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自衛隊の高機動車とは?性能やベース車両と払い下げ・中古車価格について

1993年度から導入された自衛隊の高機動車は、米軍のハンヴィーをベンチマークに開発された非装甲の兵員輸送車両です。その性能や払い下げ車両の購入方法、中古車価格、姉妹車のメガクルーザーに至るまで徹底解説します。

自衛隊の高機動車とは?

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高機動車はトヨタ自動車が開発し、陸上自衛隊(以下、陸自)が運用中の非装甲の兵員輸送車両です。

防衛省は略称をHMV(ハイ・モビリティ・ビークル)、広報用の愛称を「疾風(はやて)」としていますが、隊内では「高機(コウキ)」と呼ばれるのが一般的です。
米軍のハンヴィーによく似た外観を持つことから、「ジャンビー」や「ジャパニーズハマー」などと呼ばれた時期もありました。

自衛隊の高機動車の性能

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自衛隊の高機動車の導入は1993年度からで、それ以前の陸自は「ジープ」こと73式小型トラック(1/2tトラック)と73式中型トラックを人員輸送や物資運搬任務に使用していました。

73式小型トラック

73式中型トラック

ところが、両車は登場から四半世紀が経過して旧式化が著しく、現代の道路交通環境で運用するには速度性能が低く(最高速度は80km/hほど)、居住性能が劣悪で性能不足が目立ってきたことから両車を更新する装備として高機動車が開発されました。

米軍のハンヴィー

自衛隊の高機動車は米軍のハンヴィーによく似た外観を持ちます。これは開発時のベンチマークとしてハンヴィーを念頭に置いたためで、実際に両車は外観だけでなく、性能やスペックなどもよく似ています。

ハンヴィーとのもっとも大きな違いはエンジンとサスペンションです。
初期型のエンジンはダイナ/トヨエース用の4,104ccの直列4気筒OHV直噴ディーゼルエンジンにターボとインタークーラーを装着した改良型を搭載。

のちに自動車排出ガス規制の段階的な強化に対応するため改良を加え、新短期規制後の現在は日野製の4,009cc直列4気筒OHVターボ・インタークーラーディーゼルを搭載しています。

排気量にゆとりのある6,200ccV8自然吸気ディーゼルを搭載したハンヴィーに比べると、高機動車は最高出力で20ps以上も低く、おまけに構造が複雑で無理の利かない過給エンジンを採用したため、性能面でも整備性の面でも明らかに見劣りを感じます。

高機動車にエンジンを流用したトヨタ・ダイナ

サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーンを採用し、ハブやサスペンションアームは4輪ともにある程度の互換性を持たされています。

また、後輪に油圧式操舵装置を持った逆位相4WSを採用するとともに、最低地上高の確保のためにハブリダクションを採用しています。

軍用車としては脆弱な高機動車の足回り

ただし、軍用車両としてのヘビーティー性能はこれまたハンヴィーに比べて明らかに劣っています。
軍用車はその性格故に戦場では定格以上の過積載で使用されるのが常です。

ハンヴィーはこの点に留意しており、余計なギミックを備えないシンプルなダブルウィッシュボーン式コイルスプリングの4輪独立懸架を採用しています。

ハンヴィーのサスペンションは明らかにオーバーサイズに見えるコイルスプリングを採用。
これによって一輪当たりの定格過重を3.7tに高めています。
いっぽうで高機動車の一輪当たりの定格過重を3tしかありません。

また、ハンヴィーは走行中の飛び石や被弾で視界が奪われることがないようにフロントガラスはピラーを立てた2分割式になっています。

ところが、高機動車は実戦のことを想定していないのか、ハンヴィーをお手本にしながらもこのような工夫を省いてしまいました。

すなわち、高機動車は軍用車としてのヘビーデューティー性能の不足を各種ギミックで補った車両と言うことができるのかもしれません。

ある意味で高機動車はコストカットと生産性を第一に考えるトヨタらしい軍用車とも言えるわけですが、市販乗用車ならともかく、軍用車ではこうした設計上の制約、不備が兵員の命取りになりかねません。

高機動車は平時では優秀な車両なのかも知れませんが、有事の際にはさまざまな問題が発生し、現場の自衛官に犠牲を強いらせるのではないかと筆者は危惧しています。


積載 ローダー …
650.0万円
本日の在庫
181
平均価格
188.4 万円
本体価格
25 ~ 650 万円

自衛隊の高機動車のベース車

高機動車の姉妹車・メガクルーザー

ベース車というのは正確な表現ではありませんが、自衛隊の高機動車には民間市販車両のメガクルーザーという姉妹車が存在します。

1996年に発表されたメガクルーザーは、高い不整地走破性能を持つSUVとして販売されました。
そのメインターゲットは一般ユーザーではなく、販売された車両のほとんどが警察や消防、地方公共団体、JAFなどで使用されました。

また、航空自衛隊と海上自衛隊は高機動車の導入を見送り、業務車両としてメガクルーザーを採用しています。

メガクルーザーは2001年8月を最後にカタログから落とされましたが、生産ラインが同じ高機動車の生産が継続されているため、政府機関や自治体などからまとまった注文があれば、その都度生産が行われているようです。

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0.0万円
本日の在庫
0
平均価格
0.0 万円
本体価格
0 ~ 0 万円

自衛隊の高機動車の払い下げ・中古車価格

LCACから発進する高機動車

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自衛隊は民間への車両払い下げを行っていないため、原則として一般ユーザーが高機動車を手に入れることはできません。

従って中古車の流通も皆無です。
ただし、絶対に高機動車の入手が不可能かと言えばそんなこともないようです。

メガクルーザーのオーナーだったとある軍用車両マニアが、高機動車のフロントフェイスまわりの部品番号を調べ上げ、素知らぬ顔でトヨタの部品共販に部品番号だけでパーツを注文したところ、見事に高機動車の部品を入手することができたそうです。

彼はさっそく愛車のメガクルーザーのフェイスリフトを行って、高機動車のフロントマスクを持つメガクルーザーを製作しました。
しかし、あとから事態が発覚し、問題となったようです。

ただし、彼は違法な行為を何ひとつしたわけではないので、防衛省もトヨタも部品の返還を求めることはできず、結局「自衛隊色(オリーブドラブ)に絶対に塗り替えないように」とお願いされただけで済んだそうです。

おそらく、トヨタも対策を施していると思いますので、もうこの方法で高機動車のパーツを入手することは難しいと思います。

高機動車

もうひとつの方法としてはスクラップになった車体を解体業者から購入し、ボディを再溶接して修復して、メガクルーザーのシャシーにドッキングさせるという方法があります。

これはかつて自衛隊仕様のジープを製作するのによく使われた手で、2000年代はじめまで行われていたようです。

筆者は高機動車こそ見たことはありませんが、民間のマニアが修復したJ54B(自衛隊仕様の三菱ジープ)や73式小型トラック(J20系のシャシーを使った自衛隊ジープ)、パジェロベースの1/2tトラックを見たことがあります。

あるいは運良く切り刻まれていない高機動車のボディを見つけることができれば、メガクルーザーを手に入れて製作することは不可能ではありません。

フィリピンに不正輸出された73式大型トラックの動画

最後の方法はフィリピンに不正輸出された高機動車を探すことです。
先ほども述べた通り、自衛隊車輛が民間に払い下げられる場合は、ボディを切り刻むことを前提にスクラップとして解体業者に販売されます。

ところが、中にはスクラップ処理をせずに、そのまま海外に車両を輸出していた業者がいたようなのです。

そうした車両はフィリピンに輸出され、現地で登録されて民間のトラックやジープとして普通に走っています。
実際、以前筆者はフィリピン国内を走る73式大型トラックや自衛隊のジープの写真を見たことがあります。

高機動車が現地を走っているかは定かではありませんが、未確認情報によると高機動車も存在するようです。
現地で上手く買い付けることができれば、中古並行扱いで日本に逆輸入し、登録することも不可能ではないと思います。

仮に車体番号の問題(当然フィリピンに輸出されたときに不正輸出の証拠になりそうな日本の車体番号は削り取られているでしょう。おそらくは現地で職権打刻によるオリジナルの車体番号が与えられていると思います)で登録が難しかったとしても、まるまる1台部品取り車が手に入るわけですから、メガクルーザーさえ入手すれば製作も難しくはありません。

出典:http://rikuzi-chousadan.com/

ただし、いずれの方法も自衛隊の払い下げ事情に精通し、それなりのコネクション、そして数百万円単位の多額の費用(少なくともメガクルーザーが購入できるくらいの費用は必要)を用意しなければ難しいと思います。

もし本気で高機動車などの自衛隊車輛がほしいのなら、軍用車両の愛好家の集まりなどに足しげく通って人脈を広げ、仲良くなってから同好の士に「○○を探している」と相談するのがいちばんの近道です。
こうした稀少な軍用車はマニアの中だけで流通しており、一般の中古車市場に出てくることは極めて稀です。

実際に筆者は、軍用車マニアの輪に加わってからしばらく経ってから友人に「73式小型トラックのボディを載せたJ24ジープを100万円で買わないか?」と声を掛けられました。

そのときは金銭的な余裕がなくて見送ってしまいましたが、自衛隊車輛の入手のチャンスは少なからずあるようです。

自衛隊の高機動車の中古車は手に入れられるのか?

出典:http://rikuzi-chousadan.com/

自衛隊の高機動車についてのまとめ記事はいかがでしたでしょうか? 

あくまでも筆者がマニア筋から聞いた話ですが、どうやら国内に民間のナンバーをつけた高機動車が存在しているようです(実車を見たことはありませんが・・・)。

ナンバー付きの車両があるとすれば、高機動車を手に入れて乗ることは不可能ではないと思います。
高機動車入手までの道程は決して平坦ではないと思いますが、欲しい方はがんばって下さい。

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