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直噴エンジンとは?メリットやカーボン除去などのデメリットまで

近年「直噴ターボエンジン」という単語を聞いたことがある人は少なくないでしょう。一昔前までは珍しいとされた直噴エンジンですが、近年では国産車でも多くの車に採用されて非常に身近な存在になっています。今回は、この直噴エンジンについて基本的な仕組みやメリットそして課題について解説します。

直噴エンジンとは?

エンジン

©iStockphoto.com/ Bet_Noire

直噴エンジンの仕組みをご紹介する前に、まずエンジンの基本的な仕組みを知る必要があります。
主に乗用車に使われるガソリンエンジンの基本的な仕組みをご説明した上で、直噴エンジンの仕組みや特性についてご紹介します。

エンジンの基本

では、エンジンの原動力とは何なのでしょうか。
エンジンが動く力は、プラグを用いて火を付けることで燃焼させて生み出されています。
ポイントは「燃料と空気を混ぜた状態の気体に火をつける」ことです。
この燃焼方法のことを「予混合燃焼」といいます。
では、従来のエンジンと直噴エンジンとでは何が違うのでしょうか?

直噴エンジンの仕組みについて

従来のエンジンとの違いは、前述の「予混合燃焼」が重要キーワードとなります。
従来のエンジンは、すでに燃料と空気が混合された状態で、燃焼室に気体が送り込まれます。
それに対して直噴エンジンは、燃焼室に燃料と空気が別々に送り込まれ燃焼室内で混ざり合います。
このシステムがエンジン性能を左右する重要ポイントとなります。

直噴エンジンの燃料はどのようにして燃焼室に入るのでしょうか?
もう少し深掘りしていきましょう。

直噴燃料噴射方式(ダイレクト・インジェクション)通称DI

直噴エンジンでは、燃焼室内に直接燃料を噴射するという燃料供給システムを採用しており、これを「直噴燃料噴射方式」といいます。
この方法では、吸入工程では混合気ではなく空気のみを吸入します。
そして、圧縮工程において高圧の燃料を燃料室内に噴射することで混合気を作り出します。

直噴エンジンのメリットとは?

運転 女性ドライバー

©iStockphoto.com/ Georgijevic

今までの情報だけでは「結局、混合気体を燃焼させるのだからどちらのエンジンを採用してもあまり変わりないのでは?」と疑問を持つ方もいるでしょう。
では、直噴エンジンを採用するとどのようなメリットがあるのかを紐解いていきましょう。

圧縮比の向上により高出力・高トルクを実現

「圧縮比」とは、吸入した混合気が燃焼室内で圧縮される比率を表したもので、一般的に圧縮比が高いほど熱効率が良く、高出力・高トルクのエンジンとなります。
従来のエンジンでは、圧縮比を大きくすると圧縮時の発生熱により、火花点火前に異常燃焼(ノッキング)が発生してしまうため、圧縮比を一定以上高めることが出来ません。
一方、直噴エンジンの場合、吸気工程において混合気ではなく空気のみを吸入するため、圧縮時にノッキングが発生しにくく、従来のエンジンに比べて高圧縮化することが可能となるのです。

ノッキングについてもっとくわしく

パワーと低燃費を両立

パワーが大きいということは燃費にはあまり期待できない、というイメージを持つ方は少なくないでしょう。
しかし、低燃費を実現しやすいことも直噴エンジンのメリットなのです。
空気を吸入後に燃焼室に噴射されたガソリンは液体から気体に気化します。
この時、同時に周辺空気の熱を奪うことで燃焼室内の温度が下がり、さらに燃焼室内の空気(酸素)充填量を高めることが出来ます。
これらのことから、直噴エンジンは高出力と低燃費を実現しやすいと言われています。

エンジンのダウンサイジングといえば直噴エンジン

ダウンサイジングとは、ターボチャージャーやスーパーチャージャー等の過給器を用いることで、従来と同等の動力性能を確保しつつ、エンジンの排気量を減らすというものです。
エンジンのスモール化、排気量の抑制、気筒数の減少により、機械損失を小さくし燃費向上をねらいとしています。

ターボチャージャー・スーパーチャージャーとは

直噴エンジンの欠点とは?

故障

©iStockphoto.com/ lentolo

メリットしかないエンジンは存在しません。
直噴エンジンにも欠点や課題があり、各メーカーの技術者たちは問題解決を目指し日々奮闘しています。

コスト面においての課題

直噴エンジンは圧縮工程において、非常に高い圧力をかけて燃料を噴射しています。
そのため、高圧に耐えられる燃料噴射装置(インジェクター)が必要となります。
その上、インジェクターは燃焼室内に設置されているため、インジェクター自体も燃焼にさらされる状態にあり、高温にも耐えられるものでなければなりません。
また、燃料を高圧化させるポンプも別途必要となるので部品にコストがかかってしまいます。

PMの発生

「PM2.5」が大量発生したニュースは記憶に新しいです。
直噴エンジンではPM(パティキュレート・マター)が発生してしまうという欠点があります。
PMとは「粒子状物質」というもので、後ろにくっついている数字は、粒子の大きさを示しています。(PM2.5とは粒径が2.5μm以下のPMという意味です) PMの大きさが小さいほど人の体内に入りやすく、肺の奥まで入ってしまうという健康被害に遭います。
PMという言葉がしっくりこない場合「ススのようなもの」とイメージしてください。
ではなぜ直噴エンジンの燃焼でPMが発生するのか……それはエンジンの燃え残りが原因です。
従来のエンジンではガソリンと空気が混ざり合って燃焼室にたどり着くので、ガソリンはその間に気化された状態になります。
それに対して、直噴エンジンは燃焼室に直接ガソリンを噴射するため、燃焼までの時間が短く、完全に気化されていないガソリンも存在してしまいます。
完全に気化されていないと、空気と十分に混合することができず、混合されなかったガソリンが燃え残りとなってしまうのです。

PMが燃焼室内に堆積すると不具合発生

スス、PMなどが燃焼室内に堆積すると、下記のようなトラブルが発生する恐れがあります。
・燃費の悪化
・出力低下
・アイドリングの不調
・異常な黒煙 など
技術の向上により、これらをある程度防げるようになってきたものの、従来のエンジンと比べるとマメにメンテナンスを行う必要があります。

直噴エンジンのメリット・デメリットはこちらの記事も参考に

直噴エンジンにより発生したカーボンの除去方法とは?

オイル 新鮮

©iStockphoto.com/ Ensup

直噴エンジンの欠点の中に、ススやPMなどのゴミが堆積してしまうことをご紹介しました。
カーボン、つまりCO2も堆積する一つの成分です。
カーボンを除去する方法の一部を下記にご紹介します。

オイル交換をマメに行う

「ゴミを溜めない」ということが一番重要です。
部屋の掃除をするように、オイル交換のサイクルを早くし、常にクリーンな状態を保ちましょう。

添加材を使う

すでに燃焼室に堆積してしまっているカーボンを除去するには、ガソリンに添加材を混ぜることである程度除去することができます。

●[KURE] オーバーホールクリーン

●[WAKOS] F-1 フューエルワン

専門店で洗浄してもらう

様々な洗浄商品が出ていますが、吸気系に付着したカーボンを落とすのは非常に困難です。
エンジンの不調が出てしまう前に、専門店に定期的に点検してもらい洗浄してもらうことが一番良い選択といえるでしょう。

直噴エンジンは普及していくのか?

レンタカー 代理店

©iStockphoto.com/ LuckyBusiness

直噴エンジンはメリットがたくさんあるものの、デメリットの大きさは個人でカバーしにくいダメージです。
低燃費、高出力というメリットは現代社会にマッチしており、多くのユーザーの求めている条件に合致します。
そこを活かしつつも、デメリットをカバーできる技術が発達すれば普及は望めるでしょう。
ただし、海外においては燃料事情や整備環境などインフラ整備が整っていない国もあるので、地域ごとに普及のスピードは異なることが予測されます。

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