの特徴のひとつが、世界初となるワンピース構造のカーボンファイバーコンポジットシャシーの導入です。

このシャシーは「カーボンモノセル」と呼ばれるワンピース構造のカーボンファイバーコンポジットでできており、重量はボディ単体で80kgしかありません。
そして、カーボンモノセルの前後にエンジンやサスペンションをマウントするアルミのフレームが組み付けることでシャシーを構成しています。

カーボンモノセルの製造方法

カーボンモノセルはオートクレーブを使用したドライカーボン(※1)を使用するのではなく、脱オートクレーブ成型法であるRTM(レジン・トランスファー・モデリング)方式(※2)で成型されています。
これにより、カーボンモノセルの生産時間は従来方式で1時間掛かるところを40分に短縮。
生産コストも数分の一に抑えることに成功しました。

※1 カーボン繊維にマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグシートを専用の型に積層し、オートクレーブと呼ばれる窯の中で熱と圧力を掛けてカーボン繊維をより型に密着させて硬化・成形する手法。

※2 樹脂注入成形法とも呼ばれ、溶融した熱硬化樹脂を低圧化で金型に封入された強化繊維プリフォームに注入し、加熱硬化させる成形法。

カーボンモノセル以外の軽量化技術

マクラーレンMP4-12C ブレーキ

マクラーレンMP4-12Cはカーボンモノセルのほかにも、ダッシュボードを保持する軽量マグネシウムビーム、鍛造アルミと鋳鉄を用いた軽量なコンポジットブレーキ、冷却系の軽量小型化、リチウムイオンバッテリーの採用、ヘキサゴンアルミ配線などの軽量化技術が惜しみなく投入されており、V12エンジンをミッドに搭載したスーパースポーツであるにもかかわらず車重は1,336kgに抑えられています。

【マクラーレンMP4-12C/スパイダーの特徴3】メカニズム

M838型V8DOHCツインターボエンジン

マクラーレンMP4-12C エンジン

マクラーレンMP4-12Cのエンジンは、当初AMG製6,208ccV8DOHCの搭載がアナウンスされていましたが、ダイムラー社との提携が解消されたためキャンセルされ、英国のエンジニアリング・コンサルティング会社のリカルド社との共同開発によるM838型3,799ccV8DOHCツインターボとなりました。

ミッドに搭載される心臓部には、ドライサンプオイル潤滑システムやフラットプレーンクランクシャフトなどのマクラーレンがモータースポーツで培ったレーシング・テクノロジーが惜しみなく注ぎ込まれています。

M838型はいわゆる「ダウンサイジング・コンセプト」で開発されたエンジンで、わずか3,799ccの排気量ながらツインターボを装備したことで最大出力は600ps/7,000rpm、最大トルクは61.2kgf·mを発揮します。

7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)

マクラーレンMP4-12Cコクピット回り

マクラーレンMP4-12C コクピット回り

組み合わされるトランスミッションは、グラツィアノ社製の7速DCTが採用され、変速にはステアリング左右に取りつけられたパドルシフトを用います。

マクラーレンMP4-12CのDCTには、マクラーレン社が「SSG」(シームレスシフト・ギアボックス)と名付けたpre-cog(予知)機能が盛り込まれており、片側のパドルシフトへ軽く触れると、コンピューターが次のシフトチェンジを予測・準備することで素早いシフトアップorシフトダウンを可能にします。

なお、SSGにはノーマル、スポーツ、ハイパフォーマンス、オートマチック、ローンチコントロール、ウインターの6つのドライビングプログラムが備わります。

MP4-12Cのサスペンション

マクラーレンMP4-12C

マクラーレンMP4-12Cのサスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式となります。

路面状況やドライバーの好みで減衰力を変えられるアダプティブ制御ダンパーを備えており、さらには「プロアクティブシャシーコントロール」と呼ばれる前後左右の各ダンパーを油圧で相互接続するテクノロジーが用いられています。
これによりサスペンションがアンチロールバーの代わりを務め、低速では柔らかく、高速では硬くというように、ダイナミックにロール制御を行うことを可能にしました。

また、コーナーリング時に内側のリアタイヤに自動でブレーキをかけることで、アンダーステアを防ぐ「ブレーキステア」を備えています。

【マクラーレンMP4-12C/スパイダーの特徴4】スパイダー

マクラーレンMP4-12C スパイダー

クーペボディから10ヵ月遅れの12年7月、マクラーレンMP4-12Cに魅力的なオープンモデルが追加されました。

マクラーレンMP4-12Cスパイダーの最大の特徴は、3分割油圧開閉式リトラクタブルハードトップにあり、30km/h以下であれば17秒以下でトップを開けることが可能です。
また、Cピラーのサイドにあるリアウィンドウを下げれば、3,799ccV8DOHCツインターボの強烈な咆哮を楽しむことができます。

マクラーレンMP4-12Cスパイダー

クーペから派生したオープンモデルの場合、フレームやシャシーの補強による重量増加が気になるところですが、マクラーレンMP4-12Cスパイダーはもともとオープンモデルを前提に設計されており、強固なカーボンモノセルの恩恵によって補強なしでもクーペと変わりのない車体剛性が確保されており、重量増加はルーフシステムの重量分だけに留まっています。

ただしトップを外した場合、130km/hを超えると風の巻込みと強烈なノイズがドライバーとパッセンジャーに襲いかかります。
快適なオープンドライブは低速時だけに限られるようで、高速走行時にはルーフを閉じたほうが賢明なようです。

【マクラーレンMP4-12C/スパイダーの特徴5】スペック

マクラーレンMP4-12C
全長全幅全高
4,507
1,9091,199
ホイールベース車両重量乗車定員
2,6701,4342
[単位]全長・全幅・全高・ホイールベース:mm 車両重量:kg 乗車定員:人
エンジン種類V8DOHCツインターボ
排気量3,799cc
最高出力441(600)/7000
最大トルク600(61.2)/6500
トランスミッション7DCT
駆動方式MR
使用燃料ハイオク
[単位]最高出力:kW[PS]/rpm 最大トルク:N・m[kgf・m]/rpm

【マクラーレンMP4-12C/スパイダーの特徴6】燃費性能

マクラーレンMP4-12C

マクラーレンMP4-12Cはダウンサイジング・コンセプトが効果を発揮しているのか、600ps級のスーパースポーツとしては実燃費は良好で、街乗りや高速クルージング時は7〜9km/Lをキープするようです。

ただし、スーパースポーツらしくエンジンを全開にしてパフォーマンスを満喫すればその分燃費は悪化。
そうなると燃費は5km/Lを切ってしまうことでしょう。

【マクラーレンMP4-12C/スパイダーの特徴7】エアロ

マクラーレン12C GT Can-Amエディション

マクラーレン12C GT Can-Amエディション

マクラーレンMP4-12Cには可変式ウイングスポイラーが標準装備されており、公道での使用に限って言えば、あらたに空力付加物を追加する必要性はありません。

しかし、サーキット志向のドライバーや、さらなるアピアランスを求めるオーナーのためには、VorsteinerからカーボンエアロキットやGTウイングなどがリリースされています。

また、マクラーレン社からはサーキット走行用のスパルタンモデルとして、12年11月に12C GT Can-Amエディションが30台限定でリリースされました。
この車輛はコンピュータや冷却系を中心にチューニングを施し、最高出力は30ps増しの630psを発揮。
F1マシンのノウハウを活かした大型カーボンファイバー製リアウイングやフロントリップスポイラー、専用ディフューザーなどのエアロパーツにより、ダウンフォースが30%向上しています。

12C GT Can-Amエディションの英国での価格は37万5000ポンド(約4,850万円)です。

【マクラーレンMP4-12C/スパイダーの特徴8】中古車価格

マクラーレンMP4-12C

マクラーレンMP4-12Cシリーズはすでに生産が終了していますが、新車当時の日本国内でのマクラーレンMP4-12Cの販売価格は2,869万円、マクラーレンMP4-12Cスパイダーは3,000万円でした。

現在の中古車価格はマクラーレンMP4-12Cが1,880〜2,500万円、マクラーレンMP4-12Cスパイダーが2,180〜2,880万円です。
販売台数の少ない高級スポーツカーということで、流通台数はどちらも少なく1桁台しかありません。

中古車市場で流通しているマクラーレンMP4-12C/スパイダーは、街乗り用に日常的に使うような車種ではないので、走行距離は数千〜2万km以下のものがほとんどです。
マクラーレンは新興のスーパーカーブランドということで、老舗のフェラーリに比べれば中古車の下落率は若干大きめ。
生産から10年未満・走行距離1万km以内の600ps級スーパースポーツが新車価格の1,000万円オフで購入できるというのはお買い得感があります。


中古車情報
システムメンテナンス中


マクラーレンMP4-12Cは新世代のスポーツカー

マクラーレンMP4-12C

マクラーレンMP4-12C/スパイダーについてのまとめ記事はいかがでしたでしょうか?

パフォーマンスと経済性(同クラスのスポーツカーと比較しての話ですが・・・)をバランスさせたV8DOHCツインターボを軽量なカーボンモノセルに搭載し、F1からフィードバックされたレーシング・テクノロジーを注ぎ込んだマクラーレンMP4-12C/スパイダーはまさに10年代を代表するスーパースポーツです。

すでに生産は終了し、実質的な後継車であるマクラーレン650Sが登場した現在でもその価値は変わりがありません。
今後も同車は世界中のファンに愛され続けることでしょう。

マクラーレンの情報はこちら

MP4-12Cのライバル車の情報はこちら

この記事の執筆者

山崎 龍この執筆者の詳細プロフィール

1973年1月東京生まれ。自動車専門誌の編集を経てフリーライターに。自動車専門誌を中心に、航空、ミリタリー、映像作品、オタクカルチャー、政治などの 様々なジャンルに寄稿する雑文ライター。 著書に『最強!連合艦隊オールスターズ』『萌えだらけのクルマ選び』(共にイカロス出版)、『「...