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【シトロエン2CV】エンジン性能と燃費や維持費から新車の購入方法まで徹底紹介

1948年にデビューしたシトロエン2CVは、元航空技術者のアンドレ・ルフェーブルの手によって合理的な設計の軽量簡素な小型大衆車として誕生しました。その革新的なコンセプト、合理的な設計、優れた実用性と経済性は時代を超越しており、90年まで生産が継続された長寿車となりました。今回はそんなシトロエン2CVの魅力に迫ります。

シトロエン2CVとは

シトロエン2CV

出典:https://commons.wikimedia.org/

1948〜90年にかけて生産されたシトロエン2CVは、軽量簡素な構造を持ち、FFレイアウトを採用による優れた走行性能と居住性、経済性を同時に成立させた小型大衆車のエポックメイキング的存在です。

シトロエン2CV6(1970年型)のスペック

全長:3,830mm
車幅:1,480mm
車高:1,600mm
ホイールベース:2,400mm
車重:560kg
排気量:602cc
エンジン:水平対向2気筒OHV
最高出力:29ps/6,750rpm
最大トルク:4.0kg-m/3,500rpm
燃料噴射装置:キャブレター
トランスミッション:4MT
サスペンション(前):リーディングアーム/コイル
サスペンション(後):トレーリングアーム/コイル


スペシャル ディ…
116.0万円
本日の在庫
20
平均価格
119.4 万円
本体価格
29 ~ 180 万円

シトロエン2CVのコンポーネンツを流用したオフロード車・メアリの情報はこちら

シトロエン2CVの要点①【シトロエン2CVの歴史】

↓シトロエン副社長だったピエール・ブーランジェ

シトロエン2CVの開発のきっかけは、35年夏に当時同社の副社長だったピエール・ブーランジェが、バカンスで訪れた南フランスのクレルモン=フェランの郊外で、農民たちが荷物の運搬に馬車や手押し車を使っているのを見て、農民の移動手段となる廉価な小型大衆車の必要性を痛感したこととされています。

マーケティングの結果、市場が有望であると確信したブーランジェは、のちにシトロエン2CVとなる社内コード「TPV」(Toute Petite Voiture=超小型車)の商品化を決断。
元航空技術者のアンドレ・ルフェーブル率いるシトロエン技術陣に開発を命じました。

ブーランジェの要求した7つの開発要件

↓近年発見されたシトロエン2CVの試作車「TPV」。古い納屋などから隠匿したTPVが時折見つかることがあるそうです

シトロエン2CV 試作車

ブーランジェの示したTPVのコンセプトは「こうもり傘に4つの車輪をつける」という簡素さを旨としたもの。
販売価格は同社のアッパーミドルカーであるトラクシオン・アバンの1/3以下という低価格に定められました。
さらにブーランジェは技術陣を絶句させる以下の7つの開発要件を突きつけました。

①50kgのジャガイモまたは樽を載せて走れること
②60km/hで走行できること
③ガソリン3Lで100km以上走れること
④荒れた農道を走破可能で、かつ籠いっぱいの生卵を乗せた場合でも、ひとつも割れてはならない(快適な乗り心地の追求)
⑤車両重量300kg以下
⑥自動車に不慣れな女性でも簡単に運転できること
⑦スタイルは重要ではない

さらにブーランジェは試作段階で十二分な車内スペースの確保も要求します。
身長2m近い彼自身がシルクハットを被ってルーフに帽子が引っかからないことを厳命しました。

これらの条件は当時の技術レベルを考えれば、過大としか言いようがなかったものの、アンドレ・ルフェーブルら開発関係者の不眠不休の努力もあって無理難題の多くが解決されました。

第2次世界大戦による開発中断

↓独仏戦終結後に占領したパリ市内を行軍するドイツ軍

ナチス・ドイツ軍 フランス侵攻

出典:https://en.wikipedia.org/

シトロエン2CVの開発はその後順調に進み、39年までに250台の試作車が製造されました。
しかし、同年9月にナチス・ドイツ軍がポーランドに侵攻し、フランスとイギリスはドイツに対して宣戦布告します。
それを皮切り欧州全土は戦火に巻き込まれます。
第2次世界大戦の勃発でした。

翌40年5月、ドイツ機甲部隊の電撃戦によりフランスが敗北を喫すると、シトロエン社はナチスの手に渡ることを恐れて試作車のほとんどを破壊します。
その後のビシー・フランス政権下(ナチスの傀儡政権)でのシトロエン社は、ドイツ軍向けの車輛の生産(故意に不良品を生産するなどのサボタージュにより活動は停滞気味でしたが・・・)の傍らで、2CVの研究開発を極秘裏に進めました。

そして、44年に連合軍によってフランスが開放され、翌45年に第2次世界大戦が終結すると、中断していたTPVの開発作業を本格的に再開したのでした。

シトロエン2CVの要点②【新車時の評価】

シトロエン2CV

出典:https://pt.wikipedia.org/

TPVはシトロエン2CVとして、48年の秋のパリ・サロン(パリ・モーターショー)で発表されました。

一般に公開されたシトロエン2CVは、その斬新なコンセプトと、あまりにも奇抜すぎる外観から来場者を呆然とさせたと言います。

新車発表直後のシトロエン2CVの評判はさんざんで、大衆からは「醜いアヒルの子」「乳母車」と嘲笑され、パリ・サロンで除幕の瞬間に立ち会った米国人ジャーナリストは「この“ブリキの缶詰”に缶切りをつけろ」と揶揄したそうです。

また、小説「墓に唾をかけろ」でも有名な前衛詩人・作家・ジャズ評論家のボリス・ヴィアンは、シトロエン2CVを「回る異常」と表現し、彼らしいスノッブな評価を下しています。

しかし、シトロエン2CVは奇抜さを狙ったクルマではなく、合理的な設計思想に基づき、低廉なクルマながら経済性と信頼性に富み、誰にでも扱いやすく、高い実用性と汎用性を備えていることが理解され始めると、販売台数は右肩上がりに伸びて行き、ついには「フランスの国民車」と呼ばれるまでになりました。

しかし、ピエール・ブーランジェはシトロエン2CVの大成功を見届けることなく、50年に交通事故で亡くなりました。

シトロエン2CVを愛車とする宮崎駿監督に関する記事はこちら

シトロエン2CVの要点③【メカニズム】

ボディ

シトロエン2CVボディ

シトロエン2CVは廉価な小型車として開発されたこともあり、メカニズムは極めて簡素に作られています。

シトロエン2CVのボディサイズは、全長3,830×全幅1,480×全高1,600mmと、当時の小型車としては比較的大柄なボディを持っています。
しかし、徹底的な軽量設計が施されたことでボディサイズの割に車重は軽く、初期型で495kg、後期型でも602kgと、現代車のような安全装備が備わっていないことを考慮しても軽く作られています。

また、ホイールベースは2400mmと全長の割に長く、トレッドは前後とも1,260mmと、30年代に設計された小型車の中では広く採られています。

ゆとりのあるボディサイズは、アップライトな運転姿勢と相まって、今日の目で見てもゆとりのある車内スペースの確保に貢献しています。

シャシー関係

シトロエン2CV シャシー

シトロエン2CVのサスペンションは、フロントがリーディングアーム、リアがトレーリングアームを採用。
前後関連懸架として前後を繋ぐ伸縮式コイルスプリングを採用し、柔らかいコイルスプリングを使用したシトロエン社考案の「軽車両用サスペンション」を採用しています。

タイヤはミシュラン製のX-125R15を採用。
径が大きく細身のタイヤを使用することで、転がり抵抗を押さえ、パワーロスを減らしつつ、必要なグリップ力を確保しています。

ブレーキは前後ともドラム式で、フロントはバネ下重量軽減のためインボードブレーキが装着されています。
なお、2CV後期型のフロントブレーキはインボード形式のままディスク化されました。

シトロエン2CVの要点④【エンジン】


シトロエン2CVに搭載されたパワーユニットは、部品点数が少なく、信頼性に富んだ空冷水平対向2気筒OHVガソリンエンジンで、初期型では375ccの排気量でしたが、55年に425cc、68年からはシトロエン・アミに搭載されていた602ccに拡大。

それに合わせて最高出力は、初期型の9HPから後期型では32HP(燃費改善のため最終型では29HPに引き下げられています)まで3倍以上にパワーアップしました。
その結果、初期型の最高速度は55km/hに留まりましたが、68年からは110km/hに強化されています。

シトロエン2CVの要点⑤【維持費】

シトロエン2CV

出典:https://fr.wikipedia.org/

もともと農民車として開発されたシトロエン2CVの保守管理は容易で、維持費もほとんど掛かりません。
古いクルマなのでパーツの入手性を心配される方がいらっしゃるかもしれませんが、初期型はともかく、後期型や最終型ならば現在でもほとんどのパーツが入手可能です。
しかもパーツ代も極めて低廉です。

だいぶ前のことですが、筆者の知人が2CVのマフラーを腐らせて走行中に落としてしまいましたが、フランスから新品のマフラーを取り寄せたところ、部品代はたったの2万円だったそうです(送料別)。

たいていの部品は国内の専門店がストックしていますので部品の入手も難しくありません。

ミシュラン製タイヤはやや入手難

入手の難易度がやや高いのはタイヤで、シトロエン2CVは特殊なサイズなために選択肢が極端に少なく、純正のミシュラン製の専用タイヤ(ミシュランX 125SR15、もしくはミジュランZX 135SR15)は、注文がある程度たまった時点でまとめて生産するので、2CVのオーナーは専用タイヤが再生産された時点で購入し、ストックしている人が多いようです。
ミシュランX 125SR15の小売価格は1本1万8,000〜2万円とやや高価です。

ミシュランにこだわらない方には、台湾のナンカンが2CV用のタイヤ(ナンカンCX668 135SR15)を販売していますので、こちらをおすすめします。
ナンカンCX668 は1本4,000〜5,000円と安価です。
性能的にはミシュランとほとんど遜色がありません。

普通車の中では税金も安い

シトロエン2CVは、排気量が小さく、車重も小さいため、税金関係も登録車の中では最低レベルにあります。

2CVの維持費は、国産コンパクトカーや軽自動車とほとんど差がないので、旧車の入門用として、あるいはオシャレな実用車としておすすめできます。

シトロエン2CVの税金はいくら? 税金関係の情報はこちら

シトロエン2CVの要点⑥【燃費】

シトロエン2CV

シトロエン2CVには燃費を悪化させるATやエアコンなどの贅沢なアクセサリー類を最初から装備していませんので実燃費は13〜20km/Lほど。
乗り方によって燃費は変わりますが、10km/Lを割ることはまずないようです。

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燃費向上の裏技に関してはこちらの記事

シトロエン2CVの要点⑦【中古車】


中古車情報サイトを確認すると、シトロエン2CVは最終モデルを中心に20〜30台ほどが中古車市場に流通していました。
2CVの中古車価格は50〜200万円で、中心価格帯は100〜150万円になります。

シトロエン2CVの中古車を購入する際に気をつけたいのは、ボディの錆と雨漏りです。
ボディの錆は購入前にフロアやサイドシル、トランクを念入りに確認して下さい。
キャンバストップの雨漏りは、あまり神経質になり過ぎる必要はありません。
古いクルマですし、ベンチレーションやキャンバストップの隙間から多少水滴が入るのはやむを得ません。
ただ、盛大に車内に水漏れを起こしているクルマは、錆を誘発するために注意が必要です。
ゴム部品やキャンバストップなどを交換するなどの早急な対策を行うべきです。

購入後は屋内保管するか、少し上等なボディカバーをかけてやると良いでしょう。
ただし、ボディカバーは中が蒸れやすいため、雨上がりの翌日は外して湿気がこもらないようにして下さい(湿気は錆の原因となります)。


スペシャル ディ…
116.0万円
本日の在庫
20
平均価格
119.4 万円
本体価格
29 ~ 180 万円

シトロエン2CVに乗りたい!

シトロエン2CV

出典:https://commons.wikimedia.org/

シトロエン2CVについてのまとめ記事はいかがでしたでしょうか?

40年以上に渡って愛され続けたシトロエン2CVですが、61年には上級モデルのアミ、67年には後継車種のディアーヌが登場ました。
これらの車種は2CVのメカニズムを発展・改良し、運転性能や居住性の向上を図ったモデルです。
しかし、これらの車種は2CVの人気を凌ぐには至らず、
アミもディアーヌも2CVの生産終了を待たずしてフェードアウトして行ったのです。

シトロエン・アミ

シトロエン・アミ

出典:https://fr.wikipedia.org/

シトロエン・ディアーヌ

シトロエン・ディアーヌ

出典:https://cs.wikipedia.org/

じつはシトロエン2CVはメーカーでの生産が終わった現在でも、フランス国内でリプロダクション生産されています。
新車の2CVは、剛性が失われておらず錆のないシャシーを使い、ビス1本から当時の新品部品を使って職人がハンドメイドで組み上げて行きます。

日本国内では欧州車専門店「ルパルナス」が取り扱っており、価格は諸費用込みの乗り出し価格で340万円です。
ボディカラーも当時のカタログから自由に選べるとのこと。

内容を考えれば非常にお買い得です。シトロエン2CVの購入を本気で考えていらっしゃる方におすすめします。

シトロエン2CV以外の世界4大小型車の情報はこちら

シトロエンの新型車情報はこちらの記事

この記事の執筆者

山崎 龍この執筆者の詳細プロフィール

1973年1月東京生まれ。自動車専門誌の編集を経てフリーライターに。自動車専門誌を中心に、航空、ミリタリー、映像作品、オタクカルチャー、政治などの 様々なジャンルに寄稿する雑文ライター。 著書に『最強!連合艦隊オールスターズ』『萌えだらけのクルマ選び』(共にイカロス出版)、『「...