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直列6気筒エンジンとは|完全バランスが取れている?音や振動と点火順序なども解説

直列6気筒エンジンは、現在生産される国産乗用車では見かけなくなりましたが、海外では現在も生産されており、根強い人気を誇っています。完全バランスともいわれる直列6気筒エンジンには、音や振動にその秘密を探るヒントがあります。直列6気筒エンジンの秘密を解説します。

直列6気筒エンジンの構造と音の特徴

出典:http://www.weblio.jp/

直列6気筒エンジンはその名の通り、気筒を6つもつエンジンで「直6エンジン」とも呼ばれています。具体的にその構造に触れてみましょう。

車のエンジンの基本構造

直列6気筒とはエンジンの形式を示すものですが、そもそもエンジンとは何でしょうか。エンジンとは、多くの方がイメージされる通り、車の動力を生み出すいわば車の心臓部分です。

車のエンジンは吸入・圧縮・燃焼・排気をひとつのサイクルとして動いています。基本的には、エンジンに空気と霧状のガソリンを取り入れ(吸入)、その空気を圧縮し、(圧縮)、それを爆発させ(燃焼)、爆発したあとの空気を逃がし(排気)、また空気とガソリンを取り入れることを繰り返し行っている機関です。

爆発がエンジンの動力を生む

直列6気筒エンジン 構造 6気筒

出典:https://clubmini.jp/

直列6気筒の気筒は、一般的にシリンダーと呼ばれます。
エンジン内部は気筒(シリンダー)と呼ばれるいくつかの筒状の部屋によって仕切られており、その筒の中にピストンが入っています。ピストンが上に上がることで中に取り込まれた空気が圧縮され、爆発によってピストンが押し下げられます。

この時のピストンを押し下げる爆発力が、ピストンの下に取り付けられたクランクシャフトを回すことで、車の動力になります。

直列6気筒エンジンは気筒の数と並び方の名称

エンジンは、このシリンダーの数や並び方で形式が異なります。
エンジン内部でシリンダーが直線状に1列に並んでいる形式のエンジンを、直列エンジンと呼びます。
そして、シリンダーの数で○気筒と表現し、シリンダーが6つある場合に、6気筒と呼ばれます。
従って、直列6気筒エンジンとは、「気筒(シリンダー)が直列に並んだ」「気筒(シリンダー)が6つある」エンジンであるということになります。

エンジンでよく聞くDOHCとは?

DOHCというのは、Double OverHead Camshaft(ダブル・オーバーヘッド・カムシャフト)の略です。
シリンダー内に空気が送り込まれる経路と、爆発した後の排気をシリンダーから送り出す経路には、それぞれ弁がついており、この弁のことをバルブと言います。
このバルブの開閉を担っているパーツに、「カムシャフト」と言われるものがあります。

これがエンジンと共に回転し、それぞれのシリンダーに空気の給排を行っています。このカムシャフトが吸気側、排気側それぞれに配置され、カムシャフトが2本あることから、ダブルと表示されます。
DOHCとは、カムシャフトが2本あることを示します。

カムシャフトが1本で吸気側、排気側のバルブをコントロールする方式に「SOHC」というものがあります。
バルブ開閉のタイミング管理が簡単なこと、部品数が少なくメンテナンスが簡単なこと、などがメリットですが、高回転、高出力エンジンには向かず、直列6気筒エンジンの特徴を打ち消してしまうことから、あまり相性が良くありません。

そのため、現在の乗用車の直列6気筒エンジンにはSOHCの方式はほとんど採用されていません。

直列6気筒エンジン音の特徴

エンジンの音はそれぞれ気筒数や形式によって音が異なりますが、直列6気筒はその高い音が特徴です。
というのも、例えば排気量2,000ccの直列4気筒のエンジンと、排気量2,500ccの直列6気筒エンジンでは、1気筒当たりの排気量(容積)は前者が2,000cc÷4気筒で500cc、後者は2,500cc÷6気筒で416ccとなります。

エンジン音は、容積が小さいほど音が高くなるという性質があるので、直列6気筒エンジンは比較的高い音に聞こえます。
また、気筒が多いことから継続的に燃焼し、途切れることなく排気されるため、エンジン音がつながって聞こえるのも特徴です。

直列6気筒エンジンのメリット1 振動の少なさ

直列6気筒エンジン 構造

出典:https://jp.pinterest.com/

直列6気筒エンジンは振動が少ないことが完全バランスといわれる所以であり、直列6気筒のメリットのひとつです。

直列6気筒エンジンの振動を抑えるクランクシャフトの働き

クランクシャフトとは、シリンダー内の爆発によって起きたピストンの上下運動を動力に変えるパーツで、これは名前の通り、クランク状の(折れ曲がった)棒状のパーツです。
そしてクランクシャフトの軸を正面から見た時、それぞれが重なり合わないように左右両端の2つ、一つ内側の二つ、中央の二つを対として、3対が120°の角度をもって配置されています。

これはクランクシャフトにかかる負担を均等に軽減させるためで、基本的に車のエンジンの場合は吸入・圧縮・燃焼・排気のサイクルに2回(720°)クランクシャフトが回ります(ピストンが2回上下する)。
2回転は720°で、それが6気筒あるので、720°÷6気筒=120°となることから、クランクシャフトが120°回転するごとに、1つのシリンダー内で燃焼が起きる仕組みになっています。

直列6気筒エンジンの振動が少ない正体はシリンダーごとの点火順序

直列6気筒エンジン 燃調 点火 シリンダー

出典:http://xn--ols92r56ds35c.tokyo/

直列6気筒エンジンは後輪駆動車に縦置きにレイアウトされることが多いエンジンです。
そしてそのシリンダーは、車やメーカーのよって異なる場合もありますが、基本的に、前方から奥(運転席)に向かって、1番シリンダーから6番シリンダーと言われます。
動力を生むための爆発は、一見すると端から順番に爆発しているように思われますが、実は違います。

クランクシャフトの構造から、例えば1番シリンダーからの行程では、一般的な直列6気筒エンジンでは1→5→3→6→2→4(番シリンダー)の順番で燃焼が稼働しています。
メーカー、車種によってこの順番は異なる場合がありますが、どの工程にせよ、1つのピストンが爆発によって押し下げられた際、180°反対側で正反対の動きをするピストンがない、つまり相対する方向に力が流れることがないことから、力のかかる中心点にズレが発生しない為、エンジンそのものがブレず振動が出にくい構造になっています。

それぞれが振動を打ち消し合う構造

直列6気筒エンジンは、そのクランクシャフトの仕組みと燃焼のタイミングによって、その振動の少なさを実現しています。
また、V型エンジンの中でも、この直列6気筒エンジンをふたつ並列にしたレイアウトを取るV12型エンジンも、同様に完全バランスと言われています。

直列6気筒エンジンのメリット2 高出力に耐える堅牢性

直列6気筒エンジン フルチューン 改造

出典:http://www.geocities.jp/

直列6気筒エンジンは、頑丈であるといわれます。
なぜ頑丈なのか、そしてその頑丈であることはどんなメリットを生むのでしょうか。

直列6気筒エンジンは長さゆえに頑丈にできている

直列6気筒エンジンは6つのピストンを使用することから、V型6気筒や直列4気筒のエンジンに比べて長細くできています。
エンジン内部でクランクシャフトを始めとした様々なパーツが回転していることから、構造上振動は起きなくても、回転によるエンジン本体の捻じれが懸念されます。
それを抑え込むために、頑丈な構造にして、エンジン本体を守っています。

直列6気筒エンジンは多くの爆発に耐えるために頑丈にできている

エンジンは1トン以上ある車体を動かす動力ですから、一つひとつの燃焼力も大きくなります。
そしてシリンダーが多いということは、たくさん燃焼するということです。
そのため、その多くの燃焼にも耐えられるように、頑丈に作られています。

頑丈に作られているから高パワー高出力に優れるメリットを持つ

直列6気筒エンジンは、爆発して動力を生むためのシリンダーが6つあるわけですから、それぞれの爆発力を高めることでパワーアップができます。
日産・スカイラインGT-R(R32~R34)やトヨタ・スープラ(JZA80)等に代表されるように、ツインターボの高出力にも耐える仕様になっています。

頑丈だからこそのデメリットもある

直列6気筒エンジンは、その構造上細長くなります。そのため、縦置きレイアウトが多く使われていることは先述の通りです。
乗用車の場合、車前方のエンジンルーム内に収めると空間を圧迫するため、もし前方から衝突した際に、破損することで人や機械を守るクラッシャブルゾーンが作りにくいということがあります。
また、頑丈に作るために、必然的に重量が重くなります。そのため、フロントヘビーと言って、車前方の重量が重くなります。
頑丈さとそれに伴う部品、構造は必然的にコストが上がることも言えます。

直列6気筒エンジンと時代の流れ

クラッシャブルゾーンの問題や重量、コストなどの問題で、現在国内で生産されている乗用車の中では、直列6気筒エンジンは同じ気筒数であってもコンパクトでレイアウトに融通の利くV型エンジンに替わっています。
しかし、チューニング業界では今もなお大活躍するエンジンです。

直列6気筒エンジンを搭載した代表車

国産車では直列6気筒エンジンを搭載した車は見なくなりましたが、それでも今もなお現役で走り続けている車もあります。
また、海外では現在も伝統的に生産されています。
代表的な車を見てみましょう

日産・スカイラインGT-R(R32・R33・R34)

搭載エンジン RB26DETT
総排気量   2,568cc
最高出力   280PS /6,800rpm
最大トルク  40.0kg·m /4,400rpm
(出力・トルクはともにR34GT-R)

1989年のR32スカイラインGT-RからR34 スカイラインGT-Rには、RB26DETTという直列6気筒エンジンが搭載されました。
これは登場当時盛んだったグループA(Gr.A)という車両で戦われていた全日本ツーリングカー選手権での勝利を目指し、スカイラインGT-Rのために開発されたエンジンです。
そのため、レースという過酷な環境でも破損しない、非常に頑丈なつくりをしています。

http://car-moby.jp/wp-content/themes/moby_pc

350GT ハイ…
412.6万円
本日の在庫
340
平均価格
174.2 万円
本体価格
17 ~ 1480 万円

トヨタ・スープラ(JZA80)

トヨタ・スープラ(JZA80)

出典:http://www.goo-net.com/

搭載エンジン 2JZ-GTE
総排気量   2997cc
最高出力   280PS /5,600rpm
最大トルク  46.0kg·m /3,600rpm(1997年8月以降)

トヨタのエンジンのシリーズであるJZシリーズの中でも、最も高出力のエンジンです。
その頑丈さから1,000馬力を超えるような改造にもベースとして使用されます。
日産のRB26DETTと比較しても30kg以上軽いこと、3,000ccという排気量から太いトルクが特徴的で、チューニングを施しても日常的に使用することが可能とされています。


SZ−R ゲトラ…
138.2万円
本日の在庫
16
平均価格
149.2 万円
本体価格
70 ~ 333 万円

BMW・M4クーペ

直列6気筒エンジン 搭載 BMW M4 クーペ

直列6気筒エンジン 搭載 BMW M4 S55B30A

搭載エンジン S55B30A
総排気量   2,979cc
最高出力   431 PS/7,300 rpm
最大トルク  56.146.0kg·m/5,500 rpm

ドイツを代表する自動車メーカー、BMWの伝統ともいえる直列6気筒エンジンです。
その滑らかさから、「シルキーシックス」と言われます。
多くの自動車メーカーが安全面や重量、燃費の問題などからV型エンジンへ切り替えていく中、BMWは頑なに直列6気筒エンジンを作り続けています。

それは、この直列6気筒エンジンがBMWの伝統であり、アイデンティティであること、そして完全バランスといえる直列6気筒の本当の良さを革新しているからであると思われます。


M4クーペ
888.0万円
本日の在庫
7
平均価格
915.2 万円
本体価格
835 ~ 929 万円

直列6気筒エンジンは稀有な優良エンジン

直列6気筒エンジン 調整 メンテナンス

出典:http://www.nismo.co.jp/

直列6気筒エンジンの解説はいかがでしたか?
時代の流れとしてどうしようもない部分もありますが、しかし直列6気筒エンジンというものはこれまでのエンジンの中で最も優れた部分を持っていたエンジンであることに違いはありません。
そして、その頑丈さから、しっかりとメンテナンスを行えば、長く乗り続けられるエンジンです。

今後、愛車を乗り換えることがあるならば、直列6気筒エンジン搭載の車も選択肢に入れてみることをお勧めします。
チューニングベースとしても優れた素質を持つエンジンですから、大パワーを求めるドライバーは是非、考えてみてください。

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