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【ランチアイプシロンの要点5選】初代や二代目などの実燃費&乗り心地からディーゼルの評価も

ランチア・イプシロンはイタリア本国では乗り心地の優れた「小さな高級車」として人気を博しています。1994年の登場以来、現在までに3世代がリリースされ、2代目からはディーゼルエンジン搭載車も追加。日本でも3代目がクライスラー・イプシロンとして発売されました。今回はそんなランチア・イプシロンを徹底解説します。

孤高のイタリアンブランド・ランチアとは

ランチア・エンブレム

出典:https://en.wikipedia.org/

ランチアというと日本ではストラトスやデルタ・インテグラーレなどのWRC(世界ラリー選手権)用のコンペティションマシンばかりが有名ですが、じつはランチアの本分はこうした泥臭いマシンにはありません。

ヴィンチェンツォ・ランチアによって1906年に創業したランチア社は、巨大コングロマリットであるフィアット社が自動車市場を占有するイタリアにあって、他社をリードする技術力と高い品質に裏付けられた高級車に定評があるメーカーでした。
それは1969年にフィアットグループ(現・FCA)の傘下に収まったあとも変わりがありません。

なお、ランチア社は進取の気風に富んだメーカーであり、モノコックボディ、独立式サスペンション、V型エンジン、5速トランスミッション、風洞実験に基づくボディデザインなどを世界で始めて量産車に採用したメーカーとしても知られています。

ランチアに関する情報はこちらの記事

小さな高級車ランチア・イプシロン

初代ランチア・イプシロン

出典:https://en.wikipedia.org/

そんなランチア社が販売するプレミアム・コンパクトカーがイプシロンです。
1994年の初代モデルのデビュー以来、現在までに3世代のイプシロンが登場しています。

プラットフォームはフィアットの小型車と共用しながらも個性的なスタイリング、豊富なボディカラー、高級感溢れる内装が特徴となっています。

使い古された表現になりますが、ランチア・イプシロンほど「小さな高級車」というフレーズが似合うクルマはありません。


0.9 Twin…
244.8万円
本日の在庫
26
平均価格
73.3 万円
本体価格
28 ~ 244 万円

ランチア・イプシロン前史

↓イタリア大統領ジョヴァンニ・グロンキの要請を受けて1960年に生産されたランチア・フラミニア・プレジデンシアーレ335

ランチア・フラミニア・プレジデンシアーレ335

出典:https://en.wikipedia.org/

先ほども述べた通り、ランチアはフィアットグループ内においては高級車ブランドという位置づけです。

一般論として高級車とは、サイズが大きく、外装は豪華に飾り立ててあり、内装は手の込んだ素材や作りで仕立てられたクルマのことを指します。
こうしたクルマは当然車重が嵩みます。
いくら贅沢な作りのクルマでも、重くて走らないクルマでは商品性に問題がありますから、パワーユニットは大排気量の多気筒エンジンを搭載するのが高級車作りのセオリーになっています。

しかし、車重が重く、パワフルなクルマは、普通のクルマに比べてヤレタレが出やすくなるため、それに合わせてボディやサスペンションは頑丈に作られています。
すなわち、高級車とは徹底的にオーバークオリティで作られているわけです。

高級車製造に特化したランチア社は、イプシロン以前にはコンパクトカーの経験はほとんどなく、小型車製造のノウハウも持ち合わせていませんでした。

では、ランチア・イプシロンはどのような経緯で生まれたのでしょうか?

ランチアに受け継がれたアウトビアンキの血統

↓アウトビアンキ A112

アウトビアンキA112

↓アウトビアンキ Y10

アウトビアンキY10

出典:https://en.wikipedia.org/

ここで登場するのが同じフィアットグループの一員だったアウトビアンキ社です。

ロードレーサーなどの競技用自転車で有名なビアンキ社は、かつてはアウトビアンキのブランドでオートバイや自動車を製造していました。
しかし、第2次世界大戦後、工場の被災等もあって採算が悪化。
ビアンキ社本体は自転車産業に特化して、自動車部門はフィアット社とタイヤメーカーのピレリ社の出資を受けてアウトビアンキ社として独立することとなりました。

アウトビアンキ社は、親会社のフィアットが本格導入する前に新技術を試験的に採用するパイロット・ブランドとしての性格が強いメーカーでしたが、70年以降はプレミアム・コンパクトカーの製造に専念して行きます。

アウトビアンキを代表する車種は、欧州市場だけでなく日本でも人気のあったA112やY10で、リッターカークラスの小型車でありながら、都会的でセンスの良いスタイリング、上質で仕立ての良い内装、充実した装備、小型車らしいキビキビした走りが特徴で、まさしく「小さな高級車」そのものでした。

やがてフィアット社がアウトビアンキの全株式を取得。
1992年にアウトビアンキ社はフィアット社の意向もあってランチア社に吸収されることになり、ランチア・イプシロン誕生の下地が培われたのでした。

アウトビアンキに関する情報はこちらの記事

イプシロンの重要事項①【初代モデル】

初代ランチア・イプシロン

アウトビアンキY10の後継として開発された初代ランチア・イプシロンは94年にデビューしました。

初代ランチア・イプシロンのスタイリングを担当したのは、当時ランチアデザインセンターに在籍していたピニンファリーナ出身のエンリコ・フミアで、プラットフォームは短縮したフィアット・プントものを使用し、落ちついたん雰囲気のクラシックモダンな3ドアハッチバックボディを載せたクルマでした。

初代ランチア・イプシロンのスタイリングは、ボディ側面に大きく弧を描いたキャラクターラインを奔らせていたことが特徴となっており、単純な美しさを目指すのではなく、アグリーになる一歩手前で意図的にバランスを崩すことでエレガンスさを実現。
当時としては斬新なスタイリングで各自動車メーカーに多大な影響を与えました。

内装デザインはメーター類をダッシュボードに配置したセンターメーターを採用した個性的なものを採用し、シートはアルカンターラ(人工スウェード)表皮を採用していました。

フィアット・プントをベースに開発

↓初代ランチア・イプシロンのベースとなったフィアット・プント

フィアット・プント

初代ランチア・イプシロンのメカニズムはプントから流用された1.1L、1.2L、1.4Lの直列4気筒SOHC「FIRE」エンジンで、のちに1.2Lと1.4LがDOHC化されるとともに1.1Lがカタログから落とされています。

組み合わされるトランスミッションは、当初5MTのみでしたが、のちに1.2Lに6MTとCVTが追加されています。
サスペンションはフロントがマクファーソン・ストラット、リアがトレーリングアームを採用。

駆動方式は全車FFで、前モデル・Y10にあったパートタイム4WDは用意されませんでした。

豊富なボディカラーと内装のコーディネイトプラン

初代ランチア・イプシロンの最大のセールスポイントは、「カレイドス」と呼ばれるカラーバリエーションで、オプションカラーを含めて全112色のボディカラーが用意された点です。

内装とのコーディネートも選択肢が豊富で、文字通り「自分だけの1台」をオーダーすることができました。

初代ランチア・イプシロンは、日本にランチアのディーラー網が存在しないもあって、正規輸入は行われず、ガレージ伊太利亜などの並行輸入業者が少数を販売しただけに留まります。

初代ランチア・イプシロンを愛用したオーナーの中には、自動車評論家の故・徳大寺有恒氏、作家でタレントの室井佑月氏(徳大寺氏の所有車を譲り受けたようです)がいました。

初代ランチア・イプシロンLXのスペック

全長3,723mm
車幅1,690mm
車高1,435mm
ホイールベース2,380mm
車重900kg
排気量1,370cc
エンジン直列4気筒SOHC
最高出力80ps/6,000rpm
最大トルク11.4kg-m/3,250rpm
燃料噴射装置直噴電子制御式燃料噴射
トランスミッション5MT
サスペンション(前)マクファーソン式ストラット
サスペンション(後)トレーリングアーム

フィアット・プントに関する情報はこちらの記事


1.4 マルチエ…
228.0万円
本日の在庫
29
平均価格
43.4 万円
本体価格
15 ~ 228 万円

イプシロンの重要事項②【2代目モデル】

2代目ランチア・イプシロン

出典:https://en.wikipedia.org/

2002年にランチア・イプシロンは2代目にモデルチェンジしました。
その際に英語の車名表記は「Y」から「Ypsilon」に変更を受けています。

ボディサイズを若干拡大

2代目ランチア・イプシロン

出典:https://en.wikipedia.org/

初代モデルのエンリコ・フミアに代わってスタイリングを担当したのは、フィアット・ブラーバなどを手掛けたアメリカ人デザイナーのマイケル・ヴァーノン・ロビンソンです。

前衛的だった初代モデルから2代目ランチア・イプシロンはデザインを大きく変え、ランチア伝統のクロムグリルこそ変わりはありませんが、フェミニンなイメージの丸みを帯びたスタイリングを採用しました。

ただし、国産コンパクトカーのようなカワイイ系デザインではなく、知性と気品を感じさせる大人っぽい雰囲気でまとめられています。

2代目ランチア・イプシロンは初代モデルと同じく3ドアのみの設定でしたが、全高が10cmほど高くなるなどボディサイズは若干拡大され、日本では3ナンバーサイズとなりました。

オシャレな内装だが「カレイドス」は不採用

2代目ランチア・イプシロンの内装

出典:https://en.wikipedia.org/

車内はボディサイズの拡大に合せて広くなりました。
内装デザインはセンターメーターを採用するなど初代モデルのイメージを残しつつ、さらなるクオリティアップが図られています。
シートは本革が標準装備となりましたが、オプションでアルカンターラを選択することもできました。

メカニズムは基本的に前モデルのキャリーオーバーとなりましたが、トランスミッションは2ペダルMTのD.F.N.(Dolce Far Niente :ドルチェ・ファール・ニエンテ = 何もしなくても良い甘美さ)が設定されています。
また、ガソリンエンジンは1.4L1本に絞られるとともに、新たにEURO4対応の1.3L直4ディーゼルターボ「マルチジェット」が用意されました。

残念ながら初代モデルで設定された「カレイドス」は採用されませんでしたが、内外装色は豊富に用意され、Aピラー、ルーフ、Cピラー、ハッチゲートとそれ以外のボンネット、サイドパネル、前後バンパーとを2トーンに塗り分けた、Bカラーも設定されました。

2代目ランチア・イプシロンLXのスペック

全長3,780mm
車幅1,720mm
車高1,530mm
ホイールベース2,388mm
車重1,090kg
排気量1,370cc
エンジン直列4気筒DOHC
最高出力95ps/5,800rpm
最大トルク13.0kg-m/4,500rpm
燃料噴射装置直噴電子制御式燃料噴射
トランスミッション5MT
サスペンション(前)マクファーソン式ストラット
サスペンション(後)トレーリングアーム

トランスミッションに関する情報はこちらの記事

イプシロンの重要事項③【3代目モデル】

3代目ランチア・イプシロン

出典:https://en.wikipedia.org/

2011年にランチア・イプシロンは3代目にモデルチェンジしました。

3代目ランチア・イプシロンは初代、2代目とは打って変わって5ドアハッチバックとなりました。
その背景にはフィアットが3ドアハッチバックのプレミアム・コンパクトである500(チンクェチェント)をリリースしたため、グループ内でのバッティングを避けるためにイプシロンは5ドア車へと移行したものと思われます。

なお、ボディサイズは若干シュリンクされて再び5ナンバーサイズに収まっています。

クライスラー風のファミリーグリルを採用

3代目ランチア・イプシロン

出典:https://en.wikipedia.org/

3代目ランチア・イプシロンのデザイナーはランチアデザインセンターに在籍するアルベルト・ディリッロが手掛けました。

3代目ランチア・イプシロンは上級車種のデルタを小型化したようなスタイリングを採用。
クライスラーがフィアットグループの傘下に収まったことにより、イタリア国内ではクライスラー社をランチアブランドで販売する都合からファミリーグリルをクライスラー風の意匠に改めています。

内装はイプシロン伝統のセンターメーターは健在。
先代までのビビットな色使いのものはなくなり、ピアノブラックのセンターパネルを用いた落ちついた雰囲気の内装で統一されています。

メカニズムはフィアット500ベース

フィアット500

プラットフォームはフィアット500用の「ミニプラットフォーム」をベースにホイールベースを延長。
基本的なメカニズムもフィアット500と共用化されています。

搭載されるエンジンはガソリンが1.2L直4SOHC「FIRE」(ガソリンとLPGのバイフューエルの設定もイタリア本国には設定されます)、0.9L直2DOHCインタークーラーターボ「ツインエア」、ディーゼルが1.3L直4「マルチジェット」は搭載されています。

3代目ランチア・イプシロンのグレードは「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の3種類で、先代とは違って内外装色は大幅に整理されました。

日本ではクライスラー・イプシロンとして販売

クライスラー・イプシロン

なお、ランチアの販売網がないイギリス、アイルランド、日本ではクライスラー・イプシロンとして、クライスラーのディーラー網を通じて販売されました。
しかし、クライスラーの拠点がある北米ではコンパクトカーの需要が少ないために販売されていません。

日本市場では2012年11月から販売を開始しましたが、イタリア車ファンはクライスラーブランドということで忌避感を覚え、SUVや大型車を中心にラインナップするクライスラーの販売店では顧客のニーズと合わず、ブランドのミスマッチにより販売が低迷。

在庫車は未使用中古車として新車価格の2/3〜半額程度で投げ売りされていました。
結局、在庫車を売り切って日本でのクライスラー・イプシロンの販売は終了。

クルマとしての完成度が高かっただけに、何とも残念な結果となりました。

3代目ランチア・イプシロン・ゴールドのスペック

全長3,835mm
車幅1,635mm
車高1,520mm
ホイールベース2,390mm
車重1,090kg
排気量875cc
エンジン直列2気筒DOHCインタークーラーターボ「ツインエア」
最高出力85ps/5,500rpm
最大トルク14.8kg-m/1,900rpm
燃料噴射装置直噴電子制御式燃料噴射
トランスミッション5AMT
サスペンション(前)マクファーソン式ストラット
サスペンション(後)トレーリングアーム
新車価格267万8400円

フィアット500に関する情報はこちらの記事


L リビングラウ…
288.8万円
本日の在庫
506
平均価格
128.4 万円
本体価格
38 ~ 318 万円

イプシロンの重要事項④【ディーゼルエンジン】

↓ランチア・イプシロンに搭載される「マルチジェット」ディーゼルと同系のエンジン(写真はフィアット500に搭載されたエンジン)

マルチジェットエンジン

2代目ランチア・イプシロンから搭載されたディーゼルエンジンが1.3L直4「マルチジェット」です。

このディーゼルエンジンの特徴は、燃料噴射ポンプの噴射孔が従来型のメカニカル方式による開閉制御ではなく、反応の素早いピエゾ素子(電圧をかけると堆積が変化する性質を持つ素子)を利用して噴射タイミングや噴射料を細かく制御しているところにあります。

ランチア・イプシロンに搭載される「マルチジェット」ディーゼルエンジンは、燃費性能に優れるだけでなく、高圧縮化によるレスポンスの良さや軽快なエンジンフィールを持っています。

「マルチジェット」ディーゼルエンジンは、わずか1,750rpmで最大トルクを発生。
市街地では1,000〜1,500rpmを常用し、燃費は20km/Lを軽く超えます。

惜しむらくは日本に輸入されたランチア・イプシロンの多くがガソリンエンジンであったため、中古車市場でもなかなかお目にかからないところです。

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの違いに関してはこの記事

イプシロンの重要事項⑤【乗り心地】

↓3代目ランチア・イプシロンの内装

3代目ランチア・イプシロンの内装

残念ながら筆者は初代/2代目ランチア・イプシロンに試乗する機会がありませんでしたので、ここでは以前にステアリングを握ったクライスラー・イプシロン(前述の通り、3代目ランチア・イプシロンのバッジエンジニアリング版)の乗り心地について紹介したいと思います。

クライスラー・イプシロンの乗り心地

クライスラー・イプシロンはフィアット500に用いられるプラットフォームを使用したクルマですが、ホイールベースが88mm延長されたことにより、ベース車にあったピョコピョコした挙動がなりを潜めています。

足回りはランチア独自のチューニングが効いているのか、コーナーリングや荒れた路面でも良く粘るし、しっとりとした、コンパクトカーとは思えない高級感のある乗り心地を実現していました。

また、クライスラー・イプシロンに搭載されている2気筒ツインエアはNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)が大きめのエンジンなのですが、遮音材や制振材が奢られているのか、フィアットのポコポコした音と振動がだいぶ抑えられていました。

日本仕様はFCAの販売政策もあってクライスラーのバッジがつけられていましたが、試乗してみればこのクルマは紛うことなくランチアでした。

取り回しの良いサイズで高級感溢れるクルマを求めている人には、クライスラー・イプシロンは非常に良い選択だと思います。


0.9 Twin…
244.8万円
本日の在庫
26
平均価格
73.3 万円
本体価格
28 ~ 244 万円

ランチア・イプシロンは女性の美しさを引き立てる

2代目ランチア・イプシロン

ランチア・イプシロンについてのまとめ記事はいかがでしたでしょうか?

ランチア・イプシロンは本国イタリアでは女性ユーザーの人気が高いモデルです。
歴代ランチア・イプシロンはどのモデルも個性的でスタイリングが美しく、女性の美しさを引き立てる魅力があります。

もちろん、女性ユーザーの存在を強く意識した国産コンパクトカーとは違い、基本的にはユニセックスなデザインですので、若い女性だけでなく、中高年の男性が乗っても様になります。

ランチア・イプシロンは中古車価格も手頃ですし、正規輸入されたクライスラー・イプシロンなら全国のクライスラー販売店でサービスを受けることができます。

国産コンパクトカーにはない個性的なデザインの車を求めている方はランチア・イプシロンを是非検討してみて下さい!

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この記事の執筆者

山崎 龍この執筆者の詳細プロフィール

1973年1月東京生まれ。自動車専門誌の編集を経てフリーライターに。自動車専門誌を中心に、航空、ミリタリー、映像作品、オタクカルチャー、政治などの 様々なジャンルに寄稿する雑文ライター。 著書に『最強!連合艦隊オールスターズ』『萌えだらけのクルマ選び』(共にイカロス出版)、『「...