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【サイドカーまとめ】運転に必要な免許や注意点から中古車情報まで|犬は法律的に大丈夫?

欧州で生まれたサイドカーは、バイクの登場とともに広く普及して行きましたが、第2次世界大戦後は自動車の普及によって衰退しました。しかし、今日でも趣味性の強い乗り物としてエンスージアストに愛好されています。ここでは必要な免許、中古車情報、犬を載せる場合の法律上の問題を含めてサイドカーを解説します。

サイドカーとは?

ウラルサイドカー

出典 :Copyright©️ 2017 山崎龍 All Rights Reserved.

サイドカーとは、オートバイや自転車の車体側面に人や荷物を載せるための一輪の運搬車(側車)を取付けた三輪車、もしくは横に取つける運搬車そのものを言います。
日本語では側車付自動二輪/側車付自転車とも言い、側車のつかないオートバイのことを現在でも「単車」と呼ぶのは、サイドカーが一般に普及して時代の名残です。

ここではオートバイに側車をつけたサイドカーについて解説して行くことにします。

サイドカーにも存在するキルスイッチの情報はこちら

サイドカーの歴史

サイドカー

出典:https://ja.wikipedia.org/

サイドカーは馬車のようにより多くの荷物を自転車に積みたいという発想から19世紀初頭のヨーロッパで生まれました。

19世紀末に自転車に内燃機関を搭載したオートバイが誕生すると、自然発生的に側車つきのオートバイも誕生し、普及して行きました。
20世紀初頭は庶民にとって四輪自動車はまだまだ高嶺の花であり、自動車よりも安価で維持費が安いオートバイに側車がついたサイドカーは、庶民のアシ、あるいは荷物の運搬用として急速に普及して行きました。
その当時は家族や友人とサイドカーでツーリングやピクニックに行ったり、商店がサイドカーで荷物を運搬したりする光景が当たり前に見ることができたと言います。

サイドカービルダーの隆盛

↓「スワロー・サイドカー・カンパニー」の側車を取りつけたノートン・モデル18

スワローサイドカー

出典:https://en.wikipedia.org/

サイドカーが普及するにともって側車を製作するコーチビルダーも隆盛を極め、馬車風の豪華な側車、トラックの荷台やコンテナを備えた側車を製作されました。
なお、これらのコーチビルダーの中には、のちに高級車メーカー「ジャガー」に転身する「スワロー・サイドカー・カンパニー」もありました。

サイドカーの軍事利用

↓悪路を走るナチス・ドイツ軍のBMW R75サイドカー。

BMW R75

出典:https://nl.wikipedia.org/

1914年に第1次世界大戦が勃発すると、連合国(協商国)と中央同盟国の両陣営は、四輪車の不足を補うために多数のサイドカーを戦線に投入。
これらのサイドカーは機動性を活かし、輸送、斥候(偵察)、伝令、連絡、警戒任務に活躍しました。

第2次世界大戦時には、ベルサイユ条約によって軍用車両の保有制限を受けていたナチス・ドイツがサイドカーを多用しています。

サイドカーの衰退

↓創業以来、販売が続けられてきたハーレー・ダヴィッドソンの純正サイドカーは2011年に販売を終了しました。

ハーレー・ダヴィッドソン・サイドカー

出典:https://de.wikipedia.org/

しかし、第2次世界大戦後は大量生産によって四輪自動車が安価となり、庶民でも手が届く大衆車が普及したことから民間市場においてはサイドカーの需要が次第に減少して行きます。
また、軍用サイドカーもジープに代表される小型軍用車両にその役割を取って代わられて行きました。
現在では式典用や儀礼用を除き、多くの軍隊ではサイドカーが装備から外されています。

先進国においては実用の道具としてのサイドカーの役割は終了し、その需要は大幅に縮小しています。
かつてはBMWやハーレー、カワサキなどメーカー純正のサイドカーが販売されていましたが、現在ではウラルなど少数のメーカーを除いて、純正サイドカーの新車販売は行われていません。
しかし、サイドカーには独特の操縦性や希少性があり、趣味性の強い乗り物として、多くのエンスージアストに愛され続けています。

軍用車として生まれたジープの情報はこちら

サイドカーの構造

サイドカーの分類

出典:https://ja.wikipedia.org/

サイドカーはオートバイの左右どちらかの側面に専用のフレームを装着して側車を取つけます。

乗用に用いる側車のことは「カー」もしくは「フネ」と呼び(対してオートバイは「本車」と呼びます)、オートバイの右側に側車がついたものを「右カー」、左側に側車をつけたものを「左カー」と呼びます。
日本や英国のような左側通行の国はオートバイの左側に、米国やドイツのような右側通行の国はオートバイの右側に側車を取りつけが一般的です。

わが国では構造的にオートバイと側車の切り離しの有無により、サイドカーの法的な取り扱われ方が大きく異なります。

側車部分を外しても走行できる構造を持つ、一般的なサイドカーは、道路運送車両法施行規則において「側車付二輪自動車」として扱われます。
いっぽう、側車部分を外して走行できない構造を持つ、「ウラル2WD」や「ドニエプル」などのサイドカーは。道路運送車両法施行規則において「三輪自動車」の扱いとなります。
すなわち、前者はオートバイに区分され、後者は三輪自動車(=四輪自動車にほぼ準じます)となるわけです。

サイドカーにも搭載される単気筒エンジンの情報はこちら

サイドカーの免許

↓ロシア製「ウラル・ギアアップ」は側車側の車輪も駆動する2WDを採用。本車との切り離しができないため三輪自動車に区分され、運転には普通自動車が必要となります。

ウラルサイドカー

サイドカーの構造によって運転に必要な免許は異なります。

排気量50ccを超える側車部分を外しても走行できる構造のサイドカーは、法律上はオートバイとして区分されるため、「排気量に準じた自動二輪運転免許」が必要になります。
つまり、400cc以下のサイドカーを運転する場合は普通自動二輪免許が、401cc以上のサイドカーを運転する場合は大型自動二輪免許が必要となります。

排気量50ccを超える側車部分を外して走行できない構造のサイドカーは、法律上は三輪自動車に区分されるため「普通自動車免許」以上が必要になります。
この場合、普通自動車免許は車両総重量や積載量の制限を受けますが、排気量の制限はないため、市販されているすべての側車部分を外して走行できない構造のサイドカーが運転できます。

道路運送車両法施行規則で第一種原動機付自転車区分される50cc以下のサイドカーは、原付免許で運転することができますが、側車をつけても乗車定員は1名のままで、法定速度も30km/hのままになります。

なお、排気量50ccを超える側車部分を外して走行できない構造のサイドカーのみ、ヘルメットの着用義務はありません(安全のため装着が望ましいですが・・・)。

バイクの免許は合宿で。合宿免許の情報はこちら

サイドカーの税金と車検、任意保険

↓ベスパ・サイドカー。50cc以下の原付をベースのサイドカーの乗車定員はひとり。側車に人を乗せることはできません。


排気量50ccを超える側車部分を外しても走行できる構造のサイドカーは、税金や車検は当該する排気量のオートバイに準じたものになります(250cc以下のサイドカーは車検がありません)。

排気量50ccを超える側車部分を外して走行できない構造のサイドカーは、税金や車検は三輪自動車と同じ扱いになります。

任意保険については「側車付オートバイ」での契約が必要となります。

なお、運転者の年齢が20歳以上で免許取得後3年以上が経過していることが、オートバイで高速道路をふたり乗りできる条件となっていますが、サイドカーの場合は年齢や免許取得年数に関係なく、乗車定員の範囲内で高速道路を走ることができます。

維持費の安い原付の情報はこちら

サイドカー運転の注意点


サイドカーは左右非対称な乗り物ですので、右旋回と左旋回で旋回特性の差が大きいだけでなく、直進でも加速や減速で大きなヨーモーメントが発生します。

わかりやすく言うと、加速時は重心による影響を受けて側車側に、減速時はヨーモーメントが発生するために車体側にハンドルが取られます。
そのため、サイドカーの基本的なハンドルポジションは、脇を閉めて肘を絞り、手のひらでグリップを前方へ押し出すようにしてハンドルを操作します。

また、サイドカーはコーナーリングで遠心力を受けて内側の車輪が浮く場合があります。
側車側に旋回する場合は側車が浮き上がりやすく、回復不能な状態になると転覆事故を引き起こしやすくなります。
本車側に旋回する場合は安定性が比較的確保されますが、本車の後輪が浮き上がると操縦不能になり、最悪の場合は前転事故につながります。
コーナー手前での減速の怠たりや、ラフなハンドル操作は事故のもとです。
サイドカー運転に慣れるまでは、側車側に砂袋などを積んでおくと良いようです。

また、サイドカーは車両重量が重くなるため、オートバイよりも制動距離が長くなります。
車間距離を十分に取り、安全な速度で走行する必要があります。

サイドカーの中古車

ウラル・パトロール

オートバイ専門の中古車情報サイトを確認したところ、サイドカーは中古車市場でも稀少車らしく、80台ほどの売り物がありました。

サイドカーの中古車価格はピンキリで、下は10万円台から上は800万円を超えるものまであります。
サイドカーの価格はベースとなるオートバイの価格とリンクしています。
新車価格の安い or 低年式のオートバイベースのサイドカーは中古車価格が安く。新車価格が安く or 高年式のオートバイのサイドカーは中古車価格が高くなります。

人気があるのは普通自動車免許で運転できるロシア製のウラルサイドカー(普通自動車免許で運転できる2WDの中古車が多いようですが、ラインナップの中には大型自動二輪免許が必要な1WDモデルもあるので注意が必要です)、ハーレーサイドカー、ホンダGLサイドカーなどの大型バイクベースのものです。

中古車価格は、ウラルサイドカーが100〜360万円(中心価格帯は100万円台半ば) 、ハーレーサイドカーが100〜450万円(中心価格帯は200万円前後)、ホンダGLサイドカーが60〜800万円(中心価格帯は100〜200万円ほど)となります。

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サイドカーには犬は乗せられるか?


2007年に映画化もされた長嶋有の小説「サイドカーに犬」。
ネット上にはこの小説のタイトルのようにサイドカーの側車に犬を載せている写真が数多くアップされています。
そこで気になるのは「サイドカーに犬を乗せても法律的に大丈夫なのか?」ということ。

結論から言えば問題はありません。
道路交通法では動物は荷物と同じ扱いになります。
法律上はペットの乗車規制はなく、安全が確保されていれば犬をサイドカーに乗せてもOKです。
ただし、走行中に犬が暴れたり、飛び出したりする危険性があるため、リードを短くして側車に繋ぐなどの対策は必要になるかと思われます。

サイドカーに乗ろう!


サイドカーについてのまとめ記事はいかがでしたでしょうか?

街中でサイドカーを見かける機会はほとんどありませんが、サイドカーはとにかく目立ちますし、走っている姿は迫力があってカッコいいです。

サイドカーというと「運転が難しそう」「維持が大変そう」「価格が高そう」とのイメージをお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。
ですが、茨城県の「サクマエンジニアリング」、東京都の「ブリストルドッグス」、京都の「サッシュ」をはじめ、全国にはサイドカーを得意とするスペシャルショップが多数存在します。

これらの専門店はサイドカーの販売だけでなく、オートバイへの側車の取り付け、車検・一般整備、運転方法のアドバイスなど、ユーザーのサイドカーライフをサポートしてくれます。

サイドカーに興味がある方は、購入を考える前に1度こうしたスペシャルショップを訪れることをおすすめします。

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この記事の執筆者

山崎 龍この執筆者の詳細プロフィール

1973年1月東京生まれ。自動車専門誌の編集を経てフリーライターに。自動車専門誌を中心に、航空、ミリタリー、映像作品、オタクカルチャー、政治などの 様々なジャンルに寄稿する雑文ライター。 著書に『最強!連合艦隊オールスターズ』『萌えだらけのクルマ選び』(共にイカロス出版)、『「...

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