初めて車と出会う人の為の車情報メディア MOBY [モビー]

VTECとは?ホンダの最高峰ターボエンジンのサウンド音やコントローラーについても

ホンダエンジンのパワーと省燃費の要であるVTEC。歴代のVTECとその搭載車、そして新たに開発されたVTECターボエンジンまでの歴史や構造を紹介します。 また、次期シビック TYPE Rにも搭載されるVTECターボエンジンのサウンド音、VTECコントローラーの使い方など、VTECにまつわる様々な情報をお伝えします。

ホンダが世界に誇るVTECとは?

ホンダ 2.2L DOHC VTEC

VTECとはVariable Valve Timing and Lift Electronic Control Systemの略で、日本語訳すると“可変式バルブタイミング・リフト電子制御機構”となります。
レシプロエンジンはカムシャフトという部品を使い、バルブの開け閉め動作をさせることで空気や燃料を取り入れ、爆発圧力を閉じこめて動力に変え、排気ガスを排出するという仕組みで動いています。
VTECとはそのバルブの開け閉めする量とタイミングを2段階、あるいは3段階に切り替えるホンダ独自の機構のことをいいます。

VTECの利点とは

なぜそのようなことをする必要があるかというと、可変バルブ機構を持たない普通のエンジンでは、カムシャフトの特性(カムプロフィール)で、エンジンの最も力が出せる回転数が決まってしまうからです。
カムを3000rpmで最も力が出るように合わせれば、街乗りで快適な実用エンジン。
6000rpm以上に合わせれば、発進すらまともにできませんが、サーキットでは速いレース仕様のエンジンになります。
VTECエンジンは、その2つの相反するカム特性を1つのエンジンで実現するために開発されました。
レーシングカー並の性能をそなえつつ、近所へ買い物にも行ける画期的なエンジン機構がVTECなのです。

進化するVTEC

ホンダ エンジン K20 DOHC i-VTEC

可変バルブタイミング・リフト機構はトヨタのVVTL-i、三菱のMIVECなど、各メーカーが独自の技術で採用していますが、ホンダのVTECだけが特別視されています。
それはなぜでしょうか?

本物のレーシングスペックのカム

他のメーカーの可変バルブタイミング・リフト機構では、リフト量は変化しますが、低回転・高回転共にに1つのカムを共用しています。
そのため、出力は出ているものの、基本特性はあまり変化しません。
その点、ホンダのVTECは実際に、実用エンジンのローカムとレースエンジンのハイカムの両方を装備しているのです。
他メーカーのリフト機構を疑似ハイカムと表現するなら、VTECは正真正銘レース用のハイカムを使っていることになります。
これこそがVTECが切り替わった瞬間の、まるで二重人格のような劇的変化をもたらすのです。

高回転まで綺麗に回るエンジン

高回転まで回るエンジンでなければハイカムのパフォーマンスは引き出せません。
それも、ただ回れば良いという訳ではなく、余計な振動を出さず、綺麗に回る必要があります。
その点はエンジン部品精度が他メーカーよりも厳しいと噂されるホンダの専売特許です。
ホンダがエンジン屋と呼ばれる所以でもあります。

シンプル・イズ・ベスト

VTECはその性能とは裏腹に、構造は非常にシンプルです
カムとバルブをつなぐロッカーアームをピンで固定するだけでバルブリフトの切り替えを実現していますが、他メーカーではVTECにくらべてやや複雑な構造になっています。
エンジンの高回転域では、動作する機構は軽く単純である方が良いのです。
そのほうが、余計なエンジンパワーの内部抵抗も少なくなり、壊れにくいエンジンになります。
高回転しか使わない、本物のレーシングエンジンは可変バルブ機構などというものはついていないという事実が最も分かりやすい例ではないでしょうか。

さらに進化を続けるVTEC

ホンダが初めてVTECを搭載したのは1989年に登場したインテグラ。
1991年には、高出力のためでなく、省燃費走行を目的としたVTEC-Eが登場しました。
さらに1995年には3つのカムを切り替え、高出力と燃費を両立させた3ステージVTECが開発されました。
2000年に登場したi-VTECは、それまでカムの切り替えのみだった機構に無段階連続バルブタイミングコントロール機構を追加し、ほぼすべての回転域で理想的な吸排気効率を得ることを実現しました。
現在では、ホンダの可変式バルブ機構の全てがVTECと呼ばれています。

そして、2013年。小排気量ターボエンジンが主流になりつつある情勢を見越してか、それまでターボを避けてきたかのようなホンダがとうとうVTECターボを開発しました。
VTECでエンジン性能を求めるのではなく、ターボ効率を最大限に活かすためのVTECへと舵を切り替えたホンダ。
ホンダの新たな試みが始まりました。

VTEC搭載車種

ホンダ オデッセイ ハイブリッド アブソルート 2016年型

現在販売中のVTEC搭載車種

かつては高出力車のみに限って搭載されていたVTECですが、年々厳しくなる環境性能をクリアするため、現在は軽自動車を除く全ての車種にVTECが搭載されています。
高出力でありながら、より省燃費でクリーンエンジンラインナップになっています。
現在販売中のVTEC搭載車種と、そのエンジン性能を表にまとめました。

エンジン型式最大出力最大トルク
JNC373[507]/6,500-7,500550[56.1]/2,000-6,000
JNB231[314]/6,500371[37.8]/4,700
LFA107[145]/6,200175[17.8]/4,000
LEB81[110]/6,000134[13.7]/5,000
K24W129[175]/6,200225[23.0]/4,000
K24W(直噴)140[190]/6,400237[24.2]/4,000
K15B97[132]/6,600155[15.8]/4,600
K13B73[100]/6,000119[12.1]/5,000
[単位]最高出力:kW[PS]/rpm 最大トルク:N・m[kgf・m]/rpm
車名搭載エンジン
(ハイブリッド)
搭載エンジン1搭載エンジン2
NSXJNC
レジェンドJNB
アコードLFAL15B
オデッセイLFAK24WK24W(直噴)
シャトルLEBL15B
ジェイドLEBL15B
グレイスLEBL15B
ヴェゼルLFAL15B
フリードLEBL15B
フィットLEBL15BL13B
ステップワゴン-L15B

歴代の主なVTEC搭載車

歴代のVTEC搭載車種は、シビック・インテグラを始めとして、S2000・インサイト・CR-Z・インスパイア・エリシオン・エディックス・CR-V・HR-Vなどのさまざまな車種に搭載されてきました。
中でも、S2000に搭載されたF20Cエンジンは、2.0リッターNAエンジンで250psに達するパワーを叩き出し、市販車では稀に見る9,000rpmまで回る超高回転エンジンです。

ホンダ S2000 typeV 4代目 AP2型 2005年

伝家の宝刀TYPE R

ホンダ NSX タイプR 初代 NA1型

ホンダといえばVTEC。
VTECといえばホンダのTYPE Rです。
ホンダのスポーツモデルの最高峰であり、ホンダの顔でもあるTYPE Rシリーズ。
専用ボディカラーのチャンピオンシップホワイトに赤いホンダエンブレムがトレードマークです。
特別にチューニングされた高回転型VTECエンジンは、甲高く乾いた排気音を発しながら、天井知らずに吹き上がります。
さらに徹底した軽量化を施し、サーキット走行まで視野に入れたシャシーセッティングがなされた特別な車です。
1992年に登場したSNX TYPE Rを皮切りに、インテグラ、シビック、アコード(日本名アコード ユーロR)と車種を拡大していきます。
1995年に発売されたDC2インテグラ TYPE Rの初期型は、コストを度外視した職人による吸気ポートの手磨きで話題になりました。

ホンダのTYPE Rは、日本を代表するスポーツカーとして、世界中のモータースポーツファンに愛され続けています。
2017年夏に販売予定の10代目シビック TYPE Rは、さらなる改良が加えられた2.0リッターVTECターボで武装し、ニュルブルクリンクの前輪駆動車での最速タイムを更新中です。

シビック タイプR

タイプRとは?

VTECコントローラーで切り替えスムーズ

VTECコントローラーなるものが数社から販売されています。
ECUの配線に割り込ませることで、VTECのよるハイカムへの切り替えポイントを任意に変更できるアイテムです。
そのメリットとデメリットをまとめました。

メリット
○ハイカム切り替わり時に急激に変化するエンジン特性をなめらかにすることができます。
○サーキット等でコーナー立ち上がり時に、より有効にVTECを働かせることができます。
○燃調をコントロールできる製品は、最適化することによりパワーアップが狙えます。

デメリット
○燃調を個別に調整できる製品は、設定によりエンジンを壊す恐れがあります。
○メーカーディーラーによる整備が受けられない場合があります。

変化は体感できるようですが、最終的にはノーマルの切り替わり状態に戻したという意見が多数です。
そのことから、工場出荷状態のホンダのVTECセッティングが絶妙であるということの現れでもあります。

販売メーカー商品名
SPOONVTECコントローラー
データシステムR-specVTECコントローラー
シャドウメータージャパンVTECコントローラー
パワーエンタープライズCAMCON H
APEXiV-AFC
pivotV-TEC

※それぞれ車種専用設計となっている製品もあるようなので、ご購入の際はご注意ください。

夢のコラボVTEC+ターボエンジン

ホンダ エンジン VTEC ターボ

排気ガスを利用して圧縮空気をエンジンに送り込み、圧倒的な加速力を生み出すターボチャージャー
そして、高い吸排気効率を実現するVTEC。
この2つを組み合わせれば、より優れたエンジンが完成するのではないかと単純に考えてしまいます。
しかし、ホンダのエンジンは絶対的なパワーよりも、レスポンスこそが最重要であり、低回転域ではレスポンスの悪いターボエンジンを長年避けてきたのではないでしょうか。
また、ターボの搭載によって増加する車重によるハンドリング悪化も懸念されたのだと思います。
それを裏付けるのが、ホンダが売り出す高性能軽量NAスポーツカーであるTYPE Rの存在そのものです。

しかし、ここにきてホンダはターボを採用しました。
それは、ターボを使ってもホンダが理想とするレスポンシブルなエンジンとハンドリングを実現できると確信あってのことでしょう。
工業技術が向上し、少ない排気量でも過給可能な小型ターボチャージャーを採用し、燃料の直噴化と、排気ガスの冷却システムでターボのネガティブな部分を完全に払拭しました。
さらに、自慢のVTECでターボチャージャーの性能を最大限まで引き出したホンダのターボエンジンは傑作と言えるでしょう。
これまで高性能NAエンジンとしてホンダの代名詞であったVTECは、むしろホンダ・ターボエンジンのための布石だったのかもしれません。

迫力が増したVTECターボのサウンド音にも注目

新型シビック TYPE Rのニュルブルクリンクでのタイムアタックの動画です。
全開走行時のVTECターボの音に注目してください。

ターボの装着よって、やや低音が目立つようになったエンジンサウンドですが、ターボエンジンらしい迫力味が加わりました。
今やハイパワー車の仲間入りを果たしたシビック TYPE Rにふさわしい音であると思います。
高回転NAエンジン特有の甲高い音は魅力的でしたが、ホンダのTYPE Rらしい突き抜けるような快音はターボエンジンになっても未だ健在です。
そして、kotiragaホンダの新しい音です。

ホンダの象徴VTEC

ホンダ ジェイド RS

高出力と燃費性能の両立を実現するために開発されたVTEC。
改良を重ねるたびに、より優れたエンジンレスポンスとドライブフィールを現実してきました。
そして、気持ち高ぶるようなVTECサウンドはドライバーに至福のひとときを演出してくれます。

近年、時代は排気量規制、エンジンのダウンサイジングが主流になりつつあります。
高効率かつ低燃費。それに環境性能が何よりの最優先事項となりました。
それによって自動車のエンジンが持つ、感性に訴える要素がどんどん削られているように思えます。
それでも、ホンダが、ホンダらしい車を造り続けてくれるのが何より嬉しい。

VTECとターボエンジンによる、ホンダ新時代の幕開けです。

各社自慢のエンジンの記事

関連キーワード
キーワードから記事を探す


関連する車種/メーカー
車種/メーカーから記事を探す