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アクティブサスペンションとは?制御方法と原理は?採用したトヨタ車についても

トヨタの高級車種で採用されるアクティブサスペンションシステムであるAVSは乗り心地と走行安定性を高い次元で両立した特別なシステムです。その前身であるTEMSと最新のAVSの違い、その原理や仕組み、そして制御方法までを説明しています。また、アクティブサスペンションを採用するトヨタ車も紹介しています。

アクティブサスペンションとは?

レクサス LS500 F SPORT

レクサス LS500 F SPORT 外装

アクティブサスペンションとは、路面状況や運転状況に合わせて自動的にサスペンションの堅さや特性などを変化させ、車体の姿勢の最適化を図る仕組みです。
現在、トヨタが採用する最新のアクティブサスペンションシステムはAVS(Adaptive Variable Suspension System)と呼ばれ、主に高級車種に搭載されています。
その歴史は意外と古く、AVSの前身であるTEMS(Toyota Electric Modulated Suspension)通称テムスは、1983年に登場した初代ソアラに初めて搭載されました。
高級クーペであるソアラにふさわしい、乗り心地とスポーティさの両立を与えるために開発されたのが、アクティブサスペンションシステムです。

TEMSを搭載したトヨタ初代ソアラ

トヨタ ソアラの詳しい解説についてはこちら

普通のサスペンションと何が違うの?

レクサス LS500 リア サスペンション

一般的なサスペンションはスプリングとショックアブソーバー(ダンパー)で構成されます。
スプリングで路面の凸凹や車体の傾きを制御し、ショックアブソーバーでスプリングの動くスピードをコントロールしています。
出荷状態でセッティングされたサスペンションの特性は変化させることができず、市街地走行から高速道路までを一つのセッティングでこなさなければなりません。
車体に、より大きな力が加わる高速道路のセッティングに合わせれば、サスペンションは堅くせざるを得なくなり、低速の市街地走行ではゴツゴツと乗り心地が悪くなってしまいます。
通常のサスペンションは、一つのセッティングであらゆる状況に対応しなくてはいけない妥協したセッティングにせざるを得ないのです。

アクティブサスペンションはオールラウンダー

それを変えたのがアクティブサスペンションです。
各センサーから入力された情報をコンピュータで制御し、運転状況に応じた最適のサスペンション設定にしてくれます。
低速走行ではサスペンションを柔らかくして、乗り心地を良くし、高速走行時にはサスペンションを堅くして安定性を高めます。
トヨタの最新のアクティブサスペンションシステムのAVSでは、四輪それぞれを、より素速く精密に制御することで、路面の急な凸凹でも振動をいなし、さらに曲がりやすくしたりすることも可能になりました。
その分、車両価格は跳ね上がってしまうのですが、それだけの価値あるものなのです。

▼AVSについて、とても分かりやすく説明している動画です。

サスペンションの詳しい解説についてはこちら

アクティブサスペンションの仕組みと制御方法

レクサスGS350 GS250 透視図

トヨタのアクティブサスペンションの歴史と仕組み、その制御方法を説明していきます。
サスペンションの要となるのが、ショックアブソーバーという装置です。
ショックアブソーバーとは筒の中にオイルが充填されていて、オイルの中を穴の空いたバルブを通過させることで、大きな力がかかっても、ゆっくりと伸縮する構造をしています。
そのスピードを決めるのが"減衰力”と呼ばれる力です。
"減衰力”が強ければ、よりショックアブソーバーはゆっくりと動き、乗り心地は固くなります。
逆に"減衰力”が弱ければショックアブソーバーは速く動きますが乗り心地は柔らかくなります。
アクティブサスペンションはスプリングと、このショックアブソーバーを統合的に制御して乗り心地と操縦安定性をコントロールするものです。

TEMS(テムス)

TEMSとはToyota Electric Modulated Suspensionの略で、和訳するとトヨタ電子式調整懸架装置となります。
初期のものは、減衰力可変ショックアブソーバーの調整ダイヤルをモーターで回してコントロールするものでした。
速度、アクセル量、ブレーキ、ステアリング角度、加速度をセンサーで検知して、状況に応じで最適な設定をコンピュータにて割り出し、モーターを制御します。
その後、金属スプリングの代わりに空気圧を使うエアサスペンション。
また油圧で制御するハイドロニューマチックサスペンションなども採用し、スプリングの特性までコントロールしています。
制御方法も改良が重ねられ、この頃には車体にかかる重力加速度を含めたあらゆる情報を統合し、快適な乗り心地を保ちながら「走る・曲がる・止まる」を高いレベルで統合制御することが可能になりました。
そして、さらなる性能向上を目指し、トヨタのアクティブサスペンションシステムはAVSへと進化しました。

AVS

従来のTEMSでも乗り心地と操縦安定性の両立はできていたのですが、状況によっては制御が間に合わず、不自然な挙動をする場合がありました。
TEMSで培ったアクティブサスペンションコントロール技術をさらに進化させたのがAVSと名付けられたシステムです。
AVSとはAdaptive Variable Suspension Systemの略で順応可変懸架装置と和訳されます。
より自然で優れた操縦安定性を確保しながら、より快適に、より安全に走行するため、制御方法とサスペンション構造まで見直しました。
“非線形Hインフィニティ制御理論"という理論を用い、路面の外乱まで考慮した制御方法へと変更しています。
その制御方法を最大限に活かすために、ショックアブソーバーには、きめ細かな減衰力を発生させるモノチューブ式ショックバブソーバーを採用し、レスポンスを高めるためにダイヤル式の減衰力調整ではなく、オイル量そのものを制御し、無段階の減衰力制御を可能としました。
その結果、路面状況と運転状況を的確にセンシングし、路面のわずかなうねりや、細かな振動まで抑えこむ、滑らかな乗り味を実現しました。

現在販売中のAVS 搭載車種一覧

トヨタ ランドクルーザー

アウトドア おすすめ トヨタ ランドクルーザー

ランドクルーザーには4-Wheel AHC(Active Height Control suspension)という油圧制御で車高を上下する仕組みが加わっています。

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トヨタ ランドクルーザー プラド

トヨタ ランドクルーザープラド ZX“G-FRONTIER” 2016年

ランドクルーザー プラドのリアサスペンションにはエアサス機能が装備され、空気圧で車高の上下が可能です。

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トヨタ クラウン アスリート

トヨタ クラウン 2.0 アスリート S-T 2015年

カーナビゲーションとAVSを人工知能で連携させたNAVI・AI-AVSを搭載します。
先のカーブを予測し、最適なサスペンション設定にあらかじめ設定しておく次世代システムです。

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トヨタ クラウン マジェスタ

トヨタ クラウン マジェスタ Fバージョン 2013年

マジェスタにもクラウンアスリート同様のNAVI・AI-AVSが搭載されます。

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トヨタ マークX

トヨタ マークX 350RDS 2016年

AVSは350RDS、250RDSのみの設定となります。

以上の他に、レクサスで販売される"F”および"F SPORT”バージョン設定がある車種(LS、GS、IS、RC、NX、RX)にもAVSが搭載されます。

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アクティブサスペンション技術はどこまで進化するのか?

トヨタ クラウン 2.0 アスリート S-T 2015年

アクティブサスペンションは元々、バンに重い荷物を積んだ際の傾く姿勢を矯正するための装置だっのですが、今や高級車にのみ搭載される豪華装備となっています。
高級車とはいえ、ここまでの技術を投じるのには、ややオーバースペックの様な気もしますが、その進化は止まることはないでしょう。
人工知能を利用した自動運転化が盛んになった今、アクティブサスペンションはより安定した乗り心地と操縦安定性をドライバーに提供するでしょう。

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