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さだまさしの「償い」の悲哀に満ちた実話や運転免許試験場で流す理由とは?

皆さんは、さだまさしの「償い」という曲は知っていますか? この曲は実話に基づく哀しいお話が綴られています。今回はそんな「償い」について、歌詞の内容から基となった実話、運転免許試験場でこの曲が流れる理由などを紹介していきます。

さだまさしとはどんな人物?

さだまさし氏は、日本のシンガーソングライターです。
1972年に、フォークデュオの「グレープ」というグループでメジャーデビューしました。

デビュー曲の売り上げは伸びなかったものの、2枚目のシングル曲「精霊流し」のヒットにより全国にその名を知られるようになります。

ソロシンガーになってからも「雨やどり」「関白宣言」「親父の一番長い日」「北の国から〜遥かなる大地より〜」など、数々の著名な曲を手がけました。

実はさだまさし氏は日本で最も多くのソロ・コンサートを行った歌手でもあり、回数は4000回を越えるそうです。

テレビ・ラジオ・コンサートのMCでは軽快なトークを展開したり、小説家としても活動するなど、マルチな才能の持ち主です。

さだまさしの「償い」とはどんな曲?

交通事故

「償い」とは、シンガーソングライターのさだまさし氏が作曲し、1982年にアルバム「夢の轍」に収録された曲です。
この曲は交通事故によって命を失い、あるいは人生を狂わせてしまった人達の悲哀を歌ったもので、なかなか考えさせられる内容となっています。

聞く人によっては暗い気持ちになるかもしれませんし、捉え方は様々でしょう。
ですが、自動車に乗る上での責任の重さというものを忘れないためにも、まだ聞いたことのない方には是非とも聞いて頂きたいと思います。

次の項で詳しい歌詞についてご紹介します。

さだまさしの「償い」の悲哀に満ちた歌詞 ~第一部~

※「」内は歌詞からの引用となっています。

僕の友人であるゆうちゃんは「たった一度だけ哀しい過ち」、即ち人身事故を起こしてしまうのです。
歌詞を見る限りゆうちゃんは、本当の事情を隠してニコニコ笑えるような、気丈で優しい人柄であると想像できます。

事故の原因は、雨による視界の悪さとゆうちゃんの疲労が重なったもので、まさしく不幸と呼べるものです。
それでも愛する夫を失った被害者の奥さんは「人殺し、あんたを許さない」とゆうちゃんを罵ります。

事故の後、彼は奥さんに対する償いのために人が変わったように働いて働いて、毎月仕送りを続けます。
たった一度の事故で被害者の命は失われ、ゆうちゃんと奥さん2人の人生は狂ってしまったということですね。

さだまさしの「償い」の悲哀に満ちた歌詞 ~第二章~

手紙

「ありがとう あなたの優しい気持ちは とてもよくわかりました
だから どうぞ送金はやめて下さい あなたの文字を見る度に
主人を思い出して辛いのです」

「あなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」

事故から7年の月日が経ち、奥さんから初めて届いた便りには、様々な苦悩や葛藤の末に導き出されたであろう、ゆうちゃんへの許しが綴られていました。

奥さんの夫の死への悲しみは、未だ癒えていないことが伺えますが、それでもゆうちゃんの誠意に応えなければならないという思いもあったのでしょう。

さだまさしの「償い」の悲哀に満ちた歌詞 ~第三章~

女性 悲しみ

最後は、さだまさし氏のメッセージ性のある歌詞が綴られています。

「人間って哀しいね だってみんなやさしい」

その通りで、この物語に悪い人は登場しません。
事故を引き起こし、人生を狂わせた心優しい若者と、事故で大切な人を亡くした夫人、この二人が不運な事故で巡り合わせています。

法的な観点でのゆうちゃんの責任はさておき、様々な状況が重なって起こった偶発的な事故が中心の物語が「償い」なのです。

「僕」は、理不尽な現実の中でゆうちゃんの誠意が報われたことや、奥さんの哀しみに満ち溢れた慈悲に涙を流すのでした。

この歌は、実際にさだまさし氏の肉声で聞かないとわからないことも多いと思います。
是非とも、実際に聞いてみてください。

「償い」の内容は実話だった

事故死 亡き人

©Shutterstock.com/ marcogarrincha

こんなに哀しい話は現実にあっていいものかと考えてしまいますが、「償い」の内容は実際にさだまさし氏の知人に起こった実話なのです。

ちょうどこの歌が世に出た1982年のことで、彼の知人女性の夫が定年を迎え、夫婦静かに暮らしていこうとしていた最中、夫は交通事故で命を落としてしまいます。
加害者の男性を女性は酷く罵り、加害者は床に額を押し付けながらそれを聞いていたそうです。

「償い」の内容とほとんど一致しますよね。
さだまさし氏は、この実話を受けてすぐに作曲・作詞に取り組んだとのことで、この時点では歌のように7年間の償いの末のエピソードは存在しません。

さだまさし氏は先述の実話に7年の月日をかけて、そこに人間の優しさを付け加えることで、エピソードの登場人物の悲哀を希望的に描写しています。

決して哀しいだけの歌で終わらせないところに、詩として昇華させるだけの芸術性を感じさせます。

「償い」を引用して異例の説論をした裁判官の話

裁判官 ハンマー

2001年のことです。東京都の某駅のホームにおいて、4人の少年が40代銀行員の男性に対し4人がかりで暴行を加え、くも膜下出血で死亡させるという事件がありました。
東京地裁での判決公判では、主犯格少年2人に対して、懲役3~5年の実刑が下されました。

裁判中、お詫びの言葉を述べながらも過剰防衛を訴えるなど、被告の少年たちが真に反省しているのか疑問を感じた裁判長は、さだまさし氏の「償い」という具体的な歌の題名を挙げています。

「君たちはさだまさしの"償い”という歌は知っているか。歌を知らなくても、歌詞だけは読みなさい」と、裁判長は少年たちに話したそうです。
実刑後に法的な措置を超えたところで裁判長が発言し、歌を引用して説論をするというのは非常に異例のことでした。

この発言を受けたさだまさし氏は、新聞社の取材に対して、「法律で心を裁くには限界がある。今回、実刑判決で決着がついたのではなく、心の部分の反省を促したのではないでしょうか」とした上で、「この歌の若者は命がけで謝罪したんです。人の命を奪ったことに対する誠実な謝罪こそ大切。裁判長はそのことを2人に訴えたかったのでは」とコメントしました。

「償い」を運転免許試験場で流す理由

悲しみ 悲嘆

©Shutterstock.com/ KieferPix

ここまで紹介した「償い」の内容を考えると、理由を分かった方もいるかもしれませんね。

警視庁は東京都で開催される運転免許のドライバー講習や違反者講習において、さだまさし氏の「償い」の映像を流す取り組みを行っています。

とある講習受講者のツイートで、東京都の鮫洲運転免許試験場の講習で「償い」が流れたという旨の内容が広まり、徐々にこういった取り組みが認知されるようになってきているようです。

交通事故の注意喚起というのは、「後悔先に立たず」では済まされません。
「償い」の内容には、事故が作り出した大きな不幸、痛みと激しい後悔が描かれています。

交通事故が引き起こす現実の重さ、自動車運転に伴う責任の重さを十分に理解してもらうため、こうした取り組みが行われているのでしょう。

さだまさしの「償い」の内容は他人事ではない!

ドライブ ハンドル 運転 夕焼け

©Shutterstock.com/ Pushish Images

今回は、さだまさし氏の「償い」という曲について、実話に基づく哀しいエピソードや、事故の抑止や反省を促すためにいろいろな場面で取り上げられていることについて紹介してきました。

「償い」は、ただの哀しい歌ではなく、誰にでも起こり得る現実です。
時折この歌のことを思い出して、自分の運転について我がふりを見直してみるべきかもしれません。

事故が起こってからの哀しい想いではなく、事故を起こさないための優しさが巡り合う世の中であって欲しいものです。

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この記事の執筆者

小真太郎この執筆者の詳細プロフィール

マツダ車がお気に入りです。車全般に興味を持って、日々過ごしています。 どうぞ宜しくお願いします。...

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