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移動式クレーン車の運転士に必要な資格とは?試験や給料などに情報も

移動式クレーン車の運転士とは?

クレーン 運転
©Zeynep/stock.adobe.com

移動式クレーン車は、建設現場や倉庫などで幅広く活躍する特殊車両です。
荷物を吊り上げて移動させるクレーンのうち、不特定多数の場所に移動することができる移動式クレーン車は利用される機会も多く、移動式クレーン車の免許を保有することで安定した収入につながると言われています。

移動式クレーン車を運転するために必要な資格や、移動式クレーン車の運転士の給料の相場などをご紹介していきます!

大型特殊免許で乗れる車は何?取得の条件・費用・日数&限定解除についても

移動式クレーンの定義と種類

移動式クレーンは、動力をもって荷をつり上げて運搬する機械装置(広い意味でのクレーン)の中で、不特定の場所へ移動して作業することができる構造のものを指します。

移動式クレーンは法令上の定義区分であり、この区分に該当する車両の運転には移動式クレーン運転士免許などが必要です。
法令上の定義区分としては、移動式クレーン以外にクレーン、デリック、揚貨装置があります。

クレーンの定義

「クレーン」は定置されたものやレール上などの限られた範囲を移動するタイプの総称です。
この3つの要件に満たさないものは、法令上「クレーン」とは認められません。

1、動力により荷をつり上げる。
荷を吊り上げる際に動力を用いていない場合はクレーンには該当しません。
荷下ろしの際は荷の重量を利用した自由降下や動力であっても、クレーンの要件には影響しません。

2、吊り上げた荷を水平に運搬する。
水平方向に移動する機械装置であることが、クレーンと定義されるためのもうひとつの要件です。
その際、動力、人力のいずれを用いていても差し支えありません。
クレーンには、天井クレーン、ジブクレーン、クライミングクレーン、橋形クレーン、ケーブルクレーン、アンローダ、テルハ、スタッカー式クレーン等などの種類があります。

3、つり上げ荷重が0.5tを超える。
上記の2点を満たしていても、吊り上げ荷重が0.5t未満の場合は、クレーンには該当しません。

クレーンとデリックの違い

デリックは、本体部分に動力装置を持たないタイプであり、単体で荷をつり上げることができるクレーンに対し、デリックは甲板に設置されたウインチ(巻き上げ機)で、荷をつり上げます。
また、クレーンと違って水平に荷を運搬できるものとできないものがあります。

法令上、船舶に設置されたデリックを「揚貨装置」と定義していますが、機能や性能としては同じものです。

最近ではクレーンが主流になりつつあり、デリックは日本全国でも200台程度しか存在していないと言われています。

移動式クレーンの定義

前項のクレーンの定義に、この要件が加わったものが移動式クレーンです。

4、不特定の場所に移動できる。
広範囲に移動していても、工場や倉庫内で使用される構内のレール上だけを移動する門型クレーンなどは、移動式クレーンに該当しません。
それに対し、例えば、配電盤等に接続したケーブルから送電を受けて運転する電動クローラクレーン等は、ケーブルの長さの範囲の移動しかできません。
しかし、任意で走行する機能があるので移動式クレーンとみなされます。

同様に、自力航行できない船舶や台船を含む船舶上に搭載されたクレーン(揚貨装置に該当するものを除く)や、鉄道軌道(線路)を走行して移動できるものは移動式クレーンということになります。

クレーン車の働く姿がかっこいい!

移動式クレーンの運転士に必要な資格は?

免許証
©tibori/stock.adobe.com

移動式クレーンを運転するには、つり上げ荷重に応じて必要な資格が定められています。
但し、クレーンに荷を掛け外しする玉掛け(たまかけ)作業を行う場合は、この他に玉掛けの資格が必要になります。

運転に必要な資格費用実施団体など
つり上げ荷重5t以上移動式クレーン運転士免許17,900円(公)安全衛生技術試験協会
つり上げ荷重1t以上5t未満小型移動式クレーン運転技能講習修了31,500円(社)労働技能講習協会
つり上げ荷重1t未満移動式クレーンの運転業務特別教育修了14,000円(社)日本クレーン協会ほか

移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育

つり上げ荷重1トン未満の移動式クレーンは「移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育」を修了すれば、運転することができます。
一般社団法人 日本クレーン協会やクレーン車の特定教習機関(教習所)などで実施しています。

科目
移動式クレーンに関する知識
原動機及び電気に関する知識
移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識
関係法令
移動式クレーンの運転
移動式クレーンの運転のための合図

小型移動式クレーン運転技能講習

吊り上げ荷重1トン以上5トン未満の小型移動式クレーンを運転するための技能講習で、東京都、静岡県で実施しています。

3日間の講習(学科2日、実技1日)を受講し、修了試験に合格すると、小型移動式クレーン運転技能講習修了者として認められます。
クレーン運転士、デリック運転士、揚貨装置運転士や車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習などの関連資格を保有している場合は免除科目があります。

学科小型移動式クレーンに関する知識6時間
原動機および電気に関する知識3時間
運転のために必要な力学に関する知識3時間
関係法令1時間
実技運転のための合図1時間
小型移動式クレーンの運転6時間

移動式クレーン運転免許

移動式クレーン運転免許は、労働安全衛生法に定められた国家資格(免許)で、学科と実技の試験に合格すると、各都道府県労働局長から免許が与えられます。

移動式クレーンならば、荷重に関係なく運転できる国家資格です。
移動式クレーン運転士試験は、北海道、宮城県、千葉県、愛知県、兵庫県、広島県、福岡県の全国7ブロックにある、安全衛生技術センターで2ヶ月に1回ずつ(年6回)行われています。
受験資格は特に定められていませんが、18歳未満で合格した場合は、満18歳になるまで免許交付が見送られます。

つまり、何歳でも移動式クレーン免許の試験を受験することはできるということです。ちょっと面白いですね。
クレーンやデリックなどの関連資格保有者や小型移動式クレーン運転技能講習修了者などは、共通する科目が免除されます。

<試験内容>

学科(13:30~16:00)移動式クレーンに関する知識10問(30点)
原動機及び電気に関する知識10問(30点)
関係法令10問(20点)
移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識10問(20点)
実技(午前または午後)移動式クレーンの運転
移動式クレーンの運転のための合図

移動式クレーン運転免許をとるには

クレーン車 アーム
©Paylessimages/stock.adobe.com

移動式クレーン運転免許をとるにはどんな方法があるのでしょうか。
クレーン車にも、自動車教習所と同じように座学の学科講習と実技講習を教える指定教習機関があります。

クレーンや建設機械などを専門に教える教習機関もありますし、普通の自動車教習所に併設されている場合もあります。
働いている人のために夜間や短期集中で受けられる合宿教習も用意されています。

①学科・実技を教習所で習う

移動式クレーンの教習所で、一般の自動車教習所と同じように、学科講習と実技教習を受けます。
教習所内で行われる実技の修了試験に合格すると、試験所での実技試験は免除されます。

試験所で学科試験に合格すれば、免許取得となります。教習所によっては試験所への受験手続もやってくれます。
クレーン者に触ったこともないという未経験者でも、免許取得しやすい方法です。

②学科は独学、実技のみ教習所で習う

試験所で学科試験に合格した後に、実技だけを指定教習機関で習うという方法があります。
実際の移動式クレーン車に乗れる環境がないと練習もできない実技と違い、学科試験は参考書や試験対策本なども販売されていますので、独学で合格することも可能です。

学科試験合格後に指定教習機関で実技教習を受け、教習機関内の修了試験に合格すれば、免許取得となります。
教習所で習うのが実技だけになるため、教習費用は割安になります。

③学科、実技とも試験所でチャレンジ!

学科と実技の両方を試験所で受験することもできます。
自動車と同じように、移動式クレーンの実技試験に一発合格するのはかなり厳しいと言われていますが、小型移動式クレーン等の実務経験がある人ならば可能です。
受験料のみで済むので、費用負担はもっとも軽くなります。

教習費用はいくらくらいかかる?

教習機関によってばらつきはありますが、費用の相場感はこんな感じです。
自動車やバイクの教習と比較すると、教習する範囲が限定されているため短期間で済みます。

所要時間教習料
実技のみ6日間9.5万円~12万円
学科+実技実技6日間、学科16時間~12万円~15万円

教育訓練給付制度がおすすめです!

教育訓練給付制度は国が労働者のキャリアップを支援するための制度で、教習後に書類を揃えて申請すると受講料の20%が給付されます。

移動式クレーン免許の教習費用は「教育訓練給付制度」の対象となります。
教習所によっては、制度を利用するためのアドバイスをしてくれるところもあるようです。

さらに、建設業の事業者(会社)が従業員教育の目的で教習費用を負担する場合は「建設教育訓練助成金」を利用すれば、受講料の80%(経費助成)と1日8,000円(賃金助成)が給付されます。

移動式クレーン車の運転士の給料はどのくらい?

給料
©SB/stock.adobe.com

移動式クレーン車に限定した資料はないのですが、平成27年度の賃金構造基本統計調査(厚生労働省)に元にして、クレーン運転士の平均給与などを算出しました。

職種別のランキングでは年収15位、時給17位となっていますが、医師や弁護士、会計士、税理士などが上位を締めるランキングの中で、建設関係では一級建築士が8位に次ぐ給与水準となっています。

また、年齢別の平均月収で、20代 30万円、30代 36万円、40代 45万円となっています。
スキルアップに応じて収入を伸ばしていける職種と言えるのではないでしょうか。

年齢勤続年数就労時間(残業含む)月収賞与など年収
45.3歳12.6年201時間34.3万円48.8万円461.6万円

この統計で対象となっているクレーン運転士は、19,020人です。内訳は男性18,980人、女性40人ということで、やはり、男性が圧倒的に多いですね。

平均年齢45.3歳と高い点からは若年層が少なく、クレーン運転士全体が30代・40代以上に多く分布していることが推測できます。
これは、クレーン運転士が専門技能をもつ資格職であることが影響していると思われます。

その一方、建設業界ではキャリアップをめざしてクレーン関係の資格を取得する、というキャリアモデルが定着しているのではないかとも考えられます。

移動式クレーン免許取得で手に職がつく!

©Kadmy/stock.adobe.com

移動式クレーン車の運転士に必要な資格や給料についてご紹介しましたが、いかがでしたか?

移動式クレーン車は、建設現場から港湾や倉庫などの幅広い場所で利用されています。

移動式クレーン車の運転士は、建設や物流業界を支える非常にやりがいのある仕事です。移動式クレーン免許は難関資格ですが、取得することで安定した収入にもつながります。

この記事を読んで移動式クレーン免許に興味を持った方は是非挑戦してみてください!

執筆者プロフィール
MOBY編集部
MOBY編集部
新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...
監修者プロフィール
鈴木 ケンイチ
鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...

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